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読書記録です
西洋政治思想史
宇野重規 著
有斐閣アルマ
現代日本の政治家もお題目のように唱える法の支配や立憲主義というのは、中世ヨーロッパの封建社会にルーツがあるそうです
そもそも「法の支配」とは何かというと、統治される者だけでなく、統治する者もまた、より高次の法によって拘束されなければならないという考え方です
「法の支配」とは、法律をもってしても犯しえない権利があり、これらを自然法や憲法が規定していると考えるものです
このような考え方は、君主であっても決して自らの意志をすべてに貫徹させることができるわけではなく、歴史的に認められた臣下の権利を守るべきであるとした封建社会におけるコモン・ローの伝統に由来するものだそうです
中世封建社会というのは、国王と臣下の間の個人的な主従関係によって成り立っており、臣下には社会的な地位に基づく特権が認められていました
国王といえども、臣下の特権を勝手に踏みにじることは許されず、国王が古来の慣習の集積である「法」を破るとき、臣下には抵抗権が生じました
「古き良き法」を合言葉に、臣下は国王の権力を制限しようとする、支配者といえども法の下にあるという意味が見てとれる
ここに法の支配と立憲主義のルーツがあるということだそうです
臣下の同意がなければ国王は法の制定・改廃や課税を行うことができない
国王の大権と臣下の特権の間でバランスをとり、権力の濫用を防止することがはかられた
ヨーロッパにおける自由の伝統というのは、こういう歴史背景があるということが学べて良かったです
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読書記録です
中世武士団 偽りの血脈
名字と系図に秘められた企て
桃崎有一郎
講談社選書メチエ
桃崎有一郎先生は注目している歴史学者なので、とても興味深く読みました
あとがきで、高校生の時の授業で鎌倉幕府の成立については承久の乱が画期的ですと言い張ったエピソードが述べられており
一流になる人間は違うなあと感心しました
中世の武士はみんな平氏や源氏や藤原氏の子孫を名乗っていたことに疑問を持っていたので
本書はその謎をミステリー小説のように読み解いていく内容となっていて、興味深かったです
10世紀
朝廷の貴族社会からこぼれ落ちた王臣子孫は、支配階級に踏みとどまるための最後の手段として地方に下りました
地方は地方で生き残りをかけた競争社会があり、古くからの豪族の末裔や富豪の百姓らの古代卑姓氏族や朝廷の内戦や蝦夷との戦争に従事していた古代武人輩出氏族らに、貴種であり免税特権を有していた王臣子孫が婿入りしてできたのが、武士団の由来だそうです
本書では、この婿入り以外にも、王臣子孫の嫁を迎え、父系と母系を逆転した系図を偽装して王臣子孫の男系子孫であると偽って武士団が誕生したという説を展開しています
佐藤などの「〇藤」名字は、従来の官職由来の説を退け、古代卑姓由来であるという説を展開しています
院政期は院が卑賤の者を取り立てる時に、近臣の養猶子にして藤原氏に仮冒したそうです
その流れで「〇藤」名字の〇は卑姓由来であるにも関わらず、官職由来と擬態して、本来は卑姓の男系子孫であるにも関わらず、藤原姓の男系子孫であると書き換えたという説を展開しています
古代氏族がどう変わっていって武士団になっていったのか
ひとつの可能性として興味深く読みました
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読書記録です
ハーメルンの笛吹き男
阿部謹也 著
ちくま文庫
ハーメルンの笛吹き男伝説は、1284年の6月26日(聖ヨハネとパウロの日)に子供130人が失踪した事件がもとになっています。
ただ、真相は闇の中。
本書を読んでも結局のところ真相はわかりませんが、中世ヨーロッパの下層民の厳しい現実が語られていて勉強になります
飢饉の時は人喰いをしていたという現代人にとっては衝撃的な話も述べられています
子供は「ただの小さい人」として扱われ、社会で子供を守ろうという思想がなかったこと
孤児院というのはありましたが、町の人の喜捨頼りで厳しい暮らし向きだったこと
中世ヨーロッパは子供にとって過酷な時代であったことが語られて、勉強になりました
現代日本でさえ、シングルマザーは生活保護に頼らざるを得ない境遇におかれている割合が多いのに、福祉制度がなかった時代のシングルマザーの暮らしの悲惨さについても述べられています
中世の祭りがどんちゃん騒ぎなのも、普段抑圧されていることの裏返しだということが述べられています
子供はなぜ失踪したのか
子供の十字軍というのあったようで、子供特有のみんなが行くから行くみたいな感じで失踪してしまったケースもありそうです
著者は様々な仮説を比較して
ヨハネ祭の日に興奮した子供たちが町外れの場所に夏至の火をつけにいったが、湿地帯にはまり込んで脱出できなくなり、底なし沼に遭難したという説が有力だと考えているようです
その悲劇の原因を、賤民である「笛吹き男」に押し付けたそうです
また、ハーメルンの町は水車の町でネズミの被害に悩まされていましたが、「ネズミ捕り男」を市参事会が裏切ったという伝説もあったそうです
