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そらまめ🍀

そらまめ🍀

4話-2
演奏が終わると、
野音の通路は一気に慌ただしくなった。
山野さんはドラム周りの片付けを続けている。
ステージ脇にスネアが置かれたままになっていた。
あのままだと、山野さんは絶対に忘れる。
声をかけようとした時、
山野さんのところに派手な女が近づいてきた。
何回か、スタジオに迎えに来ていた女だ。
鈴木さんは様子を変えず作業を続けていたが、
俺と健ちゃんの表情が凍りつく。
「こんにちは」
声は、山野さんに向けられていた。
けれど彼はスネアスタンドを外しながら、
聞こえていないふりをしたまま、顔を上げない。
気まずい沈黙。
次に動いたのは、アヤノさんだった。
一歩前に出て、女に向き直る。
「……山野さんの知り合いの方ですか?」
少し間を置いて、続ける。
「今日は来てくれて、ありがとうございます」
場を荒立てないための声。
でも、逃げてもいない。
派手な女は一瞬だけ言葉に詰まり、
山野さんのほうを見る。
それでも彼は、最後まで振り向かなかった。
女は何も言わず、
人の流れに紛れて去っていった。
俺はアヤノさんから目を離せず、
さっきまでと同じ景色なのに、
戻れない感じだけが残った。
山野さんとアヤノさんは、
軽く挨拶をして先に会場を出ていく。
俺は近づいて、アヤノさんに名刺を渡した。
「よかったら、フォローしてください」
少し驚いたような顔で、
アヤノさんはそれを受け取った。
そして二人は、足早に駐車場へ向かっていった。
スネアのことを、言いそびれてしまった。
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