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きなこもち
▼▼▼
虚空に自分の姿を探していれば
モノクロに色褪せた孤独の虚無が
いつの間にか隣に腰を下ろしている
海に身を投げれば海に還り
大地で死を遂げたなら地に還り
空を飛んだならば空に還るらしい
還った生命は多様に変容し
やがて現世に戻ってくるのだと
どこぞの知らぬ老人から聞いた
ある生命は言霊に宿り
ある生命は名もなき生命体の一部となる
海に還れば寛容な海の一部となり
大地に還れば生命は肥沃な土地の一部となって美しい花々を咲かすのだろう
空に還ったならば翼を持ち空を駆け回るのかもしれない
この世界は酷く残酷で甘美である
もし本当に生命が廻り戻ってくるのなら
私はこの世界の一部になりたい
しおん
もう、取り壊されて無いはずの家の夢を見た。
構造も広さも、記憶の中とは少し違っていたけど。
そこには、もう会えないはずの人が座っていて。
何も語らず、ただ「おかえり」と言ってくれた。
あの家は、もうないけど
私の中には、まだ在る気がした。
『あの家は、もうないけど』
── 本編少しずつ載せていきます。
#創作 #オリジナルストーリー
#短編 #不思議な話 #祖父との記憶


なお
僕に言えるのは、それは魂の深い所にある核心にまで届く音楽だったということだ。それを聴く前と聴いたあとでは、自分の身体の仕組みが少しばかり違ってかんじられるような音楽ーーーそういう音楽が世界には確かに存在するのだ。
この作品で音楽で語ってますが、ここの音楽の部分を『作品』『小説』なり芸術とかで変えられるなーと読んでいて思いました[にこやか]
#読書
#村上春樹
#短編
#一人称単数



ゆま
ぼくはクマ。
ぬいぐるみのクマ。
もちぬしのみぃちゃん
いなくなっちゃった。
たいせつにしてくれたけど
いっしょにあそびにきて
そのままぼくのこと
わすれていっちゃったみたい。
ぼくはクマ。
ひとりぼっちのぬいぐるみ。
さびしいな。
「あれ?ぬいぐるみだ」
ぼくはだれかにだきあげられた。
おこされてみると、そこには
女子高校生がふしぎそうな顔して
ぼくをみつめている。
じめんに落ちていたぼくを
ぱんぱんとたたいてくれた。
そしておねえちゃんは
ぼくをひっくり返して「あ!」
と、声をあげる。
なになに?
何があったの?
おねえちゃんはにっこりと笑った。
「君の持ち主さん、本当に君を大事にしてたんだね」
どういうこと?
ぼくは首をかしげた。
「君を持ち主さんのところに届けてあげる」
おねえちゃんはぼくと手をつなぐとステップをふみながら、あるいた。
かどをいくつまがっただろう。
おねえちゃんは1軒のおうちのインターホンを押した。
「はあいどなたですか」
「突然ごめんなさい。こちら、田辺みぃちゃんのおうちではありませんか。落し物を届けに来ました」
田辺みぃ
それはぼくの持ち主さんのお名前だ。
しばらくするとおかあさんと手をつないだみぃちゃんがお家から飛び出してきた。目からはなみだがたくさんあふれてる。
「くまちゃん、くまちゃん」
みいちゃんはおねえちゃんの手の中のぼくを見つけて、ぴょんぴょんと跳ねながらわらっていた。
「よかった、君のくまさんなんだね」
「うん、うん!」
「もう忘れないでね。すごく寂しそうだったよ」
そう言っておねえちゃんはぼくをみぃちゃんのところへ帰してくれた。
みいちゃんの小さな手の中に抱きしめられてぼくはしあわせだ。
「ごめんね、ごめんねくまちゃん。もっといっぱいあそぼうねぇ」
みぃちゃんがそう言うのを確かめてからおねえちゃんはほほえんで、立ち去っていった。
ぼくのことばは伝わらないけれど
そのかわりたくさん念じるようにおもう。
「優しさをありがとう、ぼくはしあわせです」
fin.#ありがとう #小説 #短編 #迷子 #やさしいおはなし


