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りら🌙
山尾悠子(2019)『歪み真珠』ちくま文庫
(「もっとみる」以降『歪み真珠』及び『夜想 ♯山尾悠子』の内容に触れているので、ネタバレ注意)
単行本の発行は2010年で、題の「歪み真珠」はバロックの原義。好みなのに、数年前読んでまったくはまらなかった自分が謎だが、作品を読むのにも適した時期があるということか。「意味ありげなのにもどかしく意味のわからない画面の絵解きに心を奪われ」るしかなかったのが、『夜想 ♯山尾悠子』を読んだことによって、考察の補助線を得たことも大きいと思われる。ちなみに読もうと思ったのは、『夜想 ♯山尾悠子』に『歪み真珠』の収録作品「アンヌンツィアツィオーネ」が彼女の消滅願望を表してると記載があったため。
まず全体について。これまでに読んできた『ラピスラズリ』『小鳥たち』『増補 夢の遠近法』『山尾悠子作品集成』も踏まえて、この『歪み真珠』から作者の思考・嗜好に肉薄することが出来たような気がする。というのも、『歪み真珠』に収録されている「ドロテアの首と銀の皿」「影盗みの話」はそれぞれ『ラピスラズリ』「ゴーレム」の外伝のようなものであり、本編だけでは捉えきれなかった部分も補うことが可能だからだ。
『夜想 #山尾悠子』に収録された川野芽生による「呪われたもののための福音ー『ラピスラズリ』評ー」では、『ラピスラズリ』を、繰り返される反・生のモチーフ及びそれに基づくミソジニーがシスターフッド(婚姻などの軛を超えた愛)によって泥臭い生と和解する物語として読み解いている。
さて、「ドロテアの首と銀の皿」はというと。夫に先立たれた「私」は遺産相続のため、また未婚の従兄弟と引き合わされることを回避するために、自分の身分を証明する書類を必要としていた。冬眠前の屋敷には、銀の皿を持つ白いむすめ(その皿に乗る若いむすめの首は純潔を守るために結婚を拒んだ殉教者ドロテアと呼ばれている)が現れ、人々は親戚を転々としており周囲に不思議な現象を引き起こす姪のトマジに因縁を求める。
コメント
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パシ・
と思いきや次のダイナは寒色が「ミラクル」ですからね。
とはいえ、超能力だけでなくスピードにも長けていました。
暖色パワー、寒色スピードの走りは何なのでしょう?

まっち
岸くんのニューヘアー可愛すぎてNumber_iさんより先にこちらがブチ上がっておりますけども😮💨え、え、え、色も形もめちゃくちゃ可愛い🥹美容師さんカレーパン100個食べろ🥹

かっぱ

絶望職
趣味や好きなことを語り合うのは
強制するもんじゃなくて
自然とそうなっていくものなんだよ、
ましてや頼みごとをするなら
親しき仲にも礼儀があるべきだと思うし悪い人じゃないんだけど
俺は彼とは仲の良い関係を
築ける未来が見えなかったんだ
悪いけどごめんね

お粥
親切なPL「千織、桃知陽希」
少しずつ育てるPL「黒田環、鷹司夜宵」
厄介なPL「音無絢人、フレデリク」
関わってはいけないPL「目目斗森梓、アーノルド・J・ワーズノス」

いと
ストレートだとごはんと一緒に、ミルクティーも意外と合うんだなってのは姉様が淹れてくれてから知ったんですけど、スモークされたみたいな松の香りがねぇ癖強で美味しい
スモークみが苦手じゃないならオススメ

A観音
続きも楽しみだ~~✌️
カジュアルに銃弾が飛び交ってて笑う。男性ほぼ獣キャラになっててユニコーン配慮が凄い🦄世界観に仕掛けがあるタイプなのかな?なんにせよこれからも楽しみな作品
小倉唯ちゃん(シロコ)のクールキャラってちょっと珍しいから活躍楽しみ~

りー﨑
私「狂犬と飼い主の話と思いきや飼い主の方がやべえやつ」
友「さすが高校時代から長い付き合いだけある。帰ったらすぐ見るわ」
みたいな会話を3年前くらいにした

くま💚
そんな大橋くんが大好きだよ💚
いつまで大橋くんは大橋くんのままでいてね💚
#大橋和也

おなか
昨年は見た目がイマイチだったのに今年はイイ感じ👍✨
デカすぎて着れない洋服は、もう処分してもいいかもな🤔
【435日目】
・体重 53.2㎏(前日比-0.1)
・体脂肪率 30.0%
#ダイエット
#歓喜
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りら🌙 投稿者
正直、話の筋をあんまり追えていないため再読必須!!!ではあるのだが、注目したいのがトマジの「私はあなたのようにはならない、なりたくない」という言葉。身分の証明が必要となり、冬には寝室に籠ることになる奥様である「私」のようにはならないというまだ大人になっていない少女の願い。物語の結末において、トマジは自分の母親のように「本物の冬」を見ることが出来るのではないかと期待しているのに対して、主人公は「ここにいて、今でもここにいる。夢には時おり春先の夢が混じる。夫の書斎が今は私の冬寝室である」。
りら🌙 投稿者
いうなれば、軛に囚われた大人になりたくない、次世代を生きる(だろう)少女たちが主軸になっている『ラピスラズリ』に対して、その落穂ひろいとしての「ドロテアの首と銀の皿」は少女たちが軛として拒むものを受け入れ、冬眠者として生き続ける女の物語なのだと思う。その結末で主人公が「今でもここにいる」ということ、婚姻が夫の死後もある種のセーフティネットとして機能していることから、軛を超えてどことなく折り合いをつけたような雰囲気が感じられる。
りら🌙 投稿者
そして、今回この文庫本で、諏訪哲史の「解説 『歪み真珠』ー綺想の結節点」を読めたのも収穫だった。諏訪は、作品集成に収録されている山尾作品を取り上げ、Ⅰ=「夢の棲む街」「童話・支那風小夜曲集」、Ⅱ=「遠近法」「黒金」「傳説」に分類している。Ⅰは物語性の高い小説を好む読者が推挙する作品群であり、会話体が織り込まれること、語りにスピード感があること、文体自由度が高いことが特徴。『歪み真珠』では、「マスクとベルガマスク」「アンヌンツィアツィオーネ」「夜の宮殿の観光、女王との謁見つき」。
りら🌙 投稿者
そして、「影盗みの話」。これは「ずいぶんと気取ったテンションの高い書き出しであることは確かで、この調子で書き手の気追い込んだ顔が目に浮かぶような文章が続いていく」という表現からもわかるように、「ゴーレム」に登場する「赤本」及び「影盗み」を作者が再度とらえ直すものとなっている。「夢の棲む街」に対する「漏斗と螺旋」のような。
りら🌙 投稿者
そして、語りは性を超越する。だからこそ、男性性と括ることには抵抗を感じざるを得ない。ただ、もはや「何よりもはやく疾走すること」に特化したとき、「顔は忘れられ」るし(「美しい背中のアタランテ」)、「その大理石でできた眼がひとみを持たないために女神は何も見ない。自分の裸身を意識することも、畏怖や称賛を顧みることもない。それだけで何の不足もなく、十分ではないのか?」(「美神の通過」)と、まさに山尾作品の中で答えが出ているような気もするのである。