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遁世

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ソクラテスの言葉としてネットでもよく引用される「無知の知」とは、正確には「不知の自覚」であるというのが古代ギリシア哲学の研究者に共有された認識のようである
「無知の知」というと「私は自分が無知であることを知っている点で、それを知らないあなたよりも優れている」といった相手よりも知の優位を誇示するための論理に用いられがちである
確かに、ソクラテスの振る舞いには、その面も無かったとは言い切れないところがある
だが、ソクラテスが主として示したかったことはそうではないだろう
我々は、知に関してまったく不知であること、その自覚を相手との対話によって促すことで、互いが「本当のことを」知るための土台をつくろうとしたのである。
己の知や教養を誇るソフィスト(弁論家)にとっては、自らの誇るべき特性であり商品を、根底から覆されることは、死活問題であり我慢がならなかった。
他にも、当時のギリシア人の宗教観にとって、己の信じている神に対して根底から疑義が呈される危険性を嗅ぎ取ったのかもしれない。
そうした諸々の事情が、ソクラテスへの反感や憎悪に向っていったというのは想像に難くないことである。
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ponzi

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トゥー・ザ・ムーン

あらすじ

33歳のタケシは、うだつの上がらないパチプロ。明治大学経済学部を入学後3日で中退して職を転々としていた。30歳をすぎ、タケシの周囲のニート仲間たちも定職に就き家族を持ち始めた。そんなある日、バイト先を探すため求人情報誌を眺めていると、「金融トレーダー募集」の広告を見つけた。基本給15万円プラス歩合制だという。ギャンブラーとしての血が騒ぐタケシ。


タケシが入社した「ウルフ証券」は営業マンとして成績の良い順にトレーダーに昇格する仕組み。タケシは持ち前のナンパテクニックでおばさまたちをたくみにひっかけ、お年寄りには孫キャラを演じ売り上げをぐんぐん伸ばして行った。そして、ついにトレーダー昇格。


しかし、現実はそう甘くはなくすぐに成績不振でトレーダーをクビになった。トレーダー成績ナンバーワンの、56歳の、通称「おばちゃん」、ミカの指導を受け徐々に上達していくタケシ。


「トレンドが出ている相場に乗りなさい」。ミカおばちゃんのアドバイスを受けてタケシはコロナの暴落相場、その後の大規模財政出動による反発相場を経験して、何とか資産1億円を達成した。ラウンジでナンパした25歳ラウンジ嬢で簿記2級を持つ商業高校卒業のユリエとともに独立して、ヘッジファンド「ソフィスト」を設立した。


コロナ相場を経て、マーケットは次第に材料不足となり、硬直化して動きがなくなっていった。ミカおばちゃんとは連絡を取り合っていたが、おばちゃんは「こういう時はいっさいトレードしないのが正解よ、タケシ。タイミーで日雇いバイトでもしている方がよほど生産的で儲かるわ」。


タケシはとりあえず、警備員と食品工場の日雇いバイトを始めた。月収16万円くらいだが、久しぶりにモニターとにらめっこする生活から離れ、意気揚々と日雇いバイトに従事した。資産は2億円はある。ユリエにも近所のスーパーにパートに出てもらい、2人は東京都江戸川区の4000万円で購入したマンションに住んでいた。

おばちゃんも今は端境期でほぼトレードはしておらず、タケシやユリエと頻繁に会って今後の戦略を練っていた。おばちゃんは、「とにかく、こういう時期は焦っちゃダメ。相場が動き出すまで何年でも待つべきよ。2人で旅行にでも行ってらっしゃい」。

タケシは、「最近は全然相場に入ってないです。SNSを見ると無理してトレードして退場しているトレーダーの報告をよく目にします。うちはもう俺のタイミーの収入とユリエのパート収入だけできほん生活しています。ぜいたくもしない。買ったのは4000万円のマンションくらい」。

タケシは続ける。

「あとは、ユリエといい加減、籍入れようと思って。俺が37歳ユリエが29歳になったし、頃合いだと思う。おばちゃん、媒酌人になってよ」。


アメリカ大統領選挙、日本の衆議院選挙、そしてロシアとウクライナの戦争。再びマーケットは活気を取り戻した。世界戦争とコロナ明け需要により、世界的なインフレも進み、猛烈な円安ドル高、株高が進んだ。おばちゃんも再びウルフ証券のエースとして大忙しになったみたいだ。「買いよ、買い。全部買って!」。

大きなトレンドに乗ること。資産を守る時期は守ること。おばちゃんが口を酸っぱくして言っていたのはこれだけだった。


ドル円は110円から150円まで、日経平均株価は20000円台から40000円越えまで、わずか1年で急進した。「頃合いだ」。タケシはすべてのポジションを手仕舞ってマーケットからの引退を決めた。資産は10億円を越え、日比谷の金融関係者の間でもタケシは顔が効く存在になっていた。経済誌やテレビの経済番組などメディアにも少しだが露出した。しかし、もうタケシは相場に入ることはなかった。

「もったいない」。ユリエをはじめ知人たちは顔をしかめたが、タケシの決心は変わらなかった。

「運が良すぎたんだ。おばちゃんやユリエとも出会って。たまたま今日まで勝ち残れた。これからは、日雇いバイトをしながら社会貢献をして行こうと思う。でなければ、いつか手痛いしっぺ返しがくるだろう。人間の運の総量は決まってる。阿佐田哲也さんも著作の中でそう書いてる」。

おばちゃんは、

「アンタらしい幕引きね。根が優しい、お人好し。でも、自分の身の程をわきまえてる。引退記念にユリエちゃんと海外旅行にでも行ってらっしゃいな」。


タケシとユリエはアメリカへ1ヶ月の旅行に出た。ニューヨークのウォール街も見物に行った。

「やっぱ、日比谷と似てるなー」。

タケシは呻く。

日本に帰国してしばらく経ち、ユリエが妊娠した。

「気張って産むわ!」

ユリエは笑った。

「さて、今日もタイミーの日雇いバイトに精を出すか!」

東京都江戸川区の4000万円のマンションから、タケシは今日も食品工場に出勤する。
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王子さまは一つ疑問が湧いてくれば、返答があるまで訊くのを辞めない。

中島義道は本作を「非哲学的だ」と切り捨てていたが、問いを手放さない王子さまの我慢強さは、古代ギリシャのソフィスト達に議論を吹っかけていった、ソクラテスの姿を彷彿とさせる所がある。

哲学には、沈思黙考型と対話型、2種類があるような気がしている。前者には、キルケゴールやウィトゲンシュタインや永井均が当てはまる。後者には、ソクラテスやヘーゲルやフッサールが当てはまる。王子さまは、対話型の哲学をしている。
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