m. h. k.
わたしはちょっと.
読書
対訳朗読
異次元探索
OD
フランス語
m. h. k.
m. h. k.
ぼくに出会ったある日のきみを
きみの煙草に火を点す
すると、それは可笑しなコール・ポーターの旋律に移り変わって、流れ出した
だけど、きみは曲がそのあとどう続くか、もう忘れてしまった
そして──今夜、それは隠せない
Tonite It Shows
m. h. k.
だって きみのポートレイトを描けた
そしたら みんなはきみに出会うだろう
ぼくがそうしたように
あなたの笑顔と
茶色の──茶色い瞳は
ルーブル美術館の
モナ・リザ みたいに きれいだね
もしぼくが 海だったら
きみのすみずみまでも包みこもう
きみがぼくへと身を投げる
その柔らかな肌と
黒く──黒い髪を
ぼくは波──
きみをぼくの海へとさらう波
セント・ルイスに棲んでいたら
広大なミシシッピ川に架かる
大きなアーチの下に立ち
その川の流れを見送りながら
やがてメキシコ湾へ注ぐことを思う
それほど強く──ぼくは願う
きみがぼくの傍にいてくれるように
ピカソだったら いいのにな

I Wish I Was Picasso
m. h. k.
彼女は一人きりの世界にいて
不思議とぼくに似ていた
もしかしたら
親友になれたかもって思う
会ったことはないけれど
まだ忘れられないでいる
彼女はとうとう過去と縁を切った
そして いま
ほんとうに一人ぼっちになったんだ
(...)

Taillights Fade
m. h. k.
m. h. k.
m. h. k.
きちんとお返事したいので、少しだけお時間をいただけましたら幸いです。
落ち着き次第、あらめてメッセージを認めますね。
m. h. k.
ジャン・コクトー
m. h. k.
m. h. k.
振り返ると
いつも 打ちひしがれる
考えてたひとに
屡々再会する
m. h. k.
m. h. k.
m. h. k.
時々うれしくなる
また 目がさめる
コーヒーをそそぐ
恋人のカップに
こっそり涙をたらす
朝が逃げていく——
早すぎて
真っ白に
そして
あなたは地下鉄に
のって出ていく
私があなたの名前を
言い切る前に
#朝ポエム
Coffee Blues (Bonus Tracks)
m. h. k.
隙間という隙間もなく、
すべてが自らを包みこみ、
そして、昼の気配のあらゆる侵入に
気密に閉じられた文のように。
ただ、自身の均衡と静けさ──
その重みと尺度、
そのリズムと時間を
確かに保つことだけを意図して。
──気息と唾液の愛の力によって
互いに結びつけられた言葉たちが、
どんな断絶の誘惑にも
抗って保ちうるのだと
知りながら。

m. h. k.
m. h. k.
Mon corps retombe en réminiscence.
J’insulte le temps.
Autre jour, des croquis de merde !!
(丑三つ也
レミニサンスに身は泥み
過ぎゆく時を呪詛せり
在りし日のクソ画かな)

m. h. k.
朗読配信したら愉しいのでは。
やり方 1.窓を用意する(枠はなくてもいい)
2.景色を選んで支持体に架ける
3.ポスカで写しながら、劇を読む
m. h. k.
m. h. k.
『ママン』(抄)
(...)
わたしたちはグラスを取った。
わたしは時計を見つめた。
──針は一瞬たりとも止まらないね
そう私は云った。
──とっても とっても残念だ
そして、気づいていた。
私も、母も。
こんなあいまいさの中にあれば
あらゆるものは急速に崩れ落ち、
指の間から零れ落ちて行くのだ。
母はさらにシャンパンを入れた。
──あと 一本だけよ
彼女は云った。
──うん あと 一本だけだ
たぶんね でも
昼食が終わると、
ソファでまた抱き締め合った。
──レアとの恋に乾杯するわ
母が云った。
──でもぼくはレアが怖い
そうわたしは答えた。
──彼女がいなかったら
私たちはもう終わりよ
彼女が狂っているおかげで
わたしも少しは
理性を保っていられる
あなたも彼女から得られる“良さ”
を知るでしょう
──今は二時ね
私は七時には家にいるわ
三人で夕食に出かけて
それから
あなたと彼女は
二人で夜を過ごすことになる
Georges Bataille