真相は不明ながら、笛吹き男伝説がどのように形成されたのかについては興味深いです
「笛吹き男」のような遍歴芸人は賤民扱いされていたこと
「ネズミ捕り男」も被差別民であったこと
ハーメルンの民衆による市参事会への不信が、子供の失踪を笛吹き男の復讐である解釈にしたそうです
「笛吹き男」の伝説と「ネズミ捕り男」の伝説が合成して、「ハーメルンの笛吹き男」伝説になったそうです
中世ヨーロッパの民衆の暮らしについて詳細に述べられているので、勉強になりました
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読書記録です
中世を旅する人びと
阿部謹也 著
ちくま学芸文庫
中世ヨーロッパの「旅」にかかわる「人びと」の生活を点描した内容となっています
市井の人びとの暮らしにフォーカスしています
中世ヨーロッパの文盲で糞尿にまみれ飢饉や疾病、差別と隣り合わせだった人びとの暮らしの息遣いが感じられました
農民は、徐々に浸透してくる貨幣経済の圧力、領主の抑圧の中でフェーデや略奪の恐怖におびえながら耕作をおこなっており。決して牧歌的な世界ではありません
農民の日常食は、カブラや野菜を脂身を入れて煮たものや、キビのかゆ、ライ麦パン、チーズ、ビールがせいぜいで、肉はまれにしか食べられなかったようです、魚もめったに食べることが出来なかったそうです
都市は成長限界を迎える中で、社会階級の固定化が進み、遠方に職を求めて旅をする遍歴職人という生き方を選ばざるを得ない人びとが増える
信仰にもとづいて慈悲を与える対象として職業としての乞食が認められており、ギリギリのところで放浪者に対する一定の支援というのはあったようです
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読書記録です
中世への旅 都市と庶民
ハインリヒ・プレティヒャ 著
関楠生 訳
白水Uブックス
ドイツには中世のおもかげを残す古い町が多数あります
ドイツは第二次大戦の戦禍をこうむり、手ひどく破壊された町も少なくありませんが、その復興にあたって歴史と伝統の尊重と保持に意を用いた結果、今でも中世のたたずまいを見いだせる多くの町があります
本書では中世後期のドイツの都市民、農民、乞食の生活を扱っています
王侯貴族に対抗するかたちで、自治権を獲得した自由都市や都市同盟の発展が、地方の独立性の高いドイツの国のあり方の原点であるようです
特に北ドイツやバルト海沿岸のハンザ同盟都市にある市庁舎、教会、防衛設備は今日なお、ハンザ同盟の権力をまざまざと想起させます
神聖ローマ皇帝カール四世の時代には、ニュルンベルクでは道路上にゴミクズの山が盛り上がっていることが報告されており、中世ドイツの都市はどこもそうであったろうことが想像されます
ツンフトと呼ばれる同業者組合においては、職人が従わなくてはいけない秩序があり、その秩序は少年の頃に親方に弟子入りしたときから死ぬまで影響力を及ぼすものだったです
それが今のドイツにも見受けられる厳格さのルーツなのかもしれません
刑吏や皮剥ぎなど忌まれた職業者と接触した場合、ツンフトから追放され、事実上の社会的抹殺が行なわれていたようで、厳しい世界ですね
キリスト教的な慈善が施される対象として乞食が職業として成り立っていたというのは、中世における数少ない人道的な面が感じられるところです
1349年のペスト流行のさいには、ユダヤ人が井戸に毒を入れたという罪をきせられ、ユダヤ人大虐殺が行われました
大正の関東大震災において、井戸に毒を入れたというデマで朝鮮人大虐殺が行なわれたのと、全く構図ですね
一般的な市民の日常食
パン、穀物粥、オートミール、それに自家の菜園でとれたキャベツ、玉ねぎ、パセリ、かぶ、にんじんなど
質素だったようです
中世都市は市壁で防御されていた
大領主も小領主もお互い同士の私闘に明け暮れていた
諸侯も都市もお互い戦っていた
森の中には賊や追いはぎがたむろしていた
都市の中でも泥棒、強盗はよくあった
そういう非情な時代を象徴しています
農民の生活について
ライ麦の種まきはエギウスの日に(9/1)
オート麦、大麦はベネディクトゥスの日に(3/21)
亜麻と麻の種まきはウルバヌスの日に(5/25)
カラスノエンドウとカブはキリアヌスの日に(3/1)
菜っ葉はウィトゥスの日(6/25)
えんどう豆はグレゴリウスの日に(3/12)
レンズ豆はフィリップス・ヤコブスの日に(5/1)
というように、規則正しかったようです
農業というのが協同体生活だったからです
質素で厳格な中世ドイツの生活を垣間見ることができました
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読書記録です
中世への旅 騎士と城
ハインリヒ・プレティヒャ 著
平尾浩三 訳
白水Uブックス
これは良書です
中世ドイツの騎士の生き様や城の生活事情について解説されている本です
狩猟や試合や宴会がとにかく大好きな騎士たち
裁判として決闘もおこなわれていたという血なまぐさい時代でもありました
冬の寒さが過酷なお城の生活
暖炉ひとつ程度では部屋全体が暖まるはずもなく
