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そらまめ🍀

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4話-2
演奏が終わると、
野音の通路は一気に慌ただしくなった。
山野さんはドラム周りの片付けを続けている。
ステージ脇にスネアが置かれたままになっていた。
あのままだと、山野さんは絶対に忘れる。
声をかけようとした時、
山野さんのところに派手な女が近づいてきた。
何回か、スタジオに迎えに来ていた女だ。
鈴木さんは様子を変えず作業を続けていたが、
俺と健ちゃんの表情が凍りつく。
「こんにちは」
声は、山野さんに向けられていた。
けれど彼はスネアスタンドを外しながら、
聞こえていないふりをしたまま、顔を上げない。
気まずい沈黙。
次に動いたのは、アヤノさんだった。
一歩前に出て、女に向き直る。
「……山野さんの知り合いの方ですか?」
少し間を置いて、続ける。
「今日は来てくれて、ありがとうございます」
場を荒立てないための声。
でも、逃げてもいない。
派手な女は一瞬だけ言葉に詰まり、
山野さんのほうを見る。
それでも彼は、最後まで振り向かなかった。
女は何も言わず、
人の流れに紛れて去っていった。
俺はアヤノさんから目を離せず、
さっきまでと同じ景色なのに、
戻れない感じだけが残った。
山野さんとアヤノさんは、
軽く挨拶をして先に会場を出ていく。
俺は近づいて、アヤノさんに名刺を渡した。
「よかったら、フォローしてください」
少し驚いたような顔で、
アヤノさんはそれを受け取った。
そして二人は、足早に駐車場へ向かっていった。
スネアのことを、言いそびれてしまった。
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そらまめ🍀

そらまめ🍀

4話-1
クリスマス直前の週末。
野音では、昼間から演奏が途切れず続いていた。
広場の向こうではマーケットが開き、甘い匂いと人のざわめきが混じり合っている。
俺は健ちゃんと一緒に会場に入った。
健ちゃんはこのバンドのボーカルで、幼なじみだ。
喉を大事にするから酒は飲まない。
だから今日も車を出して、迎えに来てくれている。
「宏之、今日もよろしくな。
山野さん、たまに走るからさ。
うちのリズム隊、宏之頼みなとこあるよな」
ステージ袖には、もう鈴木さんがいた。
軽く挨拶だけ交わして、あとは黙々とギターのチューニング。
相変わらずだなと思いながら、俺もベースを肩にかける。
少し遅れて、山野さんが入ってきた。
「おはよー。今日もよろしく」
「よろしくッス」
短いやり取りだけ交わして、
山野さんはそのままドラムの準備に取りかかる。
「今日は終わったらすぐ出るけねー。
仕事あるから、飲めんのが残念」
その言葉を聞いて、ふと思い出す。
——この前、知り合いのSNSで見かけた気がする。
仕事の後、リハじゃなかったっけ。元気だよな。
健ちゃんがすぐに反応した。
「あー、そっか。了解。今日はMC短めでいくね」
一拍おいて、わざとらしく肩を落とす。
「えー、話したいこといっぱいあるのにー」
軽く笑いが起きる。
それで十分だった。
ステージに上がる。
ライトが点き、最初の音が鳴る。
ベースの低音が体に返ってくるのを確かめながら、
無意識に一度だけ客席を見た。
前のほうに、アヤノさんがいる。
それだけ確認して、視線を戻す。
あとは、いつも通りだ。
音に集中して、余計なことは考えない。
——演奏が終わる、その瞬間までは。
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☆

おやすみ、東京🥃吉田篤弘
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「そうか。後悔って、夢や希望と同じなんだ」
「そうよ。あっちへ行ったら幸せになってた、なんて幻想なのよ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
抱きしめたくなる1冊でした🌃

吉田さんの作品は、「月とコーヒー」「月とコーヒー デミタス」「中庭のオレンジ」を読んでいて、今回が4冊目。
今までで一番好きかも!!
他の読んだ作品は私たちとは別の世界や別の星のように感じるお話が多かったのに対し、タイトルの通り東京の夜が舞台で、ぐっと身近に感じられる作品。
吉田さんらしい一癖あるけど癒やされる不思議な世界観はそのままで、読んでいるとまさに眠りの夢の中にいるようです。

ひっそりとしていて、昼とは全く違う世界。
そんな夜だからこそ出会えた人のあたたかさ、ひとりを感じる夜だからこそ、誰かとの繋がりが心強くてあたたかい。

先月も夜がテーマの「もしもし、こちらは夜です」を読んでいて、その時は私のイメージ中の夜とはまた違ったのですが…これだ!!求めていた夜の雰囲気!

映画会社で調達屋をするミツキ、電話相談員の加奈子、夜専門タクシー運転手の松井、私立探偵シュロ、女性4人で食堂を営むアヤノ、他にも魅力的な登場人物たちが出てきて、みんな好きです。
その「魅力的」は、何かが輝いていたり、才能があったり、誰もが憧れるような、という意味ではなくて、
みんなどこか欠けているし、何かを探している。
物や人、父の面影、結婚する理由。
等身大で、足りない何かがある、それが愛しく感じるのです。
夜の時間に包まれながら、少しずつ変わっていく。

「月とコーヒー」シリーズははコーヒーがキーアイテムの飲み物でしたが、今回はコークハイ!
酒飲みならば、元バーテンダーの前田が作るコークハイが飲みたくて悶絶することでしょう…!
酒飲みでなくても、どんなもんなのだと興味が湧くかも。
前田のこだわりは冷たさ。
白くけむって見えるほどキンキンに冷やしたグラスに注ぐ、凍りつく寸前のとろりとしたウイスキーとコーラ。
お酒に弱いミツキでも、美味しさに感激するコークハイ。
お酒がある程度飲める私なら、何杯飲んでしまうことでしょう笑!?!?
素敵なバーでコークハイを飲みたくなりました。。現実は素敵なバーこそロックで頼みたいですが…笑
去年行った小樽(しかも諸事情によりひとりで4泊5日)のバーで飲んだ写真を添えておきます🥃
このバーも素敵だったなあ。

夜道が苦手で、友達と電話をしながらでないと歩けないアヤノのお話も好きでした。
不安と心細さの中で見つけた不思議なお店。
今は夢の中だから、いつもとは違う自分になれる。
運命的な出会いのきっかけが、アヤノが苦手な夜というのがたまらなく心にしみます。
頑張って勇気を出して奮い立たせる変化も立派だけど、
こんな風にふわっと導かれて違う一歩を踏み出せる、違う自分になれる、そんなことがきっと私たちにもあるんじゃないかって感じられるお話でした。

吉田さんの作品は結末を読者に委ねる形も多いけど、今回はそれぞれしっかり描かれていて。
最後の2行が…愛しい❣❣

夢の中にいるような作品だけど、
夢のように途中で目が覚めてしまうことはない。目が覚める寂しさや悔しさの無い、心が満たされる作品でした。
夜が好きな人におすすめです🌃
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ボルゾイ

ボルゾイ

普通に朝からアヤノで泣きそう
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カーステレオから

カネコアヤノ

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かみひとえ

かみひとえ

アヤノの幸福理論、透明アンサー、エネちゃんの曲、やっぱり好き〜
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