m. h. k.
光学詩か──
すてき
『窓(たち)』※抄訳
(...)
きらきらする ダイアモンド
バンクーバー
雪は白く夜の光に焼かれ──鉄道は冬をのがれる
これはパリ
赤から緑へ――黄は皆死にゆく
パリ バンクーバー イエール マントノン ニューヨーク そしてアンティル諸島
窓はオレンジのように開かれる
うるわしき光の果実
(...)
Étincelant diamant
Vancouver
Où le train blanc de neige et de feux nocturnes fuit l’hiver
Ô Paris
Du rouge au vert tout le jaune se meurt
Paris Vancouver Hyères Maintenon New-York et les Antilles
La fenêtre s’ouvre comme une orange
[...]
Sparkling diamond
Vancouver
Where snow-clad trains and night fires flee winter
0 Paris
From red to green all the yellow is spent
Paris Vancouver Lyon Maintenon New-York and the Antilles
The window blinks open like an orange
Beautiful fruit of light
Le beau fruit de la lumière

m. h. k.
感情は満たさない、
顔は歪まない、
ただ、
流星が瞬くみたいに、
だれかの涙が、
わたしの頬を
流れるよ。
m. h. k.
恋人が泊まっていいよと連絡をくれたのだけど、なんだか悪くて断った。ホームレスといっても、じっさいに外に寝たのは一回きり。
しかも、ひとに話しかけられて怯えてしまい、神社のお賽銭箱の後ろに隠れていたのだ。多くの夜はバーや喫茶店で時を過ごし、昼の環状線のソファで眠っていた。
降雪の日にホームレスの方はどんな風にスープを温め、どのように身体を暖めて夜眠るのだろう。わたしはそんな体験のあとでも、知らないままだ。
時には、彼女が夢に出て、眠りに就こうとしながら、彼女がよく話してくれた、小さい頃デンマークへ連れて行かれた出来事について、再び語ったりした。
もっと正確に言えば、それは“デンマークという国”の話ではなかった。それは端的に云えば、彼女が言葉を覚え、はじめて好きになった男の子と踊り、ひとが死ぬのを見た、小さな土地でのことだった。
それは彼女が永遠に失った場所であり、人が何かを失ったとき、そのことを忘れることができなくなる。その意味での喪失だった。
彼女はほかの話もしたが、ほとんどいつも同じ話を繰り返していた。
そしてわたしは、彼女の部屋にいると、彼女が歩いた道、小道、樹々、人々、動物たちが見えるような気がするようになった。
深夜営業の喫茶店はほとんど見つからない。わたしは"御代わり自由"のコーヒーを頼み、本を読み耽り、定期的にウェイターさんが淹れてくれるコーヒーを飲み、空が白んで来るのを待った。
勘定のときには、わたしがいつもスタンプカードを失くすので、彼女は失くした分のスタンプを新しいカードに押印してくれるのだった。
m. h. k.
m. h. k.
m. h. k.
m. h. k.
m. h. k.
裸電球の下で鏡に笑いかける
存在の稀薄さは果てない
のっぺらぼうのようなガラス
を貫いて月の裏に着陸しそうだ
ちいさいとき食後と睡眠の間の
あの宙吊りの時間に学習机のうえに
立ってみたことがあった
見上げた天井はよそよそしく
宇宙の果てまで探しにいっても
霧のような幻に出会うばかりで
百年どころじゃない何千年も何億年も
驚異する無意味しか見つからない
気がして身震いしていた
ひとり歩くときも同じだ
どうして喧騒で満ちた街は震えないのだろう
この耳の廻りには真空があって
驚くほど無意味だ
血を戦慄かせ皮膚を痙攣させ
思考を震えさせるだけのために
世界を名づけてみる花の名前を
それは死そっくりだ
泣けたらいいのに
汚ない星が降るみたいに
m. h. k.
アンヌ・ジリみたい。
超私的で作家の偏愛をかんじる音響が大好き。
Damnation
m. h. k.
リクエストをいただいて、
有島武郎『一房の葡萄』を読んだ。
港町から眺める海の青色、絵具の藍色と深紅色、羞恥に染まる頬の赤色、巧く絵に描けなかった港の景色を眺めながら頬張る先生がくれた葡萄の紫色、大好きな先生のリンネルの着物と伸びる手の白色、仲直りした二人に分けるため葡萄の房を切る鋏の銀色。
きびきびして、あざやかな色彩が目に映るよう。散りばめられた主題的な色の調子は、まるで画面の中で順々に点灯していく照明のように、物語の核心へ向かって収束していく──いまではどこにも存在しない大理石のように白い美しい手。
仲直りのしるしとして葡萄の房が鋏で切り落とされる場面──あの銀色の鋏がひらめく一瞬は、映像表現のスローモーションを思わせるほど鮮やかだ。
そして、その輝きが朗読する私の時間を断ち切り、朝へと連れ戻した。
気がつけば、たしかに季節はもう深い秋。
すてきなテキストを読ませてくれてありがとう。
m. h. k.
国内では、森鷗外の邦題『恋愛三昧』が定着している。この本をじっさいに手に取った事はなくても、辞書を引いている時に偶然に見かけたという人もいるかもしれない。本文を読めば、原語の持つ“軽さ”よりも、むしろ“恋に没頭する”“恋愛に浸りきる”という濃密な響きをもつ語が選ばれているのが不思議だった。江戸文学へのオマージュかパロディかと考えて調べたが、江戸歌舞伎や浄瑠璃に「〜三昧」と名づけられた演目は見当たらない。(「三昧」って仏教語なのですね。知らなかった。)
もしかしたら、単なる軽い恋の劇としてではなく、恋の渦中で揺れる男の心理が、恋の駆け引きに呑み込まれ、破局へと転落してゆく悲劇性までを含めて受け止めるために、この語を選んだのかもしれない。本人に聞いてみたい。

