

投稿で載せている小説のみをあげる予定です。

🏡*ana⸊ဂဗ◒
を作りましたー✨⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝✨
是非、お入りください!!
ここに小説を1話〜あげなおしていきます。
小説家になろう、にストックしているものをあげるので、投稿した1話と若干変わってます。(内容ではなく表現とか)
10人入らないと消えるとか、怖すぎ:(´ºдº:;`):ヒィ-



🏡*ana⸊ဂဗ◒
分岐
《助ける》ルート
第8話【助けた先に】
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(ミズキは主人公の名前です。)
「あの。それ、一つください」
ミズキは財布代わりの手のひらを、店員へ差し出した。
「え?」
店員は一瞬きょとんとしたあと、安堵したように笑う。
「助かります」
代金を受け取ると、手際よく料理を包み、ミズキへ手渡した。
鬼の子はその様子を食い入るように見つめている。
料理。
店員。
ミズキ。
その三つを何度も見比べながら、小さく首をかしげた。
「はい」
ミズキは包みをその子へ差し出す。
「……?」
戸惑いながら受け取る。
恐る恐る包みを開くと、ふわりと温かい湯気が立ち上った。
その瞬間、顔がぱっと明るくなる。
「……!」
何かを勢いよく話しかけてくる。
もちろん、何を言っているのかは分からない。
いや。
正確には、ミズキには分かる。
『ありがとう! 本当にありがとう!』
イヤーカフが言葉を翻訳してくれるからだ。
「どういたしまして」
そう返しても、相手には通じない。
鬼の子は不思議そうに首をかしげながら、それでも嬉しそうに料理へかぶりついた。
ひと口。ふた口。
夢中で頬張る姿に、周囲から小さな笑いが漏れる。
「……よかった」
その姿を見届けると、ミズキは踵を返した。
これ以上、自分にできることはない。
そう思って歩き出す。
だが。
こつ。
こつ。
後ろから足音がついてくる。
振り返ると、鬼の子が料理を口に入れモグモグしながら後ろに立っていた。
「……」
ミズキは困ったように笑って手を振る。
「じゃあね」
そう言って歩き出す。
こつ、こつ。
また後ろから足音。
振り返る。
鬼の子がいる。
「……」
ミズキはもう一度手を振る。
「バイバイ」
鬼の子も笑顔で手を振り返した。
「いや、そうじゃなくて……」
ミズキは自分を指差してから前を指差し、さらに鬼の子を反対方向へ向ける仕草をする。
「私はこっち。君はあっち」
鬼の子は真剣な顔でその動きを見つめる。
そして何かを理解したように大きく頷いた。
「分かってくれた?」
鬼の子はにこっと笑い、ミズキの真横に並んだ。
「違う違う」
思わず声が漏れる。
今度は少し走ってみる。
鬼の子も同じ距離を空つ走ってついてくる。
立ち止まる。
鬼の子も止まる。
「……」
「……?」
首をかしげる鬼の子。
その口いっぱいに料理を頬張ったまま首をかしげる姿は、木の実を詰め込んだリスそのものだった。
同じくらいの歳のはずなのに、どこか幼く見えてしまう。そんな姿に、ミズキは思わず口元を緩めた。
その笑みに気づいた鬼灯が、きょとんとまた首をかしげる。
そして、何かを思いついたように、食べかけの料理を半分に割ると、ミズキへ差し出した。
「?」
『半分あげる』
「いや、君のために買ったんだから全部食べなよ」
もちろん伝わらない。
鬼灯はぐいぐいと料理を押し付けてくる。
「もう……」
肩を落とす。
鬼の子は自分の胸を叩き、それからミズキを指差した。
『お礼』
翻訳だけが耳に届く。
その目は冗談でも、その場しのぎでもない。
本気だった。
ミズキは小さく息を吐く。
「……このままじゃ話にならないか」
もちろん、その言葉は届かない。
鬼の子は首を横に振った。
『お礼』
「困ったな……」
会話が成立しない。
自分には相手の言葉が分かる。
でも、相手には自分の言葉が分からない。
「……まずは翻訳機か」
鬼の子は差し出した料理に目を落とし、それから不思議そうにミズキを見つめた。
ミズキは近くの露店へ向かい、並べられた翻訳機を見比べた。
「新品は高いな……」
値札には15、20。
とても手が届かない。
店の隅には型落ち品が積まれていた。
『旧式翻訳イヤーカフ 8』
ミズキは店員に話しかけ、新品と同様にどこの言葉も翻訳できるのか、新品と違いなぜこんなに安いのか聞いた。
「もちろん。翻訳精度は現行モデルと変わりませんよ」
「じゃあ、どうしてこんなに安いんです?」
店員は棚に並ぶ新しいモデルへ視線を向けた。
「そりゃあ型落ち品ですから。昔のモデルは、とにかく多機能だったんです。録音や文字起こし、自動検索、通信補助、特殊探索機能なんかも全部詰め込んでいて、その分、重かったんですよ」
そう言って、旧式のイヤーカフを持ち上げる。
「でも結局、みんな翻訳しか使わなくなったんですよ。だから今のモデルは余計な機能を省いて、小型で軽くなったってわけです」
「なるほど……」
旧式のイヤーカフは少し大きく重かったが仕方ない。
「これ、ください」
店員は商品を差し出す。
ミズキは少しだけ手首の59の文字を見てためらった。
この残高で8は決して安くない。
まだこの世界に来て2日目だ…
それでも。
「はい」
鬼の子の耳元へイヤーカフを差し出した。
鬼の子は目を丸くする。
「君のだよ」
もちろん伝わらない。
身振りで耳を指差すと、おそるおそる装着した。
小さな電子音が鳴る。
『……聞こえる?』
鬼の子が驚いて顔を上げた。
「え……?」
「やっと……分かる!」
初めて言葉が重なった。
二人は思わず顔を見合わせる。
「よかった」
その一言に、鬼の子は目を潤ませながら何度も頷いた。
#第8話助けた先に


