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めんちかつ
序章:「曖昧」という言葉で片付けてはいけない、現場の切実な問題
行政や教育機関の会議で、こんな言葉を聞くことはありませんか?
「不登校とひきこもりは少しずつつながっていて、はっきり線を引けないものだから、厳密には区別できませんよ。」
この言葉、一見すると謙虚で学術的な正しさを装っていますが、私は現場の支援者として、この「曖昧さ」を盾にした議論にこそ、大きな警鐘を鳴らしたいのです。
なぜなら、「区別できない」という言葉の裏側で、支援が必要な子どもたちが、たらい回しにされたり、適切な支援から漏れたりするリスクがあるからです。
不登校は主に文部科学省、ひきこもりは厚生労働省と、管轄が分かれています。この国の縦割り行政の壁が、そのまま子どもたちの支援の壁になっているのが現状です。 本記事では、この「区別できない論」に対し、支援の現場で日々ケースと向き合う者としての立場から、具体的な行動レベルで「区別できる明確な基準」を提示し、なぜこの区別が支援の質を高めるために不可欠なのかを、平易な言葉で、しかし厳しく問いかけます。
第1章:「不登校」と「ひきこもり」の制度上の定義と、その限界
まず、行政が公式に用いる「不登校」と「ひきこもり」の定義を確認します。これが、私たち専門家が議論を始める際のスタートラインだからです。
1.1 不登校の定義(文部科学省)
不登校とは、「病気や経済的な理由以外の理由で、年間30日以上欠席している」小・中学校、高校の児童生徒の状態を指します。 この定義で重要なのは、対象が子ども(学生)限定であること、そして焦点が「学校」に当たっていることです。学校以外で楽しく活動していようが、家に閉じこもっていようが、学校に行かなければ「不登校」に分類されます。
1.2 ひきこもりの定義(厚生労働省)
ひきこもりとは、「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅に引きこもっている状態」を指します。
こちらは対象に年齢制限がないのが特徴です。また、焦点は「社会参加」であり、学校や仕事といった社会との接点を断っているかどうかが基準です。そして、「ほとんど外出しない」という行動が、不登校との決定的な分水嶺(ぶんすいれい)となります。
1.3 専門家が「区別できない」と嘆く理由
彼らが「区別できない」と言う背景には、不登校が長期化してひきこもりへ移行するという連続的な状態の存在や、両方の定義に当てはまる「不登校かつひきこもり」という重複の状態があるからです。
しかし、私はこの「区別できない」という主張に対し、「その曖昧な言葉は、支援の放棄につながる」と強く異論を唱えます。なぜなら、その子が「どこまでできるか」という行動レベルで区別することは、支援の第一歩だからです。
第2章:支援を成功に導くための「区別」の具体的な方法
支援の現場が持つべき最も重要な視点、それは、子どもの「行動」というSOSサインを正確に読み解くことです。
私たちは、制度の定義に縛られるのではなく、「コンビニや公園に行けるか」という行動の有無に注目すべきです。なぜなら、この一見シンプルな行動の有無は、その子の心理的なエネルギー残量と、これから必要となる支援の方向性を決定づける明確な道しるべとなるからです。
この行動レベルの判別こそが、支援を成功させるための第一歩となります。
2.1 決定的な判断基準:「社会的な参加」の有無
支援の現場では、子どもたちの状態を大きく次の2つに分けて考えることが、最適な支援を選ぶ上で不可欠です。
【ケースA:学校には行けないが、外出ができる児童生徒】
この子どもたちは、学校への抵抗は強いものの、近所のコンビニに買い物に行ったり、夜に公園を散歩したりするなど、社会への最低限のエネルギーは残っています。外部の刺激を受け入れる余地がある状態です。
・定義上の分類:不登校(ひきこもりではない状態)
・必要な支援の方向性:学校以外の居場所づくりや、学習機会の提供といった教育・居場所支援が中心となります。
【ケースB:学校にも行けないし、外出もほとんどできない児童生徒】
この子どもたちは、学校だけでなく、社会全体に対する強い恐怖や不安を抱え、エネルギーが極度に消耗しています。6か月以上にわたり、ほとんど自宅から出ず、家族以外との交流を断っている状態は、「ひきこもり」に該当する可能性が非常に高い、より深刻な社会的孤立の状態を示します。
・定義上の分類
:不登校かつひきこもり(または狭義のひきこもり状態)
・必要な支援の方向性
:学校への復帰以前に、生活リズムの改善や、心理的なケア、社会的な孤立の解消といった福祉・保健支援が最優先課題となります。
2.2 支援機関を分けることの重要性
:「病気の診断と治療」に例える
なぜ、この2つの状態を明確に区別し、担当機関を分ける必要があるのでしょうか?それは、「病気の診断と治療」に似ています。
・【不登校(外出可)への対応】