大介
初の散文詩の後半部分(。・・。)
前半部分は、noteのほうに。
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『余白』〜散文詩、もしくは何かの終焉〜
その香りに導かれるように、
わたしは机の引き出しを開けた。
そこには、折りたたまれたままの便箋が一枚、
静かに眠っていた。
差出人の名はなかった。
けれど、筆跡は、わたし自身のものだった。
それは、かつて書こうとして書けなかった手紙だった。
誰かに宛てたはずの言葉が、
いつのまにか、わたし自身に向けられていた。
赦しを乞う声は、他者のものではなく、
わたしのなかに沈黙していた「わたし」の声だった。
それは、誤解されたまま、語られぬまま、
それでもなお、誰かの記憶のなかに
残っていた「わたし」だった。
わたしは、便箋を開き、
そこに書かれた言葉を読むふりをした。
実際には、何も書かれていなかった。
けれど、わたしのなかには、
確かにその言葉が響いていた。
赦されるとは思っていない。
語らなかったことを、語れなかったことを。
それでも、あなたの沈黙は
わたしを赦していたのだろう。
わたしは常に、「わたしではないもの」に、
そっと撫でられていた。
外の風景は、少しだけ色を変えていた。
遠くの山々が、まるで誰かのまなざしのなかで
見られているように、静かに揺れていた。
そのとき、わたしは思った。
赦しとは、誤解されたままでも、
なお、わたしが抱きしめることのできる、
静かな余白なのかもしれない。
わたしは、窓辺に立ったまま、
その余白のなかに沈み、静かに涙した。
流れ落ちるものは、あの手紙のように、
言葉にならないまま、余白のなかで、ほどけていった。
花の香りはまだ、部屋中に満ちていた。
それが、「わたし」の感じていたものの、すべてだったのかもしれない。
そして、それだけで──十分だった。
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#散文詩 #創作 #短編 #daisuke0107sasaki
ひまふう✎𓂃*
おめでとう私🥳笑
#エブリスタ #短編 #アマチュア小説家

お子様ランチ
#小説
#星新一
#星一
30年後
大正時代にこれが描かれてたことがすごい。

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YAQ
町田康の「本音街」を読んで
頭の中がトランス状態になったので
志賀直哉の「小僧の神様」を読んだ。
何とか明日は会社行けそうだ。
#短編
光子 (コウシ)
―俳句は、作者の意図を超えてひとりひとりの読者のなかで広がっていくものだと思うからです―
、、、芸術全般に言えること
―あらゆる言葉が
足もとに飛んでくる棒になるー
―繊細な人にとっては、ひとつの出来事が、自分の未来をつらぬくように思えてしまうものだ―
―いいことがあれば、素直に幸福になれる人は、幸福感じる能力があるということで、それもまた幸福と言える―
―あなたの日々を深く
本当に生きているあなたー
ーどこの共同体に行っても、常に違和感をおぼえる、常に何か違うなっていう批評の声が芽生える、そういう存在が、たとえば哲学者であり、詩人であり、五・七・五で書いた場合は俳人ということなのかなと―
、、、アーティスト
ーカフカは
フラジャイル、つまり弱さや儚さ、壊れやすさとか、そういうところがまず俳句とある種の共通点としてあると思います―
―「テキスト論」
作者の意図を離れて、作品から立ちあがってきたものを読み取るという読み方ー
私、カフカよりはポジティブ思考
#読書 #短編 #俳句 #詩
#フランツ・カフカ


さややん
どれも良すぎるっ!
でも「30年の眠り姫」は号泣した((
ちょいと大人な話が多いけど、🫣💓笑
ヒロインさんみたいに美人さんに生まれてたら、
モテたりこんな恋愛できたりしたんかなー、笑笑
#韓国ドラマ #中国ドラマ #短編 #泣ける #恋愛ドラマ





ロカ
#小説 #短編 #桜 #現代ファンタジー
桜の季節の回覧板①
うちの庭のやつなの、もうすぐ咲くわよ、とバイト先の同僚のマリちゃんからもらって一週間。
桜はつぼみのまま、まだ咲かなかった。
マリちゃんはいいコだ。
初めてのバイトやひとり暮らしにも少し慣れてきたころ、トレーに山盛りのグラスを落として割ったときも、すぐに駆けよって片づけを手伝ってくれた。
自分だって忙しいのに、他の人が動きやすいように、さりげなくサポートしてくれる。バイトとはいえ働くようになって、気が利くっていうのはこういう人のことをいうんだなと思った。
ただ、誰に対してもそうだから、誰かが特別扱いというわけじゃない。
だから僕はのほほんと、いいコだなと思ってるだけだったのだ。
「マリちゃんさぁ、彼氏と別れたんだって?」
二つ年上のヤマノさんの声が休憩室から聞こえた。
そういえば、マリちゃんの少し前に休憩行ったっけな。
今日のまかないの丼とウーロン茶のグラスを持ったまま、僕は少し開いている休憩室のドアの前で立ち止まった。
「ヤマノさん、なんで知ってるの」
驚いたようなマリちゃんの声。
そうか、やっぱり彼氏いたのか。でも別れたなら……。
「じゃあさぁ、俺とつきあわない?」
……みんなおんなじこと、考えるよな。
僕は静かに裏口から外に出た。
花冷えのせいか少し寒かったけれど、コンクリートの階段に腰かけ、勢いをつけて飯をかき込んだ。たちまちむせて、近くの店のネオンの文字がにじんで見えた。
深夜、居酒屋のバイトを終えての帰り道、川ぞいの公園の桜並木が、星あかりに白く浮かんでいた。もう満開だ。
うちのあの桜は、咲かないまま、枯れてしまうのかな。
そんなことをふと考えて、少しさびしくなった。
四、五十センチもある桜の枝を活けられるような花びんは、僕のアパートにはない。だからって、そうじ用の青いバケツにつけといたのがいけなかったんだろうか。
もちろん、バケツはきれいに洗ったし、水も毎日とりかえてるんだけどな。置いてあるベランダは、陽もよく当たる。
(続く)
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