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#楽しく分かる万葉集 7 / 東歌上野国歌
「楽しく分かる万葉集」を読んで、歌の内容と感想を記しています。

【口語訳】
私の恋は思いがけずも悲しいものだ。
草を枕にするような旅の身で、多胡(群馬県多野郡吉井町)の入野の奥深くにいる身も悲しい。
私の恋の悲しさは、今もこれからも変わらず深い。


この歌は自分の恋の切なさを詠みつつ、旅の身であることの寂しさや、多胡の入野という遠い地の情景と重ね合わせているものです。


恋がどこまでも悲しく続くさまを、「草枕」(旅の枕)という言葉と結びつけ、場所の名を詠み込むことで情感を深めています。


上野国の東歌は、当時の上野(かみつけ・こうずけ)国、現在の群馬県を中心に詠まれた歌で、約25首が万葉集の東歌の中にあります。これらの歌は地域性が強く、特に伊香保を詠んだ歌が多いのが特徴です。

この歌の「かなし」は、一応「悲しい」と訳しましたぎが、当時の意味では「愛しい」という意味合いがあるそうです。

そのため「あなたが愛しい…」という恋の歌になりますね✨

#万葉集
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#楽しく分かる万葉集 13 / 高市黒人
「楽しく分かる万葉集」を読んで、歌の内容と感想を記しています。

【口語訳】※本とは異なる訳にしています
さざなみ(近江)の土地の神の心も衰えて、荒廃した都を見ると悲しいことです。


歌の作者は高市黒人(たけちのくろひと)です。

高市黒人は奈良時代初期の歌人で、『万葉集』にこの歌を含む連作などを残しました。


近江大津宮は天智天皇の時代に短期間栄えたが、すぐに遷都され廃墟と化しました。

作者の高市黒人はその荒れ果てた様子に、地の神の威光も失せた無常を嘆いています。


そして、この高市の氏族…
壬申の乱のとき、今の奈良県高市郡にいた高市許梅(たけちのこめ)という人物が神の御告げを受け、大海人皇子が勝利したと言われています。

そのため、同じ氏族である高市黒人も神託をつげるものの血をひいているのではないかという説もあります。

古代では、それぞれの国には、その土地を支配している神がいて、その霊力によって国が栄えると信じられていました。

荒れた都の光景に、国の神の衰えを見るところは、神託に通じるものがうかがえそうです。


そして、いまの…

歴史ロマンを感じますね✨

#万葉集 #高市黒人
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#楽しく分かる万葉集 6 / 山部赤人
「楽しく分かる万葉集」を読んで、歌の内容と感想を記しています。

【口語訳】
田子の浦を通って、出て見ると、富士山の高い峰には真っ白に雪が降り積もっていることだ。

和歌の作者は山部赤人(やまべのあかひと)
下級官人でありながら、その優れた和歌の才能によって聖武天皇に仕え、天皇の地方巡行に同行して各地の景観を詠む歌を多く残しました。

赤人は自然の美しさを詠む叙景歌の名手として高く評価され、柿本人麻呂と共に「歌聖」と称されます。


田子の浦から富士を仰ぎ見たときの、視界いっぱいに広がる雪の白さへの感動を素朴に詠んだ歌です。

後の百人一首では「田子の浦に」「白妙の」「雪は降りつつ」と表現が変化し、より技巧的な歌として採られています。

でも、万葉集での原歌の「真白にそ」は、「凄い!!真っ白だ!」という感動・衝撃の気持ちが素直に出ていて好きです。

#万葉集 #山部赤人
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#楽しく分かる万葉集 / 中大兄
奈良県南部の大和三山(香具山、畝傍山、耳成山)をめぐる神代からの伝説に基づく恋の三角関係を詠んだものです。

この歌は万葉集巻1の13番にあります。

意味としては「香具山は畝傍山を愛しいと思い、耳成山と争いをしている。神話の時代からずっとそうだったようだ。古い昔もそうであったように、現実の人も妻を争うものであるらしい。」という意味になります。

