
瑞樹
学生
話を聞くのが好き
絵描き
音楽
歌うこと

瑞樹
持ち得ているようだった。声も顔も、
写真記憶や聴覚過敏だって、いろんな要素が
混ざり合って彼たらしめる才能があった。
絶望したよ、本当に。
あの人を見てしまったら、きっと人を好きに
なることなんてできやしない。
一生孤独でもいいから、一生側において
欲しいと願うほどに、まるで神様のようだった

瑞樹
ギフテッドと話すと嫌でもわかる。
天才と話すと、そもそも会話の内容を理解
することすら難しく、会話にならないのだと。
だから私は、まるで自分が9歳の子どもで、
面白いお兄さんからおはなしをきいている
ような気持ちになったのだった。
あの人は、あの人の話を聞いた後に私が
いうことに対して、否定も肯定もしなかった。
きっと聞くに耐えないような理論もなにも
存在しないような言葉だったと思う。
けれど静かに彼はそこにいてくれた。
私にとってその時間は、もしかすると人生で
1番穏やかで楽しい時間だったのかもしれない。
子どものままでいたい私と、生まれ持った性質
ゆえに子どもらしさなどとうに捨てたあの人。
あまりにも信じられないけれど同じカテゴリの
中にいた、異常な時間。
あの異常に恋をした。これが私の毒され方。
あの人と話せなくなった今でも、あの人の
ように世界が飛び散る色とりどりのカラー
になる事はなくて、空は相変わらず綺麗で
そのすべて、あんまりに美しいのに
どうしてか悲しかった

瑞樹
どうしようもなく何かをしなければと駆られる
ものだと私は思う。現に今何かをしていないと
不安で不安で仕方ない。けれど知っている。
その不安を消すためには学び続けるしかない
ということを。そしていつか、その出会いを
誇りに思うことができるということを。

瑞樹
たくさんの知識がないからこそ見えた景色と
違い、知識を持った上での疑問が私は欲しい。
天才のようにはいかずとも、このままただ
時間を過ごすなんてもったいないこと
私にはできない。
そう言えば彼も言っていたっけ。
世の中は娯楽に溢れすぎていると。
目的を持たない限り、堕落していって
しまうのだと。

瑞樹
朝になって、「今日この今がおわって
仕舞えば、もう2度と話す機会はないであろう
あなたとまだ話していたい」と伝えた私を、
ハッと軽く笑った彼を、私は忘れない。
私と近しく、私とあまりにも遠かった
あの人を、私は忘れない。

瑞樹
彼の家系は皆曽祖父に至るまで化け物のように
頭の良い人の集まりだったらしい。そんな中に
生まれた彼がギフテッドとなったのも、もしや
すると必然であったのかもしれない。
しかし彼の母親は双極性障害を持つ方であった
彼のIQが高いことがわかり、勉強のみを行わせ
暴力を振るわれてしまうこと、彼女自身が
リストカットをしてしまうことなどが常に
あった環境にいたと言われた。
論文を読み、海外に飛ばされそうになり、
アイドルの事務所契約、19歳にして会社の
役員、画家として絵画の展示、これに関して
言うならば彼は初めて描いた油絵が最年少で
評価されたという。
そんな彼に私は一つ、尋ねた事柄がある。
もしも目の前で人が死のうとしている時、
あなたならどんな言葉をかけますか、と。
彼はこう答えた。「俺はその人となるべく
同じ視点になるようにする。例えばその人が
もし上裸で飛び降りようとしているなら、俺も
服を脱ぐ。全てを理解することなどできないが
それでもせめて同じ視点に立とうとすることで
初めて対等になれる気がする。対等でない人の
言葉が死ぬという絶望まで至った人に届く訳が
ないのだから」と。
彼は一度、その言葉通りの行動を実際に
している。そう、彼の母親である。
彼の母親がリストカットをしようとした際
「そんなに自分を苦しめたいなら、俺の腕を
切ってみればいい、俺がどんな気持ちでそれ
を見ているのかわかるだろう」と言った彼の
腕は、迷いなく引かれた母のナイフによって
切り裂かれたという。どう思った?と聞いた
彼に対し母の一言は「苦しい。」
彼はその後知ったのだという、障害を抱えて
いたということを。ならばどうしようもない
ものなのだろうと。自身が抱えるPTSDが
無意識下で行われてしまったのと同じだと
どこか俯瞰しているようだった。
彼は幼少からの劣悪な環境から、表情に
感情が出ないのだと言った。しかし彼が
私に伝えたのは、「自分のことを憐れむ
ことはやめてほしい」ということだった。
彼にとって普通であった日常、どんなに
劣悪であったとしても、彼はその中で
輝くばかりの才能を使い今の今まで
生き延びてきた。ある時そんな彼の境遇
を憐れんだ当時の高校の担任に、彼は
言い表すことのできないどうしようもない
怒りを覚えたという。俺のことを憐れむな
「お前本当に可哀想なやつだな」?
ふざけるな。どうして俺の人生をわかった気に
なって勝手に憐れむんだ、と。
教職を選んだ自分はふと思う。
彼の才能の強さに、それに一生かけたところで
追いつけない不甲斐なさにどうしようもなく
絶望させられてしまう私だが、彼の生きた
壮絶な人生でなくとも、私自身ですら苦しさや
辛さを乗り越えてここまで生きてきたこと。
比べることのない、いや、きっと私は比べて
しまうけれどせめて、せめて同じ目線に立つ
縋れる大人として側にいて、子どもを支えて
いく義務があるのだと。
彼は私が不幸だと言うことに対し素直に語る。
「不幸は比べるものではない、それぞれが
それぞれの苦しみを抱えている。お前の苦しみ
だってそうだ」と。
彼の言葉が頭をよぎって仕方がない。
この短い話した期間の中で知った全てを
今ここに書き残しておきたいと心の底から
感じるほどに。
彼はいつだって効率的で、生産的。
今できないことには必ず理由があり、その準備
を怠った状態で嘆くなど考えもよらないと。
いつかもない、夢の出会いを思い浮かべる。
おそらく一生あの人のような人に出会う事は
ないのだろうと確信している。
ひとつ、希望を描くのなら、彼が自分と同じ
人間であったという事実。
彼もまた、漠然と死にたい、死んでしまおうと
行動にまで起こした人間であった。
薄れていく意識の中、持続する痛みを感じて尚
「この苦しみがただ眠るように続き、そのまま
なにも考えなくてもよくなり死ねるのなら、
それでいい」と思うほどに。
今彼がこうして生きるのは、彼自ら人間として
非常に脆く弱いというほどの彼が生きている
のは、彼がこれまで嫌でも頭に入れた知識と
経験で武装して生きてきたためだ。決して彼は
持ち得た才能にあぐらを描いたのではない。
自ら自分の意思で掴みに行った。

