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象山ノート
#財政健全化 #プライマリーバランス
象山ノート
2025年6月20日 10:59
【序章】🧊「財政健全化」という美名の毒
「政府は借金だらけ。そろそろ財布のヒモを締めないと」
「プライマリーバランスを黒字にして、将来世代にツケを回さないようにしよう」
テレビでも新聞でも、そんな言葉が当たり前のように繰り返されている。
「財政健全化」は、まるで“正義のバッジ”のように語られてきた。
だが、ふと思う。
政府が支出を減らし続けたその先に、本当に「健全な社会」があるのだろうか?
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「財政均衡主義」とは、一言でいえば「政府は支出を増やすな、借金するな」という思想だ。
税収の範囲内でしか支出せず、プライマリーバランス(PB)を黒字にすることを至上命題とする。
では、もしこの原理を突き詰めて実行したらどうなるか。
政府の支出は“ゼロ”が理想、という思想を、
文字通り実現したとしたら?
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想像してみてほしい。
• 警察官は1人もいない。
• 消防車は来ない。
• 自衛隊も存在しない。
• 学校も病院も年金も、すべて「自己責任」。
つまり、国家が一切の支出をしない世界。
究極の財政健全化国家、「政府支出ゼロ国家ニッポン」。
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これは皮肉でも極論でもない。
実際に、政府は毎年この「PB黒字化」を目標に掲げ、
社会保障や公共事業の「歳出抑制」を進めている。
このまま進めば、いつか本当に「ゼロ」に近づくかもしれない。
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本稿では、その「行き着く先」をシミュレーションする。
どこまで政府支出を削れば、人は「幸福」になれるのか?
数字の健全化は、人間の健全化に繋がるのか?
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答えは、冷たくて静かな破綻の中にある。
それは「財政破綻」ではない。
社会の崩壊と、国家の“無”である。
象山ノート
#財政健全化 #プライマリーバランス
象山ノート
2025年6月20日 11:28
【第4章】💸通貨ゼロ国家:政府債務ゼロの正体とは
「政府の借金は悪だ。ゼロにすべきだ」
この理屈を徹底すれば、やがて通貨そのものが市場から消える。
なぜなら、通貨とは「政府の負債」だからだ。
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■ 政府債務ゼロ=通貨供給ゼロ
日本政府の債務、約1,200兆円。
その大部分は、日本銀行が買い入れ、通貨として供給されたもの。
つまり──
政府の借金こそが、あなたの財布の中身を支えている。
財政健全化を突き詰め、債務をゼロにするとは、
円という通貨を市場から引き上げて消滅させることに他ならない。
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■ 流通貨幣の回収=経済の死
通貨は経済の血液。
政府が「借金はダメ、返済あるのみ」として市場から通貨を吸収し始めると…
• 銀行の預金が枯れる
• 企業の売上も賃金も落ち込む
• 物はあるが、買える人がいない
デフレが深刻化し、経済活動は縮小の一途。
通貨が流れない経済とは、“死んだ経済”と同義である。
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■ 通貨が消えた先に残るもの
政府債務が完全にゼロになったとき──
• 市場には紙幣も電子マネーも残っていない
• 国債市場は崩壊し、金融業は無職化
• 民間の資産も、実質的に評価不能に
それでも政府は胸を張る──「財政は健全です」と。
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■ 市場経済にとって“政府債務は酸素”
市場経済は、政府の赤字支出という酸素で燃えている。
それを絶てば、どれほど「健全」に見えても、内側から窒息死する。
財政均衡主義は、医療機器を止めて“脈が止まった患者”を健常と認定する医者に似ている。
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■ もし通貨供給を禁じたら
状況
結果
債務ゼロ
通貨供給ゼロ
インフラ維持不能
経済機能崩壊
生活補助ゼロ
社会の棄民化
経済成長なし
税収減で「健全財政」も維持不能
■ 最後に残るのは、数字上の“健全”と、現実の“壊死”
PB黒字も、政府債務ゼロも、
“実体”を伴わない数字遊びに過ぎない。
国家が存在するとは、人が生きられる舞台を作り・支え・運営すること。
それを放棄して得られた“黒字”に、
一体、何の意味があるというのか?