窓にガラスはなく、寒さや風雨をしのぐために雨戸を閉めると、昼間でもロウソクの明かりで暗闇に耐えなければならなかったそうです
暖炉に使う薪も値段が高く、節約しないといけないこともあったそうです
また、タイマツはススが出るから炊けなかったようです
城の広間には香水まみれの花びらを敷き詰めていたのはロマンチックだなと感じました
中世騎士物語のロマンチックさとは違う、リアルな騎士の日常
華やかな甲冑姿は重さが20kgくらいあったそうです
お城の生活は衛生状態も良いとはいえず、なかなか過酷だったようです
戦関係の話については僕も知識がないので、よく分からない話もあったのですが
城の攻防戦の時は堀を埋めるのが定石だそうです
水を汚物で汚すということもやっていたようです
中世騎士道というのは少なくとも建前の上では本当にレディーファーストだったんだなあ
貴婦人への敬愛
騎士試合の前に貴婦人は騎士に袖を送った
婦人は看病や薬草作りや裁縫の仕事をしていた
そういうロマンチックなことをしていた時代もあったそうです
それが武士道とは違うところですね
騎士は普段は農作業をやっていて、日本の中世の武士が半農半士だったのと同じだったんだなと感じました
騎士身分は農民、庶民であってもお金で買える場合があったそうで
世の中はやはり金なんですね
騎士の食文化は現代人が持っているヨーロッパ料理のイメージに近く、肉料理や卵料理が豊富で、スパイスは胡椒やサフランが好まれていたようです
中世ドイツの騎士やお城についてのいろいろな話しが書かれていてとても面白かったです
中世騎士物語や中世ヨーロッパをモチーフにしたファンタジーが好きな方にもオススメです
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読書しました。
日本の歴史をよみなおす(全)
網野善彦 著
ちくま学芸文庫
中世の庶民の文化風俗などを重点的にいくつかのトピックとして取り上げて論じたものです。
かつて穢多・非人と呼ばれていた人達のいわゆる部落問題の起源が語られていたのは勉強になりました。
かつては犬神人、河原者と呼ばれていた人達は平安時代の頃は差別を受けるだけの存在ではなく、「ケガレ」につながる職能として畏怖される存在でもあったようです。
それが畏怖される対象ではなくなり、差別される一方の対象となった時代に、鎌倉時代の新仏教は、被差別民の救済も目的の一つとしていたそうです。
中世の田舎についても決して自給自足の世界ではなく、農民や漁民や商工業者や流通業者などが貨幣経済のネットワークをつくっていました。
閉ざされた山間の村とかではなかったようです。
民俗学的なトピックが多く、よくある権力者に重点を置いた歴史本とはまた違った切り口で勉強になります。
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読書しました。
中世哲学の射程
ラテン教父からフィチーノまで
クラウス・リーゼンフーバー 著
村井則夫 編訳
平凡社ライブラリー
聖アウグスティヌスを中心とするラテン教父の思考様式についての考察。
天使的博士 聖トマス・アクィナスの倫理学。
マルシリオ・フィチーノの新プラトン主義。
知的射程が広くとても難解ですが、中世ヨーロッパの知のエッセンスが著されています。
信仰の知性的理解を求める中世ヨーロッパの知の探求を描き出す内容となっています。
理性の自己理解の展開と並行して、理性の具体的実現としての「学知」の理念が、キリスト教を根幹として展開する中世ヨーロッパの哲学は、デカルト以降の近代哲学の源流であるということを明らかにしている名著です。
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読書しました。
王の二つの身体(上・下)
E・H・カントーロヴィチ 著
小林公 訳
ちくま学芸文庫
ボリューミーな内容ですが、名著です。
王には二つの身体がある、それは自然的な生身の身体と、もうひとつは政治的な不可死のシンボル的な身体だそうです。
この国王二体論は16世紀イングランドにおいて特徴的なものだったそうです。
なぜイングランドなのか。
コーク卿が引用した『ブラクトン』の有名な一説。
「王自身は、人間の下にではなく神と法の下になければならない。なぜならば法が王を創るからである」というのがあります。
コーク卿の時代
法学の分野においては、正義は依然として父なる神と不可分であったとしても、祭壇の神とは同一視されていませんでした。
また、正義は神格化された国家に未だ従属されてはいませんでした。
正義はそれ自体において生ける徳であり、法=正義の時代でした。
もうひとつは、アリストテレス-アヴェロエス主義の現世の永遠性の概念がどこまで影響されているのかは別として、「自然的身体」から「政治的身体」論への発展としては時間の永遠性が自覚されたことが重要であるようです。
そうすることで、連綿たる王朝の永遠性が保証され、王がその体現者、不死鳥に例えられる単独法人として捉えられ、ここに個々の王の「自然的身体」からは独立した、非人格的な「政治的身体」が秩序の基盤となる国家になるそうです。
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