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HIIRON
『こころの処方箋』(新潮文庫)
著者の河合隼雄は、臨床心理学者・文化功労者・文化庁長官・京都大学教授を務めた人物である。
本著はAmazonレビュー 4.2/1117の評価を誇る、疲弊した心に真の勇気を起こし秘策を生み出す必携のロングセラーエッセイ集である。「心の常識」があまり知られていない時代だからこそ、腹の底では分かっているのだが言葉にすることが難しい「心の常識」を55章に分けて説明している。「16章 心のなかの勝負は51対49のことが多い」「32章 うそは常備薬 真実は劇薬」「37章 一人でも二人、二人でも一人で生きるつもり」の三章が特に印象に残っている。
物事をAかBどちらかに決める場合は、その相反する気持ちの間で勝負が決まり、Aが勝つと、それだけが前面に現れ主張されるが、その実はその反対の傾向が存在しており、それは、51対49と言いたいほどの際どい差であることが多いという心の捉え方は、人間の言葉と行動の不一致に関する否定・懐疑的な捉え方に対し、肯定・柔軟的に捉え直すことを促すと考える。
真実を語るのは良いことだと単純に確信している人や、適当な嘘を上手に交えて人間関係を円滑にすることが大切だと唱える人もいるが、嘘でも真実でもない表現をすることも大切である。また、終始この表現ばかりでは面白くないため、時には嘘を交え、そして、ここぞという時のみ真実を語る、その匙加減こそが重要であると述べている。言ってはならぬ真実を口にしたため、人間関係が壊れてしまった経験をお持ちの方は、多く居られることと思うが、この匙加減は人間関係を維持する上で役立つと考える。
一人で楽しく生きている人は、心のなかに何らかのパートナーを持っている可能性があり、一人で生きてゆくためには、そのような意味で二人で生きてゆくことができねばならず、二人で生きている人は、一人でも生きられる強さを前提とし、二人で生きてゆくことが必要であり、一人でも生きてゆける人間が二人で生き、お互いに助け合ってゆくところに楽しみが見出せるという考え方は、特に人生100年時代を生きる私たちの結婚・恋愛の在り方を考え直す上で重要な視点だと考える。
約248ページと内容は浅く読みやすい印象を受けた。誰にでも薦めたい一冊である。
#読書 #読了 #古典
#GRAVITY読書部 #読書記録

コメント
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小國(おぐに)
この本知ってます。まだ読んでませんがそういう内容なのですね。「嘘でも真実でも無い表現」が気になりますね。いつか読んでみたいと思います。
らら
へー読んでみたくなる‼️
たけ
「こころの処方箋」懐かしいですね。 まだ僕の本棚の奥に、1〜3巻まで残ってます。
とあ
わぁぁ✨✩⋆*॰¨̮⋆。˚ 読んでみますッ!!✨
ふーや
村上春樹さんの親友ですよね! 村上春樹さんが河合さんは同情心より真実を理解する力が他の人より凄いって!!