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我孫子丸

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そっふぃ
アクア−Devil
◆絵本風・長文物語◆
入り口の塔の大きな扉を、
「コン、コン」とひかえめに叩く音が響きました。
夕暮れの光が細く差し込む中、ヤンナおばあさんが扉を開けると、
冷たく湿った風といっしょに、旅装束の三人が立っていました。
女の人が二人、男の人が一人。どの顔も、長い旅に疲れきっているようでした。
「ユトレヒトから来ました……なにか、食べ物はありませんか。
この二日間、古くなったパンを少し、かじっただけで……」
三人の声はかすれ、今にも消え入りそうでした。
服はすっかりすすけ、肩には雪の粒がまだ残っています。
足取りはふらつき、冷えた指先は小さく震えていました。
するとヤンナおばあさんは、
「それはそれは、お気の毒に。さあさあ、中へお入り。」
と、迷いのない声で言いました。
台所へ案内されると、三人はとたんに目を潤ませました。
冷たい外気から一歩踏み入れたその場所は、
煮込んだ豆の香りがふわっと広がる、やわらかいあたたかさで満ちていました。
ノーチェが薪をくべると、ぱちぱちと火の粉がはじけ、
スープの鍋がごうごうと軽やかに歌い始めます。
「ここにおかけなさい。」
おばあさんは、棚からきれいに洗った皿を取り出し、
三人の前にそっと並べました。
旅人たちの顔は、血の気がすっかり抜け、
頬はほそくこけ、目の下には深い影。
けれど席に座り、あたたかい湯気を見つめると、
その表情に少しずつ命の色が戻り始めました。
ヤンナおばあさんがよそった豆のスープは、
こんがり焼いたニンジンや玉ねぎが溶け込み、
やさしい香りが台所いっぱいに広がっていました。
三人は言葉も忘れたように、黙々とスープをすくい、
口に運びました。
あたたかさが喉を通るたび、固くなっていた肩がすっと下がり、
こわばっていた表情がゆるんでいきました。
一杯目を飲み干すと、
女の人がそっと皿を両手で抱くように持ち、
おずおずと「……もう一杯、いただいても?」とつぶやきました。
「もちろんさとも!」
ヤンナおばあさんは、ぱっと笑い、
たっぷりとおかわりをよそいました。
二杯目、三杯目と、三人はじっくり味わうように飲み、
やがて女の人たちは恥ずかしそうに笑って、
「もう飲めませんわ……本当に、ごちそうさまでした。」と頭を下げました。
けれど、男の人の皿はまだ空になっていません。
ヤンナおばあさんは見逃さず、
「ほら、遠慮はいらないよ。」と言って、
たっぷりおたまをすくい、そっと彼の皿に注ぎました。
男の人は、お腹がいっぱいになってきたのか、
今度はスプーンをゆっくりと動かし、ひと口ひと口を噛みしめます。
その姿は、長い長い旅の終わりにようやく見つけた
“休む場所”を味わっているかのようでした。
台所の窓からは、外の風が遠くでうなる音が聞こえましたが、
この小さな家の中には、
スープの湯気と、人を思いやる心のぬくもりが漂っていました。
その夜、三人の旅人はようやく体を休め、
ヤンナおばあさんとノーチェは静かに皿を洗いながら、
「暖かいスープがあれば、人はまた歩き出せるものだよ。」
と、しみじみ語り合うのでした。
そして家の中には、
満たされたお腹と、安心した心がつくり出す、
穏やかな夜の気配がゆっくりと流れていきました。


らんたん

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#DJMix #Podcast #SoundCloud #DJ #ねむい

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あおこ
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