🏡*ana⸊ဂဗ◒
第2話 【門番】
漆黒の無重力空間。
宇宙服を着た三等身の奇妙な生物が、ぷかぷかと浮いていた。
「グラちゃん!?」
「やぁ、いらっしゃい。グラビティの世界に入りたかったんでしょ?」
「はぁ!?」
思わず叫んでしまった。
いや待て。
何だここは。
さっきまでスマホを見ていたはずだ。
部屋のベッドに腰掛けて、Gravityのルームに入って、無言配信の近未来都市を眺めていて――。
そして主が挨拶(いや、挨拶だったか?)をした瞬間、画面が光って。
気づいたら漆黒だった。
「夢?」
「よく言われる」
「じゃあ夢か」
「残念ながら違う」
グラちゃんは腕を組みながら、くるりと一回転した。
その姿はマスコットキャラクターのようで可愛いのだが、置かれている状況が全く可愛くない。
「まず確認だけど」
グラちゃんが指を一本立てる。
「君の名前は?」
「え?」
「名前」
「……ミズキだけど」
「よし。記憶は正常」
「正常じゃないだろ!?」
周囲はどこまでも続く黒。
星の光すら見えない。
上下も左右も分からない空間。
なのに息はできるし、会話もできる。
意味が分からない。
「ここどこ?」
「グラビティの世界」
「そのまんまじゃん」
説明になっていない。
グラちゃんは無視して話を続けた。
「君たち人間は面白いよね」
「何が」
「寂しいからアプリを開く」
「……」
「誰かと話したいからルームに入る」
「……」
「でも本当に欲しいのは会話じゃなくて、誰かがいるっていう実感だったりする」
少しだけ言葉に詰まった。
それは、図星だったからだ。
今日だってそうだ。
仕事では散々人と話した。
会議もした。
取引先とも話した。
それなのに家へ帰ると、妙に静かだった。
だからGravityを開いた。
誰かと繋がっている気になれるから。
「ここはね」
グラちゃんが指を鳴らした。
途端に漆黒の空間へ光が走る。
無数の線が広がり、星座のような模様を描いた。
よく見ると、一つ一つが小さな光の球だった。
「なんだこれ……」
「人」
「人?」
「正確には人の居場所かな」
光の球が脈打つ。
近づくもの。
離れていくもの。
複数集まって輝くもの。
ぽつんと一つだけ漂うもの。
「君たちが見ているGravityはアプリの画面だけど」
グラちゃんは胸を張った。
「本当はこういう世界なんだよ」
「……本当って何だ」
「感情が集まる場所」
「感情?」
「寂しい、楽しい、嬉しい、暇、誰か来ないかな、話したいな」
グラちゃんは一つの光をつつく。
その光がぽわっと明るくなった。
「そういう気持ちが重力になる」
「重力?」
「似た気持ちは引き寄せ合う」
俺は光の群れを見つめた。
確かに。
ルームだってそうだった。
雑談好きが集まる場所。
ゲーム好きが集まる場所。
夜更かしする人たち。
恋バナする人たち。
誰かの声を聞きたい人たち。
みんな何かに引っ張られて集まっている。
「だからグラビティ」
「……なるほど」
「分かった?」
「三割くらい」
「十分」
グラちゃんは満足そうに頷いた。
そして突然、真面目な顔になる。
「ところで君」
「なに」
「家に帰りたい?」
「そりゃ、当たり前でしょ?!」
「会いたいんでしょ?」
「だ、誰に?」
「毎日待ってるのに?」
「……」
「通知確認してるのに?」
「……」
「声聞きたいなぁって思ってるのに?」
「うるさい!」
グラちゃんはケラケラ笑った。
宇宙服越しでも分かるくらい楽しそうだった。
「安心して」
「何にだよ」
「君だけじゃないから」
そう言うと、周囲の光の球が一斉に輝いた。
誰かを待つ人。
誰かの声に救われる人。
誰かと笑いたい人。
その数は想像を超えていた。
「ここはそういう場所だから」
グラちゃんは手を差し出した。
「ようこそ、グラビティの世界へ」
その瞬間。
まるで新しい星に生まれたみたいに。
嫌な予感を覚える。
「……なぁ」
「うん?」
「あれ何?」
グラちゃんの顔から笑みが消えた。
「見た事あるでしょ?行きたかったんでしょ??」
「……」
「あの塔のテッペンに行ってみて」
グラちゃんは遠くの光を見つめながら呟いた。
「君が推してたあのルームの主さん――」
一拍置いて。
「普通の配信者じゃないんだよね」
#グラゲームブック


