
アメジスト
読書しました
睡眠の起源
金谷啓之 著
講談社現代新書
著者の生い立ちの話はとても興味深かったです。
小学生の頃からアゲハチョウについての大がかりな自由研究をされていて、高校ではプラナリアの研究、その後はヒドラと、研究一筋で不断の努力をしている生き様を応援したいと思いました。
何かの専門家になれる人ってすごいなと思います。
小学生の頃にクロアゲハの生態に興味を持って、実際に飼育して解明するというエピソードは、まさに研究者になるべくしてなる素質を幼少期から持っていたんだなという特別感を感じます。
毎日のように思考実験をする粘り強さや凡人では持ちえない好奇心の強さ。
漁師からクラゲは寝てるんだという話を聞いて、そこから研究を広げるというのは、凡人ではできないアプローチです。
科学ミステリーを帯に書いていますが、著者の頭脳がミステリーですね。
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読書記録です
これからの「正義」の話をしよう
今を生き延びるための哲学
マイケル・サンデル 著
鬼澤忍 著
ハヤカワ文庫
難解な内容ですが、政治や経済についての哲学的な深い考え方にじっくりと触れることができる内容となっています。
正義とは何か
同じ考え方の人が多いことがいいことなのか
つまり、多数決や最大多数の最大幸福がいいのか
選択の自由を尊重することがいいのか
つまり、自分の信じていること、自分の良心に従うのがいいのか
その上で、著者は第三の選択
アリストテレスの説く政治の目的は良き生だというものを現代的に解釈して
美徳を涵養して、共通善を論理的に考える大切さを説いています
その選択肢が理にかなっているか、全員に良い事なのか、特に立場の弱い人にとって不利になっていないかということを考えることが正義なのではないかという考察しています
功利主義、リバタリアニズム、イマヌエル・カント、ジョン・ロールズ、アリストテレスなどのそれぞれの哲学の各論についての考察はとても勉強になります
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読書記録です。
縄文時代の歴史
山田康弘 著
講談社現代新書
僕が住んでいる市内でも縄文時代の遺跡が見つかっているので、縄文時代の歴史についての本は読んでみたかったんですよね。
本書によると、土器の出現をもって縄文時代の始まりとし、灌漑水田稲作をもって弥生時代の始まりとするのが、定説だそうです。
土器の出現は最も古い場合は16500年前、灌漑水田稲作は最も古いのは、3000年前、または2400年前になり、その間が縄文時代ということになるそうです。
この時代は、狩猟、採集、漁労を主な生業とし、土器や弓矢を使い、本格的な定住生活も始まりました。
温暖な気候に恵まれ、栗林の育成(前期)、漆の採集(前期)、海水からの塩の精製(後晩期)などもおこなわれていたそうです。
特に、中期にあたる5470年くらい前から4420年くらい前に縄文時代の最盛期を迎え、日本列島全体の人口は26万人程度となり、西日本より東日本のほうが人口が多かったそうです。
また、縄文土器の一般的なイメージである派手で大ぶりな文様な付けられた土器や、有名な国宝の土偶「縄文のビーナス」は、この中期の時代に作られました。
東北地方において、精巧な亀ケ岡式土器や遮光器土偶を生み出した亀ケ岡文化が発達した時期が、晩期(3220年くらい前から2350年くらい前)となっています。
北海道の千歳市、恵庭市、苫小牧市などの石狩低地帯からは縄文時代後晩期につくったとみられる、周堤墓という大型の墓が発掘されているそうです。
周堤墓に埋葬される人/埋葬されない人の格差
周堤墓に埋葬される人々の中でも
周堤墓の中心部に埋葬される人/
周堤墓の内部空間に埋葬される人/
周堤上に埋葬される人/
という格差があったということが想定されるそうです
既にこの時代は単純な平等社会ではなく、すでに社会に階層が存在する「複雑化した社会」であった可能性が高いそうです。
縄文時代の人々は現代の意識高い系の方々が持っているようなサステナブルでエコロジカルで自然と共生しようという考えを持っていたというわけではなく、ごく少ない人口下で、石器によって人力で自然を切り開いていたので、開発の度合いよりも、自然の回復力の方が優っていただけというのが、この時代の真相だそうです。
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読書記録です
科学哲学への招待
野家啓一 著
ちくま学芸文庫
第10章で解説されているポパーの反証主義
幽霊のような反証できないものは科学の対象ではないこと
科学の説というのは、あくまでも反証されるまでの永遠の仮説であること
反証可能性がある以上、科学の説に絶対というものはないこと
これが科学の考え方の基本だそうです
p257より抜粋します
