「開かれた共感」と「閉じた信仰」ナラティブマーケティングとチャーチマーケティングは、どちらも「共感」を重視する手法だが、性質はかなり違う。ナラティブマーケティングは、物語や体験談を通じて共感を誘い、判断を感情側に寄せる。チャーチマーケティングは、価値観や敵味方の線引きを強め、「信じるか否か」の世界をつくる。前者は気づけば好意を持たせ、後者は疑うこと自体を裏切りに変える。これは商品だけでなく、政党や政治家、タレント、インフルエンサーにも使われる。そしてニュースですら、事実報道を装いながら、特定の物語や信仰構造に組み込まれることがある。大事なのは「共感したか」より「考える余地が残されているか」。物語に酔わず、信仰に閉じない視点を持つことが、見る側の最低限の防御になる。