🏡*ana⸊ဂဗ◒
#第9話仲間
二人は人通りの少ない通りを並んで歩いていた。
鬼の子は何度も口を開いては閉じ、信じられないというように目を丸くする。
「聞こえる?」
「うん……聞こえる! 本当に聞こえる!」
自分の口元に触れながら何度も声を出す。
「すごい……! あなたの言葉が分かる!」
その無邪気な笑顔に、ミズキも自然と口元が緩んだ。
「よかった。これでちゃんと話せるね」
「ありがとう……本当にありがとう!」
勢いよく頭を下げられ、ミズキは慌てて手を振る。
「そんな大げさな」
「大げさじゃないよ! ずっと誰とも話せなかったんだから!」
その一言に、ミズキの表情が少しだけ引き締まる。
そんなミズキを気にする様子もなく鬼の子が言った。
「そうだ。ねえ、君の名前教えて」
鬼の子は胸に手を当て、自分の名前を口にした。
「鬼灯」
「ホオヅキ?」
鬼灯はぱっと表情を明るくし、何度も頷く。
「そう!」
胸に手を当てて名乗る姿は、どこか丁寧な挨拶のようでもあり、それを満面の笑みでやってのける鬼灯が妙におかしい。
釣られるように、ミズキも胸に手を当てた。
「ミズキ」
「ミズキ!」
嬉しそうに名前を繰り返した鬼灯は、にっこり笑う。
「よろしく!」
やっと普通に話せる。
それだけのことなのに、不思議と肩の力が抜けていく。
二人はゆっくりと街を歩き始めた。
「そういえば、手首の数字がゼロだったけど……」
その瞬間、鬼灯の笑顔が固まった。
「……うん、もう、ないんだ」
鬼灯は照れ笑いを浮かべながら頭をかいた。
「初日に観光ドローンについていったんだ。そしたら、この世界がすっごく面白くて……」
両手を広げながら、目を輝かせる。
「空飛ぶ乗り物も、食べ物も、あっちにある広場のお店なんてさ、見た目は狭いのに中に入るとすっっごく広いんだよ! ドローンがあっちもこっちも案内してくれて、気付いたら全部使っちゃってた」
ミズキは思わず額に手を当てた。
「全部……?」
「うん」
悪びれた様子もなく笑う鬼灯を見て、呆れるより先に苦笑が漏れる。
「それで、増やそうとは思わなかったの?」
鬼灯はゆっくり首を横に振る。
「ドローンと別れてから、困ってるって街の人に伝えたんだけど……」
さっきまでの笑顔が少し曇る。
「言葉が全然分からなくて」
その一言だけで十分だった。
屋台で必死に身振り手振りを繰り返していた姿が、ミズキの脳裏によみがえる。
「誰に話しかけても、なんて言ってるか分からなかった」
鬼灯は苦笑いを浮かべる。
「仕事も頼めないし、助けてもらうこともできなかった。だから、どうしたらいいか分からなくて」
ミズキは静かに息をついた。
もしかしたら、お金を稼ぐ方法くらい誰かが教えてくれていただろう。
けれど、言葉が分からずその最初の一歩を踏み出せなかった。
「……そういうことか」
鬼灯は小さく頷く。
少し歩いたところで、ミズキは一番気になっていたことを口にした。
「鬼灯。この世界の人じゃないよな?」
鬼灯は少しだけ目を丸くしたあと、あっさり頷いた。
「うん。気づいたら、この世界にいたんだ」
「やっぱり」
「最初は夢かと思ったよ。でも、見たこともない景色ばっかりでさ」
鬼灯は嬉しそうに空を見上げる。
「わくわくして、夢中になっちゃった」
その笑顔を見ていると、不思議と責める気にはなれなかった。
知らない世界へ突然放り込まれた。
普通なら、不安でいっぱいになるはずだ。
それなのに鬼灯は、恐怖よりも好奇心が勝ってしまう性格なのだろう。
全てを知らず知らずに使い切り、
だから今、こうして腹を空かせていた。
ミズキは少しだけ笑う。