m. h. k.
恋をうたう
肉体的に死んだあと
ひらくもうひとつの夏の花
私たちよりも高くて広々と
大らかな秋の夜の空
それって──
(すきま風が吹きぬける)
あなたの
記憶みたい
靴底は擦り切れた。町を歩きながら。これは夢だ。夢の中で歩いてるんだ。ひもは解けたまま。くりかえし、くりかえしてそう考えた。
なにか──秋にみる夏の夢。きらきら光る夏の日差しが髪を焦がした。──珊瑚のように。暗黒の深海でしずかに撓み始める。
(そして数年後のある夏の日)
研ぎ澄まされた瞳は眼窩からこぼれ落ち
たったひとつのガラスの球体を残す。
そのとき世界は消えて
青い透明さだけが
わたしを包む。

Fall
m. h. k.
- SADE (Etudes sur sa vide et sur son oeuvre)
ジルベール・レリー
『サド侯爵―─その"虚"と作品のエチュード』
sa videはvie(生涯)の入力誤り。
でも、誤字にしては出来すぎてて笑
Marquis(E)
m. h. k.
海の前に立つ。
九月に荒ぶ潮、怒れる波、
灰色と青が交互に現れ、奇妙な緑を混ぜる。
声は語る──狂気のことを、
あるいは魚の虚ろな眼を、
あるいは干からびた海藻のように
干潮の浜に打ち棄てられた主題のことを。
風が砂浜を駆け抜け、
夕暮れの沈黙のなかで
水のコーパスが古い統一を取り戻す。
だが海は、人に忘れられることを望む。
その深みに眠っているのは、
眠りすらも保持しない映像──
難破船の帆柱にしがみつく腕。
抽象の船が、
朝が見逃した地平の上を
ゆるやかに過ぎていった。
大地の裏側へと浸み入り、
ときおり港の音楽にさえ忘れ去られながら。
詩は──そう聞いた──
その気まぐれを無視した。
永遠の境界を越え、
夜の言葉をまとい、
死を身に沁み込ませた。
海辺に立つ私は、
なにも気づかぬ。
ただ言うのだ、
ゆっくりと、声をひそめて、
そのすべての矛盾を繰り返す。
ヌーノ・ジュディス