善意の企図から出発した科学技術の利用が、意図せざる災厄をもたらすことは、今回の原発事故を例に引くまでもなく十分にありえると考えねばならない。
いわば現代の科学技術は使用者の善意・悪意にかかわらず、否応なく社会的リスクと表裏一体のものであり、その意味で「価値中立的」ではありえない。
現代社会においてはリスク・ゼロの科学技術は存在しないと、承知すべきであろう。
われわれは科学技術というモンスターを、それがもたらす「最悪のシナリオ」を想定したうえで、コントロールせねばならない時代に生きているのである。
科学技術に対する無条件の賛美や安全神話というのは非常に危険なものであるんだなと考えさせられました。
p275から抜粋します
アメリカ先住民には「大地は子孫が貸してくれたもの」という格言がある
「私たちは自然の所有者なのではない。私たちにはその用益権があるのみなのだ。」
われわれには大地を汚染したり破壊することなく、未来世代に返却する義務がある
この子孫からの貸与という思想は、逆に言えば、世代間倫理を市場における「交換」や「契約」といった双務性においてではなく、未来世代への片務的な「贈与」という観点から捉え直すことにつながる
科学技術という怪物を、未来世代への義務を果たすためだけに利用されるようにコントロールするためにはどうすればいいのか、考える必要があるように感じました。
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読書しました
[増補]近代の呪い
渡辺京二 著
平凡社ライブラリー
西洋由来の科学・技術と自由、民主主義、人権尊重、法の支配という普遍的な価値観を掲げる憲法を導入することで、国民全体の衣食住の質の著しい向上と安心・安全に生活できる社会のもとで生きられるようになりました。
これが近代のめぐみですが、その一方で国家間における熾烈な競争がおこなわれているので、大きな格差問題がおきていること。経済発展を追い求めるあまり、自然を徹底的に収奪し、人間を自然という実在の中に謙虚に位置づける感覚を失わせたことを、近代の呪いとして問題提起した内容となっています。
「フランス革命は世界史の新しい時代を切り開いた輝かしい革命であり、フランス革命を抜きにして現代社会を考えることはできない」
という旧来のフランス革命像を再考し、フランス革命はクーデターとテロルの祭りだった面に着目しています。
アンシャン・レジームは共同体の特権、共同体が構成員を保護していること、貴族による王権への抵抗などの特徴があり、自由主義を内包している面もあったことに注目しています。
前近代は決して蒙昧な時代ではなく、近代の呪いから自由になるためのヒントをくれるかもしれない。
歴史と真摯に向き合うことが現代社会が抱える問題を解決する、なんらかのヒントをくれるのかもしれません。
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読書記録です。
カナダ
-資源・ハイテク・移民が拓く未来の「準超大国」
山野内勘二 著
カナダは大国だなあという認識はありましたが、食料自給率230%、エネルギー自給率180%と聞くと、改めて資源大国としての凄さを感じます。
日本でもマクドナルドのフライドポテトや小麦、キャノーラ油の原料である菜種、豚肉をカナダから輸入しており、日本の食卓はカナダが支えている面も大きいようです。
AIや量子コンピュータの開発も世界の最先端を走っているようで、大国として大きな可能性に満ち溢れた国なんだなと感じました。
今、Eテレで放送されているアニメ「アン・シャーリー」の舞台もカナダ東岸のプリンスエドワード島ですからね🇨🇦
魅力を感じる国です
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#地理
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読書記録です。
観音 地蔵 不動
庶民のほとけ
頼富本宏 著
角川ソフィア文庫
僕の住んでいる地域の周辺では、地蔵信仰や不動信仰が行われているところがあるので、少し知ってみたいと思ったので、本書を読みました。
地蔵信仰は
地蔵菩薩の六道救済にちなんで六体の地蔵菩薩を集合させた六地蔵
三途の川の賽の河原で石塔を積む夭折した子供たちを守護する地蔵
戦で加勢してくれる地蔵
災難にあった時に身代わりになってくれる地蔵
寿命を伸ばしてくれる地蔵
田植えを手伝ってくれる地蔵
夏の地蔵盆が子供のための祭りという性格が強いのは、地蔵菩薩は子供のほとけという意味合いが濃いからであるようです。
千葉県の成田山は不動信仰の一大拠点で、江戸歌舞伎の初代市川團十郎は熱烈な不動尊信者で、不動尊に願をかけて長男の九蔵(二代目團十郎)を得たといい、そのためにますます不動尊の信仰を深め、自らが生身の不動尊を演じて大喝采を得ました。
その後、代々の市川團十郎は不動尊信仰の念篤く、市川團十郎の屋号が成田屋であるのは、ここに起因しているそうです。
勉強になりました。