「……実は、僕もそうなんだ」
鬼灯が足を止める。
「え?」
「僕も気づいたらこの世界にいた。だから、君がこの世界の人じゃないって分かった」
鬼灯は目をぱちぱちと瞬かせたあと、ぱっと顔を輝かせた。
「じゃあ、仲間だ!」
その言葉に、ミズキは思わず笑ってしまう。
「そう……なるのかな」
二人はまた歩き始める。
その時だった。
「あっ!」
鬼灯が勢いよく前を指差した。
「ここ! ここ来たことある!」
視線の先には、大きな駅舎が建っていた。
ガラス張りの外壁は陽の光を受けてきらめき、その隣には開放的な広場が広がっている。大勢の人が足を止め、何かを待つように空を見上げていた。
「観光ドローンに連れてきてもらったんだ!」
鬼灯は目を輝かせながらミズキの手を引く。
「列車がすっごいんだよ! 速くて、窓の外びゅーって流れて!」
その時、遠くから滑るような走行音が近づいてきた。
一筋の光をまとった高速列車が駅へ向かって駆け抜ける。
次の瞬間、列車が残していった光の軌跡がふわりと宙へ舞い上がり、大きなクジラへと姿を変えた。
ゆったりと空を泳ぐクジラの周りを、色とりどりの鳥たちが羽ばたく。
光でできた生き物たちは広場の上を優雅に巡り、人々から歓声が上がる。
「わあ……!」
子どもたちは嬉しそうに空を指差し、大人たちも思わず足を止めて見上げていた。
列車の窓から景色を眺めていた子どもたちも、きらきらと目を輝かせて広場を見下ろしている。
そのうちの一人がこちらに気づくと、満面の笑みで大きく手を振った。
鬼灯も嬉しそうに両手を振り返す。
「ね! すごいでしょ!」
まるで列車そのものが、一つのアトラクションのようだった。
鬼灯は目を輝かせながらミズキの手を引く。
「はやく! また何か見られるかもしれないよ!」
期待に胸を躍らせる子どものような鬼灯に、ミズキは思わず苦笑しながら、ミズキも駅へ向かった。
駅の入口まで来たところで、ミズキはふと思い出したように口を開く。
「そういえば鬼灯。君も塔を目指せって言われたのか?」
「うん!」
鬼灯は迷いなく頷いた。
「でも、それ以外は何も分からない。塔に行けば分かるって、それだけ」
「……やっぱり同じか」
二人は顔を見合わせ、そのまま駅の中へ足を踏み入れた。
駅の中は、外から見た以上に広かった。
頭上には何層もの通路が張り巡らされ、光る案内板が行き交う人々を目的地へ導いている。
「すご……」
思わず漏れたミズキの声に、鬼灯は得意げに笑った。
「でしょ!」
そのまま歩いていると、ひときわ大きな案内板が目に入る。
そこには行き先がいくつも並び、その一番上に大きく表示されていた。
『中央塔 直通』
ミズキは思わず立ち止まった。
「塔まで……直通?」
鬼灯も案内板を見上げる。
「本当だ!」
その下には、所要時間と運賃が表示されていた。
ミズキは無意識に自分の手首へ目を落とす。
二人分を払えないわけじゃない。
けれど、その代わりに手元へ残るお金は心許ないものになる。
塔に着いたあと何が必要になるかも分からない今、その選択には少なからず不安があった。
ミズキは駅の大きな窓越しに、遠くそびえ立つ中央塔へ目を向ける。
ここからでも、その姿は街並みの向こうに小さく霞んで見えるほど遠い。
歩いて向かうこともできるだろう。
だが、あの距離なら数日はかかるはずだ。
しばらく案内板を見つめたあと、ミズキは小さく息を吐く。
「……どうするか」
列車に乗れば、あっという間に塔へ着く。
その代わり、お金を大きく消費する。
あるいは、ほかに塔へ向かう方法があるのかもしれない。
ミズキは案内板を見上げたまま、静かに考え始めた。


