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ハーロック
・ 境界線は「言い返すこと」じゃない
キッチンの明かりだけが点いていた
50歳の彼女は、湯のみの縁を指でなぞっていた
冷めたお茶の表面が揺れるたび、胸の中も揺れた
今日も母親は来た
冷蔵庫を開け、引き出しを開け、子どもの予定を聞き、夫のことまで口を出した
「あなた、もっとちゃんとしなさい」
「子どものために言ってるの」
「私がいないと、あなたはダメなんだから」
彼女は反射で笑った
“はい、はい”の顔
これが一番安全だった
でも、夜になると、内側が焼ける
「私の人生は何だったんだろう」
その問いだけが、ずっと残る
その時、背後から声が落ちた
「自分、今から言うけどな
境界線って、言い返すことちゃう」
振り向くと、黒い服の男が立っていた
いつもの、どこからともなく現れる男
「言い返すと、母親は“議論”にしてくる
議論は、あの人の得意競技や
自分はそこで負け続けてきたんや」
彼女は唇を噛んだ
確かにそうだ
反論すればするほど、罪悪感を注入される
男は続けた
「境界線は、説得やない
運用や、ルールや、手続きや」
彼女は小さく息を吐いた
「でも……ルール作ったって、母は破って来ます」
男はあっさり言った
「来る、ほぼ100%来る
せやから大事なんは、“母がどう反応するか”を当てることやない
自分がどう返すかを決めておくことや」
・ 峰不二子の名言の“使い方”
男は、彼女の目を見て言った。
「“つまづいたのは誰かのせいかもしれない
けど立ち上がらないのは誰のせいでもない”」
「これ、冷たい言葉に聞こえるやろ
でも逆や」
彼女は首をかしげた
「逆?」
「これはな、母親から“人生のハンドル”を取り戻す言葉や」
男は短く区切った
★ つまづいた(支配された)のは、母親のせいでいい
★ でも、立ち上がるかどうかまで母親に決めさせたら、母親の勝ちが続く
★ 立ち上がるのは“母に勝つため”じゃない
★ 子どもに同じ地獄を渡さないためや
彼女の胸が熱くなった
自分の人生のために立ち上がるのは難しい
でも子どものためなら、やれる気がした
#希望 #自作小説

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