投稿
しおん
その姿を見て、私はふと気づいた。
ああ、この人は――
何も変わっていないんだ、と。
――この場所は、もしかしたら“あの世”の一部なんだろう。
けれど、ここには“黒い何か”の気配がない。
それどころか、
この空間そのものが、祖父の気配で守られている気がした。
祖父はきっと、自分でも気づかないままに、
この不思議な家を、結界のように作っていた。
あの“黒い何か”が、ここに近づけないのは、
たぶん、祖父の魂が“上の方”にあるからだ。
霊とか、あの世とか、
そういう言葉で説明できるものじゃないのかもしれない。
でも確かに、
ここは、安全な場所だった。
祖父がここにいて、
昔と同じように過ごしていて、
その空気が、今の私にも届いている。
何かを守ろうとしていたわけじゃない。
ただここに、ずっと“いる”だけで。
それで十分だった。
祖父は、何も言わなかった。
ただ、いつものようにそこにいた。
私が20の頃に亡くなった祖父は、
なぜだか自然と――
今ここにいるように感じられた。
そして、自然と「大丈夫」と思えた。
私は、目を覚ました。
窓の外の風景も、部屋の空気も、
何ひとつ変わっていないはずなのに、
どこかすべてが、優しくなっていた。
――あの家は、もうないけど。
#創作 #祖父との記憶 #心の居場所
#あの家はもうないけど #変わらないままここにいる




コメント
話題の投稿をみつける

ミゾ

ばかあ

うみぱ

ぴえん

サラ

猫舌先
それを「男の本能」とまとめる人間は信じない
人間には知能があって理性があるはずでしょ
それを飛ばして「本能」なんて都合いいこと言う人は
動物以下だと自称してんのよ

なかも

茅咲(ち
今日はお休み!

やさい
10周年おめでとうございます㊗️

朝から
もっとみる 
関連検索ワード

さとき
はじめまして。 コメント失礼します。 あの家は、もうないけど読ませていただきました。 最初は少し怖いお話かなぁと思って読んでいったらとても心が暖まるお話でした。 素人目線ですがとても良かったです。 素敵なお話ありがとうございました。 また楽しみにしています。
しおん 投稿者
最終話まで読んでくださった方! ありがとうございました! 良かったら感想お待ちしてます[照れる]
ヤジン
ちょっと世界の終わりとハードボイルドワンダーランドを思い出した。
らむね
不思議な感覚だけど、きっと見守ってくれてるんだろうね[ほっとする]