高速列車で塔へ向かう2
歩いて塔へ向かう5
他に方法がないか探す8投票終了 15人が参加中

🏡*ana⸊ဂဗ◒
#第3話最初の分岐
「君が推してたあのルームの主さん――普通の配信者じゃないんだよね」
グラちゃんの衝撃的な発言の後、黒い霧が晴れるように薄れていく。
その向こうには、無数の光が瞬く巨大な街が広がっていた。
空へ伸びるビル群。
宙を走る光の線。
そして街の中心には、雲を突き抜けるほど高い一本の塔。
「あれが……」
「そ。ゴール」
グラちゃんが指差した。
「あの塔のてっぺん」
「本当にあそこに行けば帰れるの?」
「さぁね」
「さぁね!?」
「でも、みんな目指してるよ」
軽い。軽すぎる!
だけど他に手掛かりもない。
改めて塔を見上げた。
遠い。遠すぎる……。
歩いて何日かかるのかも想像できない。
「……とりあえず行くしかないか」
塔から視線を外し、周囲を見回す。
街へ続く大通り。
薄暗い路地。
そして少し離れた場所はみんなが遊べる広場みたいな場所も見えた。
「どうする?」
グラちゃんが肩をすくめる。
「どうするって言われても……」
情報はない。 土地勘もない。
「じゃボク忙しいからさ、暇になったら見に来るかもね」
そう言ってグラちゃんはクルッと回るとふっと消えていた。
「えっ、ちょっ」
本当にいなくなっちゃった。
それでも、最初の一歩を決めなければ始まらない。
じっと街を見つめた。
さて、どこへ向かうべきだろうか。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
☝投票の結果で次回の行動が決まります‼️

住民に話しかける7
塔へ向かう11
街案内ドローンについて行く5投票終了 23人が参加中

🏡*ana⸊ဂဗ◒
【第1話】Gravity
「ただいま。」
仕事でたくさんの人と話してきたはずなのに、家に入ると寂しさが込み上げてくる。
そんな時に出会ったのがGravity。
好き勝手話して笑っている。いろんな人がいて。それぞれに楽しみを見つけている。
「今日はルームしていないか。」
何気ない会話をして。手を叩いて笑う。そんな彼女の声を聞きたかったのに……。今日はまだルームを開いてなかったみたい。
いわゆる「推し」というものをこのアプリで見つけていた。
他に自分に合ったルームはないかと、今日は珍しくルームを探してみようと思った。
【グラビティの世界に入ってみよう!!】
という初心者向けなのか初歩的なルームタイトルを見つけた。
気になったが入っているのは一人。これは配信者一人ということだ。少し怖気付きそうになるが、超未来感が溢れる背景に興味を惹かれた。
そして、背景見たさにルームに入るという初めての行動を起こした。
ルームには案の定、主一人。しかも無言だ。入ったのは失敗だったと思いながら。気になっていた背景の超未来感溢れるサイバーシティを、じっくり見る。無言は無言でこういう時にじっくり見れていいなと思った。
すると、動かないはずの背景なのに、空に浮かぶ車が動いているように見えた。そんなまさかなと思いつつ、画面をタップしてみた。当たり前だが空飛ぶ車は動いていない。そんな訳ないか……
子供の頃に読んだ漫画の影響なのか、ネオンブルーとエメラルドグリーンの光が街を包み込む超未来感が溢れる背景を穴が空く勢いで食い入るように見た。
無数の摩天楼が天に向かって伸びる超未来都市。
その摩天楼を覆うようにバカでかい惑星が存在感を放ちながら浮かんでいる。
街の中心には巨大な尖塔がそびえ立ち、その高さは月を思わせるような、もう一つの惑星に届きそうな高さだった。
「あ、こんにちは!!」
そんな主の声がして
「いってらっしゃいませ〜」
の言葉と共に携帯の画面が異様な光を放つ、直視できないほどの光に思わず顔を逸らした。
#グラゲームブック


🏡*ana⸊ဂဗ◒
#第7話もう一人の異世界人
翌朝。
宿を出て大通りを歩いていると、不意に人だかりが目に入った。
「だから駄目だって!」
店員の大きな声が響く。
何事だろうと近づくと、屋台の前でこの世界では見慣れない格好の子が店員と向かい合っていた。
額には黒い角。
背中には煤けた黒い羽。
服は汚れ、髪も乱れ、何日もまともに眠っていないような顔をしている。
角は鬼を、羽は天狗を思わせる。その姿は、日本の昔話から抜け出してきたような、不思議な雰囲気をまとっていた。
その不思議な子は店先に並ぶ料理を指差しながら言った。
「これをください!」
必死な声だった。
しかし店員は首を横に振る。
「だから、お金がないなら売れない!」
「……?」
その子はきょとんと目を丸くする。
言われた意味が分からない。
もう一度料理を指差した。
「これです! 食べたいんです!」
「いや、食べたいのは分かった!」
店員は頭を抱える。
「お金ですよね!分かってます。でも、無いんです。でも……お腹が空いてるんです。後で返します!お願いです!」
周囲から苦笑が漏れた。
「また翻訳機を持ってない人か」
「珍しいな」
その子はそんな周囲の声にも反応できない。
聞こえているはずなのに、意味だけが届いていない。
代わりに自分のお腹を押さえた。
「お腹が空いてるんです!」
ぐぅぅぅ……。
ちょうどその瞬間、お腹が大きく鳴った。
その子は少しだけ恥ずかしそうに羽を縮める。
それでも諦めず、もう一度料理を指差した。
「お願いします!」
店員は困ったように息をつく。
「だから、売りたいのは山々なんだけど……」
説明しても伝わらない。
その子も悪気はない。
それは誰の目にも分かった。
その様子を見ていたミズキは、思わず耳のイヤーカフへ触れる。
(昨日までの……私だ)
もし翻訳機を買えていなければ。
もしお金が足りなければ。
今あそこに立っていたのは、自分だったかもしれない。
視線は自然とその鬼の子の腕へ向く。
手首の数字は、ゼロ。
もう、一つも残っていなかった。

