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m. h. k.

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エチカ

海の前に立つ。
九月に荒ぶ潮、怒れる波、
灰色と青が交互に現れ、奇妙な緑を混ぜる。

声は語る──狂気のことを、
あるいは魚の虚ろな眼を、
あるいは干からびた海藻のように
干潮の浜に打ち棄てられた主題のことを。

風が砂浜を駆け抜け、
夕暮れの沈黙のなかで
水のコーパスが古い統一を取り戻す。

だが海は、人に忘れられることを望む。
その深みに眠っているのは、
眠りすらも保持しない映像──
難破船の帆柱にしがみつく腕。

抽象の船が、
朝が見逃した地平の上を
ゆるやかに過ぎていった。
大地の裏側へと浸み入り、
ときおり港の音楽にさえ忘れ去られながら。

詩は──そう聞いた──
その気まぐれを無視した。
永遠の境界を越え、
夜の言葉をまとい、
死を身に沁み込ませた。

海辺に立つ私は、
なにも気づかぬ。
ただ言うのだ、
ゆっくりと、声をひそめて、
そのすべての矛盾を繰り返す。

ヌーノ・ジュディス
GRAVITY

andata

坂本龍一

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コメント

m. h. k.

m. h. k. 投稿者

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朝に海とわたしの前を横滑りする驚異の幽霊船。主題なき概念の彷徨い。ことばの道行き。永遠のラビリンスの彷徨いを決定論的に導くアリアドネの糸。ほら。こんなところにまでBlue(s)が... 。

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海の青は深淵、ラピスラズリの青(マリアの衣)は天・神性・観念。ジュディスの詩の海は、沈む・忘却・深み・死の下方の力学。言(ことばの)海。

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L'homme et la mer

Alexandre Païta

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