andata
m. h. k.
(まよなかの狭間に立つ喃語)
辞書を並べて、眺めるうち。
細やかな語彙論が出来上がる。
愉しいな。コントみたいだな。
サラダみたい🥗🥗🥗
ノートにことばを並べて、
お皿に野菜をよそって。
才気なんてなくても、語を読み違えてしまう──それがシノニム(同義語)の本質ではないだろうか──誤読(意味するコト)が小さな文字が鮨詰めにされたインディア紙のうえに、あたらしいゲシュタルト(意味されるコト)を紡いでいく。
わたしがわたしであるせいで、頼まれたわけでもなく繰り返す日々が、わたしたちの存在を編みあげ、変えてしまうみたいに。
もうわたしは居ない
だれかの記憶のなかを
今日も旅してる
🌬️ ⭐✨🌙💎

June
m. h. k.
また、一年つづかなかった。
みんなフォローありがと。
申し訳なくもある。
m. h. k.
m. h. k.
夢のあなたはどんな姿でしょう。
たとえ変身していてもわかるように、
どうか銀の鈴を身につけていてください。
響く音は、りん、りん、りん。
小さな赤い実のつぶれた跡が
かすかに甘やかな香りを放つ。
乾いた草原に身を預け、
外気の冷たさと匂いを吸い込みながら
わたしは眠りに落ちていく。
やがて──まるで夜そのものが近づいてくるように、
一台の馬車が姿を現す。
軋む車輪の音、
石畳を打つ蹄音だけが
ゆっくりと通りを満たしていく。
その気配のなかわたしは、
うつつと夢の閾へとゆっくり沈み、
そして──
あなたへと目覚めるのでしょう。

m. h. k.
714(※1)の昏睡から目を覚まして
ひどい冷気に窓を閉める
クスリを呑みつづけて
この世界に負けないくらい
タフになるんだ
生きるのが苦痛
今夜死んだって
気にするもんか
だって、ぼくはニュークリア・ボーイ
──核の支配する世界に生きているんだ
**
ぼくなんか どうだっていい
きみだって どうだっていい
ごらんよ
きみにできることなんて
まるで見つかりっこない
真実なんて知りたくない
ほんとの恋人なんて欲しくない
だって、ぼくはニュークリア・ボーイ
──核の支配する世界に生きているんだ
**
わかってる
これはひとりぼっちの戦い
ライフルを手にしたら
夜の世界に飛び込むんだ
今日も
世界の中心を
冷たい闇の手が覆う
どうしてぼくらはみんな
焦燥感に苦しむんだろう
ボタンを押せばいい
いつだって
ぼくらは正しかったはず
この世界を
生き抜くつもりなら
非情にならなければ
**
(...)
**
太陽の光が
あたまの上に降りそそぐ
それが分からない
太陽は見えるはず
だけど眼に映らない
太陽の熱が
空から降りそそぐ
それが見えない
太陽の光なんて
まるで感じられない
714の昏睡から目を覚まして
ひどい冷気に窓を閉める
クスリを呑みつづけて
この世界に負けないくらい
タフになるんだ
生きるのが苦痛
今夜死んだって
気にするもんか
だって、ぼくはニュークリア・ボーイ
──核の支配する世界に生きているんだ
**
(...)
**
だって、ぼくはニュークリア・ボーイ
──核の支配する世界に生きているんだ×3
(※1)睡眠薬「クエルード」を指す。
錠剤にはの刻印があった。
1970年代に乱用され、
強い鎮静作用や幻覚、記憶障害を
引き起こした。