助ける8
間に入る7
見守る2投票終了 17人が参加中

🏡*ana⸊ဂဗ◒
(分岐 他を探す)
#第10話アンカー
ミズキは案内板から視線を外し、隣に立つ鬼灯を見た。
「急いで塔へ行きたい気持ちはある。でも、着いた先で何が必要になるか分からない」
鬼灯も真剣な表情で頷く。
「うん」
「今あるお金を全部使ってしまうのは、少し怖い」
鬼灯は少し考えるように首を傾げた。
「じゃあ歩く?」
「歩くのも一つの手だけど、あの距離だと途中で何度も宿泊することになると思う」
ミズキは駅構内を見渡した。
仕事帰りらしい人、大きな荷物を抱えた人、旅行者らしい人。
皆、この街で暮らしている人たちだ。
「この街の人なら、塔まで安く行く方法とか、塔について知っていることがあるかもしれない。」
鬼灯の表情がぱっと明るくなる。
「なるほど!」
「この世界のことも、まだ知らないことばかりだから。」
鬼灯は勢いよく頷いた。
「よし! 聞いてみよう!」
そう言うと、鬼灯は近くを歩いていた男性へ一直線に駆け寄った。
「こんにちは!」
突然声を掛けられた男性は少し驚いたようだったが、足を止めて振り返る。
ミズキは思わず苦笑しながら、そのあとを追いかけた。
「すみません。この街のことで、少しお聞きしたいことがあるんですが。」
男性は穏やかに微笑んだ。
「ええ、何でしょう?」
鬼灯が一歩前へ出る。
「あのね! 塔に行きたいんだけど、お金があんまりなくて……」
両手を動かしながら懸命に説明しようとする。
「高速列車じゃなくて、もっと安く行けて……えっと……」
言葉がまとまらず、困ったようにミズキを振り返る。
ミズキは苦笑して言葉を引き継いだ。
「中央塔へ向かいたいんです。高速列車以外で、もう少し費用を抑えられる移動手段はありませんか?」
男性は「ああ」と納得したように頷く。
「高速列車以外でしたら、空を飛ぶタクシーがあります。ただ、あれも決して安くはありませんね。」
「やっぱりそうですか……」
「それと、貨物列車なら人を乗せてもらえる、という話は聞いたことがあります。」
「貨物列車?」
鬼灯が首を傾げる。
「荷物を運ぶ列車です。一般向けではないので詳しくは知りませんが、運が良ければ乗せてもらえることもあるとか。」
男性は苦笑した。
「もっとも、噂程度の話ですが。」
「そうですか。」
それでも少し考え込むように、自分の手首へ視線を落とした。
「できれば、もう少し節約したいんです。」
男性もその視線を追い、ミズキの手首を見る。
「……そのアンカー。」
「アンカー……?」
聞き慣れない言葉に、ミズキは思わず聞き返した。
男性は少し意外そうな表情を浮かべる。
「ご存じありませんでしたか。」
「その数字のことですか?」
「ええ。」
男性は頷いた。
「その手首に表示されている数字と印。それを、この世界では『アンカー』と呼んでいます。」
鬼灯も自分の手首を見つめる。
「これがアンカー……。」
「これと、見比べてみてください。」
男性はそう言って、自分の手首を差し出した。
ミズキも腕を前へ出す。
数字は同じように青く浮かんでいる。
しかし、その下に刻まれた光の模様は違っていた。
男性の模様には、ミズキたちにはない、もう一本の光の帯が重なっている。
「一本……多い。」
鬼灯が目を丸くする。
「この外側の印が、登録されている証です。」
「登録、ですか。」
「ええ。この世界の人間は、皆この印を持っています。」
男性は穏やかな口調で続けた。
「ですから、異世界人の方はアンカーの使い方には気を付けた方がいいでしょう。」
ミズキは少し首をかしげる。
「気を付けた方がいいというのは、どういうことでしょう?」
「アンカーは、一度使うと簡単には戻りません。」
「ですが、収入を得れば補えるんですよね?」
男性は小さく頷いた。
「この世界の人なら、その認識で合っています。」
その一言に、ミズキはわずかに安堵する。
だが、続いた言葉は予想外だった。
「ですが、異世界人は違います。」
「……違う?」
「異世界人は、この世界に登録されていません。」
ミズキの表情が固まる。
「登録されていない……。」
「ええ。そのため、仕事をしても、商売をしても、アンカーが加算されることはありません。」
鬼灯も自分の手首を見つめる。
「じゃあ……減るだけ?」
「そうなります。」
男性は静かに頷いた。
「詳しい仕組みまでは私も知りません。ただ、この世界では『登録されていない者のアンカーは増えない』と教わっています。」
ミズキは黙って手首へ視線を落とした。
51。
先ほどまでただの数字だと思っていたそれが、今は違って見える。
限りある旅の資金。
それだけではない。
もしこの数字が尽きれば、自分たちはどうなるのだろう。
そんな不安が胸の奥で静かに膨らんでいく。
隣では、鬼灯も黙ったまま自分の手首を見つめていた。
二人の間に落ちた沈黙は、駅を行き交う人々の賑わいとは対照的に、重く静かだった。