:これは、風邪をひいている状態に似ています。熱はあるけれど、自分で歩いて病院に行けるし、薬を飲んで家で安静にしていれば治る。この場合の治療の目的は、「学校生活に戻るための体力と免疫力をつけること」です。これを担当するのは、教育の専門家(担任、スクールカウンセラーなど)です。
・【不登校かつひきこもり(外出不可)への対応】
:これは、重度の肺炎や、起き上がることすら困難な慢性疾患に似ています。自分で病院に行けず、命に関わるケアが必要になる。この場合の治療の目的は、「まずは病室から出られるように、心身のエネルギーを回復させること」です。これを担当するのは、福祉や精神保健の専門家(訪問支援員、医師、精神保健福祉士など)です。
風邪の患者を集中治療室に入れたり、重病の患者に「自分で歩いて来なさい」と言ったりしないのと同じで、子どもの状態に合わせた専門性を投入するために、区別は絶対に欠かせないのです。
2.3 家庭訪問や聞き取りによる判別の容易性
家庭訪問や聞き取り調査は、この判別を容易にするための必須の実務です。特に、「最後に家の外に出たのはいつか」「外出の目的は何か」「家の外で家族以外と交流があるか」といった質問は、その子が「ひきこもり」の定義に当てはまる6か月以上の社会的参加の欠如があるかを把握する鍵となります。
この情報に基づいて、担当すべき行政の窓口が、教育委員会なのか、福祉・保健センターなのかを、私たちは容易に判別できるはずなのです。
第3章:支援を曖昧にする「区別できない論」への痛烈な批判
行政の会議で「区別できない」という言葉が使われるとき、それはしばしば「どの部署が責任を持つべきか決められない」という事態を糊塗(こと)するために使われています。
3.1 支援のたらい回しという実害
・教育委員会の主張
:「学校に行ってないのは不登校だが、家からも出られないなら福祉の領域ではないか。専門的な心理支援が必要だ。」
・福祉部門の主張
:「まだ義務教育中の年齢だ。学校に戻すのが教育委員会の役割ではないか。うちは成人のひきこもり支援が中心だ。」
その結果、最も支援が必要な「不登校かつひきこもり」の子どもは、どの窓口も専門性がないとして責任を押し付け合い、「どちらも支援の対象だが、明確な担当がない」という宙ぶらりんの状態に置かれかねません。「区別できないから両方で対応します」と言うべきところで、「区別できないからどちらの専門分野か判断できません」と逃げているのです。これは、子どもの状況を正確に把握できる専門家としての怠慢であり、行政の職務放棄に等しいと断じざるを得ません。
3.2 現場の専門性を見誤るな
家庭訪問や状況聞き取りにおいて、家族との関係性、昼夜逆転の有無、外出頻度と目的といった情報を聴取することは、支援の専門家であれば容易に判別可能です。
問題は、「判別できないこと」ではなく、判別した後の「支援の提供体制」にあります。教育的アプローチ(教育委員会)と福祉的アプローチ(福祉部門)の連携体制が脆弱(ぜいじゃく)であるために、「区別できない」という言葉で煙に巻いているに過ぎません。
第4章:支援の質を高めるための「区分け」のメリットと結論
「区別する」ことは、子どもにレッテルを貼るためではなく、適切な支援リソースを投入するために不可欠です。
4.1 支援の目標とアプローチの明確化
区分けをすることで、支援の目標が明確になります。
・不登校(外出可)の子どもには、学校以外の社会的居場所の提供や学習機会の確保といった、教育・居場所支援が有効です。
・不登校かつひきこもり(外出不可)の子どもには、生活リズムの回復や外出への抵抗感の解消といった、訪問支援や心理・精神医学的サポートが最優先されます。
区別することは、子どもの状態に合わせたファーストアプローチを間違えないために、極めて重要なのです。
4.2 結論~「あいまいさ」から脱却し、連携を強化せよ~
「不登校とひきこもりは区別できない」という言葉は、私たち専門家が思考を停止するための便利な言い訳になっていないでしょうか。
現場の専門家同士の激しい議論の末、私たちは以下の結論にたどり着くべきです。
1行動レベルでの区別は可能である
: 「コンビニや公園に行けるか」という外出の有無は、その子の心理的エネルギー残量と、社会との接点の有無を示す明確な指標であり、支援の入り口として容易に判別可能です。
2必要なのは連携体制の強化
: 「区別できない」のではなく、「区別した後の連携ができていない」のが最大の問題です。教育委員会と福祉部門は、外出の有無、社会参加の頻度(ひんど)を基準とした共通のアセスメントツール(評価基準)を作成し、適切な支援窓口へ迅速にバトンタッチする体制を強化すべきです。
制度の縦割りの都合で子どもの支援を遅らせてはなりません。私たちは、子どもたちの「今、どこにいるか、何ができるか」という具体的な状態を正確に把握し、その状態に最適な専門家がすぐに動ける環境を整える責任があります。
「曖昧さ」を認めながらも、支援の現場では「明確な判断」が求められます。私たち支援に携わる者は、その矛盾を克服し、すべての子どもたちに光を当てるために、今一度、支援の境界線を明確にするための議論を尽くさなければなりません。
#不登校 #ひきこもり #教育 #社会問題