Nuclear Boy
m. h. k.
アンリ・ド・モンテルラン
_______
夜ごと、流されるインクは名も知らぬ夢のかけらを運ぶ。まだ生まれていない夢、かすかに生きた夢、いずれ訪れる夢。夜には、あなたが読む言葉がそっとあなたを覗き込み、あなたが書きつける一行があなた自身をそっと形作る。段落は宙を漂う。それは、わずかに顫え、闇の奥へと折れ曲がり、あなたもまたそれに合わせて、かがみ、つまずくように闇へとその身を沈めるだろう。
_______
永遠を宿す者は、滅びを抱かねばならない。
アンナ・ド・ノアイユ

m. h. k.
私は18歳になるまで、クラシック音楽のコンサートに行ったことがなかった。コンサートはスイス・アルプスの高地にある、小さな礼拝堂で開かれた。そこに、あまりに多くの人がつめかけたので、屋根の下は息苦しく感じられた。しかし、少なくとも腰をかけるベンチ(教会の座席)があった。音楽を聴き始めて15分ほどで、私は眠りに落ちてしまった。退屈だったわけではない。むしろリラックスしていて、たぶん幸せだったのだと思う(私はこれまで「幸福」という感覚をうまく理解できたことがないのだが)。コンサートが終わったとき、目を覚まして、眠ってしまっていたことを恥ずかしく思った。観客たちは出口へと向かっていた。
舞台が終わったあとの床には、プログラムの紙面が散らばっている。あなたは気づいたことがあるだろうか? 一時間前、コンサートが始まるときには、誰もがプログラムを欲しがり、両手でしっかり握りしめて手放そうとはしない。だが、終演後には、それを空いた席に置き去りにし、それはやがて床に静かに滑り落ちていく。それを見ると、いつも悲しくなる。
だから私は帰り際、床に落ちていた一枚を拾い上げた。ブラームスの《子守唄》。──それが、コンサートの全体を表現していたのだ! ふいに私は思った。もしかすると、眠ってしまったことで、むしろ私こそが本当にその音楽を聴いた唯一の人間だったのではないか、と。
もちろん、これは自分を慰めるための思い込みだろう。心持ちとは、そういうふうに奇妙なものだ。ブラームスの子守唄。私はプログラムをカバンに忍ばせ、心地よい昼寝の記念品として、礼拝堂をあとにした。外は寒く、星空が広がっていた。その夜のことを思い出すと、音楽よりも星のほうをよく覚えている。星を見上げながら、床に散らばったプログラムのことを考えていたのだ。
ブラームスは好きな作曲家だとは言えない。しかし、私が常に愛してきた芸術家が一人いる。スイスの彫刻家、画家のジャコメッティだ。彼の作品を見ると、人々が口々に語る「緊張感」を確かに感じることができるが、それにもかかわらず、彼の作品は、いつも私に不思議な静けさをもたらしてくれた。ちょうどあの晩のブラームスのように。──まるで、すべてが無限の沈黙と空間に広がり、巨大な素描の一部となり、その素描の一部である彼のデッサンがさらにその大きな素描の一部であるかのように。全体を見ようとすればあまりに大きく、眠りに落ちてしまう。つまり意識を失ってしまうのだ。ジャコメッティ、私の子守唄。
ヘンリー・ミラーもまた、読むと眠りに落ちる芸術家の一人だ。私は彼を読みながらよく眠ってしまう。彼があの硬質なことば──cunt を繰り返し用いるとき、それはやがて柔らかいもの、非常に柔らかいものへと変わっていく。驚くべきことに、実際 cunt とは本当に柔らかいものだ。暖かく、柔らかく、若さに濡れた場所――つまり「斑=点=染み(spot)」なのだ。宇宙の大きさの中で星が点のように見えるのと同じように。
その夜の記憶を振り返ると、私は音楽そのものよりも星空を覚えている。しかし星を見上げながらも、床に散らばったプログラムを思い出していた。ブラームスは決して一番好きな作曲家ではないけれど、私には「子守唄」のような存在が他にもいた。ジャコメッティ。そしてヘンリー・ミラー。彼らはそれぞれ、自分なりの仕方で「何もない」ということを語りながら、結局は私を眠りへと導くのだ。
メアリー・ルーフル

m. h. k.
ひと言で
会えたら
いいのに
ね。

m. h. k.