🏡*ana⸊ဂဗ◒
#第5話読める世界
耳に付けたイヤーカフに触れる。
本当に翻訳されているのだろうか。
半信半疑のまま街を歩く。
すると、前方から歩いてきた二人組の会話が耳に入った。
「今日もこの前の店に食いに行くか」
「いや、今混んでるって」
思わず振り返る。
聞こえた言葉は確かに日本語だった。
だが、口の動きと音が微妙に合っていない気がする。
実際には別の言語を話しているのだろう。
イヤーカフが意味だけを拾い、自分の理解できる言葉へ置き換えている……のだろう。
試しに周囲へ意識を向ける。
道端で話す人々の声。
空を飛ぶ配送ドローンの案内音声。
遠くの広告放送。
全部が自然に意味を持って耳へ届いていた。
「本当に翻訳されてるんだ……」
すると、今までただの模様にしか見えなかった看板が目に飛び込んできた。
【冷却ドリンク】
【人工重力調整】
【短期記憶バックアップ】
「読める……」
思わず立ち止まる。
さっきまで意味不明だった世界が、一気に色付き始めた気がした。
街を歩く人々を眺める。
人間もいれば、機械の身体を持つ者もいる。
空中を泳ぐ魚のような生物までいる。
それなのに誰も気にしていない。
それがこの街の日常らしかった。
ふと、屋台のような店の前に人が並んでいるのが見えた。
透明な球体の中に浮かぶ色とりどりのゼリー。
美味しそうだ。
近くで様子を見る。
店員は手のひらサイズの板を客へ向ける。
ピッ。
それだけだった。
商品を受け取って去っていく。
「あれ……」
見覚えがある。
翻訳機を買った時だ。自分も同じことをした。
そういえばその時に手首に違和感を感じた事を思い出した。
「77」
右手首には77という数字があった。そして、その下には細い線が手首をぐるりと一周している。
まるで腕輪のようだった。
線の途中には小さな図形が並んでいる。
輪を持つ星。 花びらのような模様。 欠けた月。 意味の分からない記号。
タトゥーにも見えたが違う。
光っている。
しかも皮膚の上ではなく、もっと奥。 肉の中から滲み出しているみたいだった。
指で触れてみる。感触はない。
ただ数字と紋様だけが静かに青く輝いている。
77。
それが何を表しているのかは分からなかった。
ただ一つ分かるのは、翻訳機を買った時に気付きその時には既に77の数字だったことだった。
もしかして、お金と同じ意味合いかな?
そう思った瞬間、屋台の前に並ぶ人たちの行動が妙に気になった。
客は商品を受け取り、手首を軽く見てる。
数字の書いてるあの板の上に手をかざしている。
すると数字が変化しているように見えた。
「やっぱりお金なのかな……」
確かめてみるのが一番早い。
意を決して列の最後尾へ並んだ。
順番が回ってくる。
透明な球体の中には、宝石みたいなゼリーがぷかぷか浮いていた。
赤、青、緑、紫
色んな色のゼリーの粒が入って綺麗だ。
「一つください」
翻訳機のおかげで言葉は通じた。
店員は笑顔で頷き、ゼリーを渡してくる。
球体の浮かんでいるゼリーを直接握って、そのままほらよと言わんばかりに渡してきた。
日本人の性だろうかちょっとイヤだ……。
板には【3】の文字
恐る恐る手をかざした。
青い光が一瞬だけ走った。
ピリッ。
数字が変わる。
77。
↓
74。
「減った……」
本当にお金らしい。
ゼリーを受け取り、人通りの少ない場所へ移動した。
ぷるぷる揺れるそれを口へ運ぶ。
お皿やスプーンなどは無いのでガブリといく。
丸いゼリーだがドロっと中身が出てくることはなく不思議だ。
「ん?」
一口目で違和感があった。
甘い。だが甘いだけではない。
肉の旨味。スパイス。
焼き魚みたいな香ばしさ。
なぜか全部入っている。
「なにこれ」
もう一口。
味が濃い。とにかく濃い。
ご飯が欲しい。凄く食欲いや白米欲をそそるゼリーだった。
「意味分かんない……」
そして半分ほど食べたところで異変が起きた。
お腹が苦しい。
「重っ……」
大食いでも食べたあとのようだ。
とてもゼリー1個とは思えない。
だが周囲の人々は普通に食べている。
どうやらこの世界では一般的な食べ物らしい。
「これで3か……」
思ったより高くない。
とりあえず飲み物も試してみよう。
少し歩くと自動販売機のようなものを見つけた。
透明な小瓶が並んでいる。
【2】
と書かれていた。
一本購入する。
74。
↓
72。
減った。
やはりこの数字がお金だ。
蓋を開ける。
中身は銀色だった。
液体なのに金属みたいに光っている。
「大丈夫かな……」
恐る恐る飲む。
「……?」
最初は炭酸。次にミント。
その後に果物。
最後に何故か雨の匂い。
何故か案外イケると思ってしまった。
「不思議……」
もう一口飲む。減っていない。
気のせいかと思った。
さらに飲む。やっぱり減らない。
「え?」
蓋をして瓶をひっくり返して確認する。
中身は満タンのままだ。
「怖っ」
便利なのか恐ろしいのか分からない。
とりあえず体に異変は無さそうだったので、その不思議な飲み物で喉を潤したのだった。