コメント
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ありす
学校に行きました。#不登校 #中3

夏波🎷🎹🎸
ずっと冬休み状態🛌
#不登校 #暇人

ありす
学校行くのに。#不登校 #中3
らて
精神科の先生はやらなくてもいいんじゃない?と言っていたけど、
ようやく本日、娘たっての願いで起立性調節障害の検査に行ってきました。
血液検査、腹部エコー、負荷心電図検査
負荷心電図検査では10分横になって血圧と心電図を測り、立って血圧、心電図を測るというもの。
結果、娘の場合は起立性調節障害(4種ある)の中の体位性頻脈症候群というものでした。
今の状態は7〜8割水の入ったペットボトルに例えると、横に倒した状態だと頭にまで血液が回るが、ボトルを立てると上の方には水がない(血流がない)
そのため、頭に血液を送ろうと心臓が脈打ち心拍が上がると言う状態だそう。
運動後に脈拍が早くなるアレと同じことが、立っているだけで起きるというもの。
それを改善するには
①水分をたくさん摂る(2リットル)と同時に塩分を摂って水分を体内にキープする。
②夜早く寝るよう心がけて朝起きられるように
そのために運動も大切
③陽を浴びることでメラトニンを分泌させて眠くなるようにする
迷走神経反射の診断の時と同じアドバイス
でも、できていませんでした。
血圧を上げるためのメトリジンが効かないなと思っていたら、そもそもの血液が少ないとなかなか効かないとのこと。体内の血液量をキープするための薬だそうで、水分摂らないと効き目が出ないという。
冬場は血圧が高いから飲まなくてもいいけど、夏場は必要になるだろうから今から水分をせっせと摂らせないと…
それで体調が良くなればいいんだけどね
#不登校
#中学生
#起立性調節障害


あき
自分、去年の10月~ずっと不登校で、今は冬休みなんですけど、冬休みって言ってももう明日から学校はじまるんですよ。冬休み充実に楽しんでたらもう学校が明日になってて、もう今頭の中があしたのことでいっぱいです。不登校になったきっかけは...私、友達も少なくて、先生も鬼怖くて毎日嫌なことでいっぱいだっからなんです。友達が少ないとひとりぼっちだから、トイレにこもってました、授業で班の人と話し合い?みたいなのあるじゃないですか。あれ自分だけ頷くだけでなにも話せてなくて、気まずい雰囲気になるんです。それに、私たちの班だけしーーんってなってたら先生がちゃんと話してる?って聞いてずっと目の前で立ってて話させるようにしてくるんです。私は目立つのが苦手なのでみんなの前で先生に怒られたり1人になったりするとほんとに恥ずかしすぎて早退しようとしたこともありました。そう言うことがいつもあって学校に行かなくなりました。そして明日ついに行く日になりました、休みたくないんで、ちゃんといきます!なので話しかけ方とか一人になった時にできる対処法とか教えて欲しいです!!
※日本語おかしかったらごめんなさい
#不登校

ありす
#不登校
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え?は?もう学校なの??まじで?
#不登校

にこ
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実績 243万
ソブラドライング必要実績 276万
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椎木🦆☃️🦄🌸
コメントがまだないようですが いろんな方のコメント 聞いてみたいです
興味
興味深く拝見しましたが、序論に登場する謙虚?な意見に明確な誤りがあると感じました。 学校に籍を置いている生徒児童について、定義上、引きこもりであれば必ず不登校となります。区別、判別できないということはあり得ず、この場合問題となるのは引きこもりではない不登校及び引きこもりかつ不登校のパターンのみです。(引きこもりであるが不登校でないは存在しないのと、いずれでもない場合は提起された問題と何ら関係がない) 従って、対象が生徒児童である限り、教育当局は関与しなければならない立場と確定します。 一方で、福祉当局との連携が必要な場面も想定され、これは主さんの提起のとおりと感じます。字数制限につき終わります
めんちかつ 投稿者
はい、ぜひこれを機会にいろんな人の意見聞いてみたいですね。どんな視点やアイデアが出てくるか興味深いです[笑う]
塩分
不登校とひきこもりの支援における「区別できない論」を克服するためには、教育委員会と福祉部門が共同で外出有無を基準とした共通アセスメントツールを開発・義務化し、家庭訪問時の聞き取り結果に基づいてケースを迅速に分類した上で、地域ごとの定期連携協議会を設置して支援効果を共有・改善し、重症ケース(外出不可)には福祉専門家による訪問支援をICT(オンライン学習)で補完しながら生活リズム回復を優先的に進め、不登校中心の軽症ケース(外出可)にはフリースクールや民間団体との多層ネットワークを構築して学校外の居場所と学習機会を提供することで、行政のたらい回しを防ぎ、子ども中心の連携体制を強化すべきである。