この歌は大和三山(香具山・畝傍山・耳成山)を擬人化し、神話的に愛や争いを表現しています。


この歌の歌人・中大兄皇子(後の天智天皇)、額田王、大海人皇子(後の天武天皇)による三角関係は、飛鳥時代における最も有名で複雑な人間関係の一つだったそうです。

中大兄皇子が詠んだ歌は、この三角関係を象徴的に表現しているとされ、神代の時代から続く山々の争い(神話の物語)になぞらえ、兄弟と女性(三人の関係)を投影しているようです。

山々の神話の話はともかく…
歴史上の人物であっても三角関係はあったと思うと、人の心は当時と変わっていないのだなと思いました。
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#楽しく分かる万葉集 10 / 額田王
「楽しく分かる万葉集」を読んで、歌の内容と感想を記しています。

【口語訳】※本とは異なる訳にしています
紫草の生える「紫野」や、立ち入りを禁じた御料地「標野」をあちこち歩いていると、野を見張る番人(野守)が、あなたが私に袖を振って合図しているのを見てしまうのではありませんか。


この歌の作者 額田王(ぬかたのおおきみ)は、飛鳥時代の有名な女性歌人の一人です。

彼女は大海人皇子(後の天武天皇)の妃であり、後に天智天皇に仕えたと伝えられています。

額田王は宮廷に仕える才色兼備の女性で、斉明天皇の時代から持統天皇の時代にかけて活躍し、多くの長歌や短歌を詠みました。


「袖を振る」は、古代では相手への恋情・合図を示す身振りで、「そんなに人目もはばからず、私に気持ちを見せていたら見とがめられてしまいますよ」という、ややからかいを含んだ口調だと解釈されています。


この歌に対して大海人皇子が「紫草のにほへる妹を憎くあらば…」と有名な返歌をし、二人の間の親密さや、天智・天武をめぐる複雑な恋愛・政治関係を象徴する一場面として後世に語られています。


この歌は、次回 紹介しようと思います。

#万葉集 #額田王 #大海人皇子
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#楽しく分かる万葉集 14 / 大伴旅人
「楽しく分かる万葉集」を読んで、歌の内容と感想を記しています。

【口語訳】※本とは異なる訳にしています
わが庭に梅の花が散っている。
まるで、はるかな空から雪が流れ落ちてくるかのようだ。

梅の花びらが白い雪のように舞い散る様子を、「天から流れ落ちる雪」にたとえた、華やかで視覚的な歌です。

この時代は、白梅だけで、紅梅はありませんでしたので、梅の花といえば白でした。


歌の作者は大伴旅人(おおとものたびと)です。

飛鳥時代末から奈良時代に活躍した公卿で、大伴安麻呂の子、家持の父にあたります。

官位は従二位・大納言で、漢詩にも通じた教養人として朝廷文化を体現しました。

この歌の「雪が流れる」というのは、和歌には馴染まない表現であり、おそらくこの表現は、中国の六朝詩文に見られる「雪の流れ落ちる」イメージを借用し、梅の白い花びらが天から雪のように舞い散る様子を視覚的に描いたものと思われます。



万葉集での位置づけ万葉集には旅人の作とされる歌が70首余り収められ、多くは大宰帥として太宰府に赴任していた晩年期の作です。

息子の大伴家持が万葉集最終編成に深く関わったとされ、その中で旅人の作品も体系的に収録されています。

#万葉集 #大伴旅人
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#楽しく分かる万葉集 12 / 柿本人麻呂
「楽しく分かる万葉集」を読んで、歌の内容と感想を記しています。