象山ノート
#積極財政 #緊縮財政 #プライマリーバランス #民主党 #自民党
「我が国の財政事情」
社会保障費と国債費を除いたモノを2010から追ってみた。
地方公布(地) 公共事業(公) 文教及び科学振興(費・防衛はたはは関なたなてはててはなて係費等の予算(文)とします。
10年 文22.9 公5.8 地18.8 合計47.5兆円
12年 文23.1 公5.1 地18.4 合計46.6兆円
14年 文20.0 公6.0 地16.1 合計42.1兆円
15年 文19.9 公6.0 地15.1 合計40.9兆円
16年 文19.9 公6.0 地15.3 合計41.2兆円
17年 文19.9 公6.0 地15.6 合計41.5兆円
22年 文25.0 公6.1 地15.9 合計47.0兆円
25年 文25.0 公6.1 地 20.9 合計52兆円
2010年度予算は、いわゆる「悪夢の民主党政権」と揶揄される時代の予算である。
ところが、積極財政を掲げたアベノミクスが本格化した2014年以降を見ると、
社会保障と国債費を除いた実体経済向け支出は、
民主党政権期よりも小さい水準で推移している。
特に公共事業費は、10年以上にわたり6兆円前後で固定されたままだ。
これは名目値であり、円安・物価上昇・人件費高騰を考慮すれば、
実質の公共投資量はむしろ減少していると見るのが自然だろう。
令和8年度予算編成大綱には
「安易な国債発行に頼らない」「PB配慮」「市場の信認」
という文言が明記されている。
これは、建設国債を用いた本格的な公共投資を行わないという
明確なメッセージでもある。
名目予算が過去最大であっても、
インフラ更新や国土強靱化に必要な実質投資が増えていなければ、
それを「積極財政」と呼ぶのは難しい。
現在の予算は、安倍政権期の財政思想を
形を変えて引き継いでいるに過ぎないように見える。
象山ノート
#財政健全化 #プライマリーバランス
象山ノート
2025年6月20日 11:16
【第3章】🏚 インフラ崩壊国家:生きる舞台の消失
国家が支出をやめるということは、生きるための“舞台装置”を一つひとつ外していくということだ。
道路、水道、電気、通信──それらは、まるで「空気のようにあるもの」と思われていた。
だが、空気にも維持費はかかるのだ。
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■ 道路ゼロ:通学も救急も物流も、詰む
舗装も補修も行われなくなった道路は、あっという間に穴だらけの廃道に。
• 救急車が走れない
• 子どもが通学中に転倒して骨折
• トラックは横転、物流は崩壊
道路の維持管理費用が「無駄な支出」として削減された結果、
経済の血流は止まり、都市は孤立する。
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■ 上下水道ゼロ:水が出ない、流れない
水道管の更新もポンプの維持費もゼロ。
都市部でも「蛇口をひねれば茶色い液体」、地方では完全断水。
• 下水処理不能で悪臭と疫病が拡大
• トイレが使えず、街中がスラム化
• 衛生観念が崩壊し、医療崩壊と相乗効果でパンデミック状態に
「水インフラは民営化すればOK」?
民間は儲からないところからは撤退する。それが資本主義だ。
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■ 電力ゼロ:停電社会、日本沈黙
送電網の保守費用も国からの補助もなくなれば、
地方の配電は採算割れで停止。
• 真夏に冷房が使えない → 熱中症多発
• 医療機器も停止 → ICU患者死亡
• 信号が消え、夜は暗黒 → 犯罪が多発
電気が止まった社会は、文明が止まった社会である。
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■ 通信ゼロ:情報遮断、デマ社会
• 基地局の補助金カット
• 光ファイバー網の整備打ち切り
• 山間部や離島は完全に“圏外国家”へ
SNSもニュースもアクセス不能。
残るのは「誰かが言ってたらしい」という不確かな伝聞だけ。
「国家が沈黙した日、嘘だけが喋り続けていた。」
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■ 民営化=“放棄”の別名
財政支出ゼロ国家では、インフラの「民営化」が神のように称えられる。
だが、それは儲かるところだけが残され、儲からない地域が切り捨てられるということだ。
• 「この街には水も電気もない」
• 「過疎地に人が住むのは非効率」
• 「自己責任で引っ越せば?」
国家とは「採算の合わない人間を見捨てない存在」ではなかったのか?
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■ それでも、財政は黒字──よかったね。
国が支出しない社会は、
“放置国家”ではなく、“不在国家”へと変貌する。
国家が「存在している」と胸を張る根拠は、
人々の暮らしを支える“支出”にしか存在しない。
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