不動明王が盗賊に金縛りをかけて懲らしめたという伝説があるそうで、不動明王はボディーガード的な性格があるようです。
地蔵信仰が交通事故で亡くなった犠牲者に弔うことに重点を置くことに対して、不動信仰は交通事故そのものを阻止することに重点を置くことに特徴があるようです。
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読書記録です。
日本政治学史
丸山眞男からジェンダー論、実験政治学まで
酒井大輔 著
中公新書
想像以上に難解な内容でした。
政治に少し関心がある程度の心持ちだけで、政治学について読み解くのは無理ですね。
大まかな概要としては
20世紀後半における政治学は
「研究者の価値観」に基づく「過去や現状の分析」
そこでは「現状の分析」とともに「理念の追求」をも目指されたそうです
しかしながら21世紀に入ると
規範と実証、価値と事実を峻別し、
科学として純化するために
価値観を持ち込まず事実を明確しようとする方向性が強まったそうです
その一方で
「科学的」であることを目指すあまり
データは「(すでに演繹的に構築された)理論の正当性を検証するため」と位置づけられ
政治を「検証の素材」として扱われることが多くなっているそうです
素人の感想ですが
「権力の実態を明らかにすること」と
「望ましい社会を実現するため」にはどうすればいいのかを研究することを
両立してやればいいのではと思いました
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#社会科学
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読書記録です。
ヤマト王権
吉村武彦 著
岩波新書
本書がカバーするのは、邪馬台国の時代から謎の4世紀を経て、倭の五王から継体、欽明の時代に仏教が伝来して古墳がつくられなくなる時代までのいわゆる古墳時代と呼ばれる時代です。
p86で述べられているとおり、「大王」号が後世の創作であるならば、倭王権の王は倭王と呼ぶのが妥当であるようです。
仁徳が河内王朝なのかどうかは、少なくとも古墳の発掘調査でもしないと、推測に推測を重ねる仮説しか言えないのが現状であり、つかみどころが難しい時代なんだなと感じました。
本書ではなぜか日本書紀がそうなっているからと理由で継体を応神五世孫と認めていますが、僕は信ぴょう性に乏しいと思います。
継体死後の二王朝並立や内乱の可能性についても否定する根拠は薄弱なように思います。
日本書紀や古事記と王家のある種の神聖性に引っ張られているように感じます。
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#倭国
#倭王


アメジスト
読書記録です
それをお金で買いますか
市場主義の限界
マイケル・サンデル 著
鬼澤忍 訳
ハヤカワ・ノンフィクション文庫
本書は2012年に単行本で出版されたものですが、市場主義の腐敗に警鐘を鳴らす内容は、10年経った今はより深刻化していると感じました。
本書において述べられている米国における市場主義の腐敗を日本が後追いしているので、まさに今の日本の社会問題について考えさせられる内容となっています。
現在、社会問題となっている転売ヤーは、道徳的・政治的な問題であり、不公正であり市場主義の腐敗であるということが、10年前に出版された本書において述べられています。
近年は公共施設の命名権を売ったり、公共施設において広告掲示板が置かれることが多くなりましたが、それについても公共施設の公共性を損なう恐れがあるのではないかと警鐘を鳴らしています。
例えば、自治体で発行している母子手帳などを広告欄を売って発行するというものがありますが、公共物における道徳的・市民的「善」が貶められるのではないかという恐れが考えられます。
本来であれば、予算の再配分、あるいは増税してでも、道徳的・市民的責任をみんなで分かちあうべきではないかということが本書のメッセージとして伝わってきました。
#読書
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#マイケル・サンデル
#市場主義
#道徳

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上級者の方が効率的な英語学習法を発信してくださるのは大大大歓迎ですが、押し付けのようになってしまうと、逆に学習者のモチベーションを下げかねないので気をつけてください。これは私の持論ですが、非効率な勉強法も未熟なうちは必要だと思います。元メジャーリーガーのイチロー選手の言葉で、「無駄なことをいっぱいしないと、何が無駄じゃないかわからない」というものがあります。非効率な勉強も成長の過程では重要だということを表しています。
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