【口語訳】※本とは異なる訳にしています
鴨山の岩に枕して眠るように亡くなってしまった私のことを、まだ知らずに妻(いも)が待ち続けているのだろうか。

「鴨山」は奈良盆地の南部、現在の明日香地方にあるとされ、古墳とも関係が考えられています。

「岩根し枕ける」は「岩を枕にして寝る」という意味で、墓に葬られることの暗示。

「妹が待ちつつあるらむ」は、生前に愛した妻が、まだ自分の死を知らず、帰りを待っているという切ない想像です。

死者の霊が語るような構成は、万葉集の中でもきわめて印象的です。

「知らにと妹が待ちつつあるらむ」という結びが、静かな悲哀と愛情を深く湛えています。



この歌の作者は、柿本人麻呂で、飛鳥時代末〜奈良時代初頭にかけて活躍した歌人です。

『万葉集』を代表する歌人で、「挽歌」と「宮廷儀礼の歌」で名高い存在です。

それでいて、生没年や具体的な官職・経歴は史書にほとんど記録がなく、正体不明のミステリアスな人物です。

人麻呂の挽歌の中でも、とくに余韻の美しい代表作の一つとして知られます。

#万葉集 #柿本人麻呂
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#楽しく分かる万葉集 8 / 大伴家持
「楽しく分かる万葉集」を読んで、歌の内容と感想を記しています。

【口語訳】
新しい年の初めの新春の今日、降る雪のように良いことがますます重なりますように。

この歌の作者 大伴家持(おおとものやかもち)は、奈良時代の有名な歌人です。

彼は万葉集の主要な編者の一人で、多くの歌を詠み、日本古代の文化や感性を残しました。

この歌は天平宝字3年(759年)の元日に詠まれたもので、新しい年の始まりを祝うために詠まれた歌です。

特に「歳旦立春」と呼ばれる19年に一度の立春が元日に当たるめでたい年に詠まれ、初春の雪が降ることを吉兆として、新年に多くの良いことが重なるようにと願う意味が込められています。

そして、この歌は万葉集の最終歌であり、大伴家持の歌で万葉集が締められていることから、彼の歌人としての重要性と編纂への関与が伺えます。


私個人的には…

中学生の頃に、若い女性の先生からこの和歌が載せられた年賀状をいただきました。

可愛いイラストも描かれてあって、ドキドキしたのを思い出します。

#万葉集 #大伴家持
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#楽しく分かる万葉集 5 / 柿本人麻呂
「楽しく分かる万葉集」を読んで、歌の内容と感想を記しています。

【口語訳】
近江の海(琵琶湖)の夕方の波の上を飛ぶ千鳥が鳴くと、私の心はしおれてしまうように、昔のことが懐かしく思い出される。

和歌の作者は柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)
『万葉集』を代表する歌人の一人で、後に「歌聖」と称される天武・持統朝で花開いた朝廷歌人のスターです。


夕暮れどきの琵琶湖のほとりで、千鳥が鳴き交わしている様子を見ていると、昔を思い、寂しい気持ちになった
ようです。


昔といっても、天智天皇(中大兄皇子)が治めた「近江大津宮」の頃ですから、当時からみて、そこまで昔ではないようにも思われます。

近江大津宮は、飛鳥の川原寺式伽藍配置をもつ大規模なもので、内裏や宮門、朝庭、殿などの建物があった優美な都とされています。

しかし、672年の壬申の乱によって大友皇子が敗れ、わずか約5年で廃都となりました。

ほどなく都は「飛鳥浄御原宮」に遷され、その後の近江大津宮は、柿本人麻呂が嘆くくらいに荒廃してしまったのでしょうね…

#万葉集
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#楽しく分かる万葉集 4 / 坂門人足
「楽しく分かる万葉集」を読んで、歌の内容と感想を記しています。

【口語訳】
巨勢山のつらつらと咲く椿を、その名のごとく つらつらと見ては賞美したいものだ。巨勢の春野を。

和歌の作者は坂門人足(さかとのひとたり)で、飛鳥時代の歌人です。

生没年や詳しい経歴は不明ですが、大宝元年(701年)9月に持統天皇が紀伊国(現在の和歌山県付近)への行幸に随行した際に詠まれた歌とされています。

この和歌は秋に詠まれており、椿が春の象徴として描かれる中で、巨勢の春の野の美しさを懐かしむ情景を詠んでいます。


椿は日本を代表する植物であり、学名はCamellia japonicaで示される通り、日本原産の常緑樹です。

古くから日本の文化や文学にも登場するほど深く根付いています。
日本の気候風土に適しており、寒さや暑さに強く、庭木や茶花としても愛用されてきました。

椿は1300年以上を経ても、変わらない美しさがあります。

個人的には、「つらつら」の音の重なりが、心地いいです✨

#万葉集
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