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#第11話次の一歩
二人の間に落ちた沈黙は、駅を行き交う人々の賑わいとは対照的に、重く静かだった。
やがて、鬼灯がぽつりと口を開く。
「……ミズキも、今初めて知ったの?」
「うん」
「そっか」
鬼灯は自分の手首を見下ろした。
「じゃあ、ちょっとだけ先輩だ」
「先輩?」
「だって、こっちはもうゼロになったことあるから」
そう言って、鬼灯はゼロの手首を堂々と見せて笑った。
「気づいたら全部なくなってて、言葉も分かんなくて、ほんと大変だった!」
あまりにからりとした口調に、ミズキは思わず目を瞬く。
「……笑いごとじゃないよ」
「うん」
鬼灯は素直にうなずく。
「だから、今知れてよかった」
ミズキの手首へ目を向ける。
「まだ、なくなってない」
「……」
「なくなってないなら、まだどうにでもなる」
鬼灯はそう言って笑う。
「今度は、ひとりじゃないし」
胸の奥に沈んでいた重さが、ほんの少しだけほどけていく。
「……知らないまま全部使っちゃう前に、分かってよかった」
「うん! じゃあ、残りのアンカーを大事にしながら、塔まで行く方法一緒に探そ!」
鬼灯の明るい声に背中を押されるように、ミズキはもう一度うなずいた。
鬼灯の明るい声に背中を押されるように、ミズキはもう一度うなずいた。
「まずは情報を集めよう」
「うん!」
二人は駅構内のインフォメーションセンターへ向かった。
白を基調としたカウンターには、人の姿はなく、代わりに案内用のAIロボットが静かに待機している。
「貨物列車について聞きたいんですけど」
『ご質問をどうぞ』
「人を乗せてもらえる貨物列車があるって聞いたんですが」
わずかな間を置いて、機械音声が返ってくる。
『貨物列車は貨物専用です。旅客の乗車はできません』
「でも、そういう話を聞いて……」
『貨物列車は貨物専用です。旅客の乗車はできません』
少し言い方を変えて尋ねても、返ってくる答えは同じだった。
『貨物列車は貨物専用です。旅客の乗車はできません』
決められた案内しかできないのだろう。
ミズキは小さく息をつき、鬼灯と顔を見合わせた。
「……だめか」
「うーん」
鬼灯も困ったように首をかしげる。
「ここで聞いても、これ以上は分かんないね」
「そうだね」
AIが案内できる情報には限界がある。
もし本当に人を乗せる貨物列車があるのなら、それは表には出ない話なのかもしれない。
「一旦、外に出よう」
「聞き込み?」
「うん。貨物列車のことも含めて、人に聞いて回ってみよう」
「よし!」
鬼灯は元気よく返事をすると、先に出口へ駆け出した。
「早く行こう!」
その後ろ姿に苦笑しながら、ミズキも駅の外へと足を踏み出す。
昼の光に包まれた街は、相変わらず多くの人で賑わっていた。
鬼灯は迷いなく街へ飛び出していく。
「聞いて回ろう! きっと誰か知ってるよ!」
その背中を追いながら、ミズキは小さく息を吐いた。
不安が消えたわけじゃない。
貨物列車のことも、アンカーのことも、分からないことばかりだ。
それでも、隣には鬼灯がいる。
その事実だけで、足取りは少しだけ軽かった。

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