瑞樹
育ったギフテッドにお会いして話す体験を
した。運動、絵画、詩、学力、歌、どれもが
まるで違う、本当に別世界の住民のような人
だった。
彼と出会って学のない私がただ感じたのは
圧倒的な壁と埋まることのない差、そして
なにより、彼がいたって簡単に行っている
普段の生活が、私にとって泣きたいほど辛い
努力のそのさらに上をいくものであったと
いう絶望だった。
けれど私は、どうしようもなくその天才の
輝きに魅せられてしまったように思う。
彼は私が雲は綺麗で大好きだと言ったこと
に対して、「俺は雲がどんなもので、どうして
そう在るのかを知ってしまってから、雲を素直
に綺麗なものとして見れなくなった」と言った
知識を得て世界の見方を変えるのか、選ぶのは
私自身だと彼は言う。
彼の未知のIQから繰り出される難解な詩を
聞いていつか理解したいと言う私に対して、
彼は「いつか理解することはできる、俺は
常にダッシュで人生を進んでいるだけ、だが
いつかこの詩を読み解くことができるように
なった時、死ぬほど苦しむと思う」と言った。
彼は私に対して、常に選択肢を与えた。
最後に決めるのは私だと。人を信じないも、
世界をまっさらな綺麗なものとしてみたいが
ために知識をつけない選択をすることも。
すでに答えの提示されている世界の絶望も。
けれど彼は私にどうしようもなく魅せる。
世界に広がる未知を探求する興奮を。
あくなき探究心を。到底届くはずもない
ギフテッドそのものの輝きを。
溢れんばかりの嫉妬が漏れた。自らの
全てを否定する絶望が見えた。昔の私に
逆戻り。けれどどうしても諦めたくない
いつかの私が心の奥で叫ぶ声がした。
彼の人生の中に、私と言う存在が残る
ことはない。彼は幸せではない、人など
ではなくただのぬくもりに包まれたいと
言っていた。私の人生の中に色濃く残った
令和の天才は、世に知れ渡ることもなく
ひっそりと生涯を終えていくだろう。
それでも、私は彼に出会ったあの数時間、
真夜中から朝まで寝ずに聞いたあの話を
いつまでも忘れずにいたいと心から願う。
本物の天才を垣間見た絶望と興奮をいつまで
だって噛み締めて、私と言うものがいつか
彼の真意を感じられるその時まで。
本当に、本物の神様に会ったような気分だった。

瑞樹
思っていつもたくさん笑ってる
ときどきこそこそ泣いたりしてみるけど、
泣き終わって仕舞えばやっぱり死ぬほど
笑ってる自分がいて、そんな自分が好き

瑞樹
もう一度始めることはできるんだってさ

瑞樹
思うこと、一体どっちの方が幸せに近い
感情なんだろうね

瑞樹
存在しないんだろうけど、だとしても大切に
したいから人は人に干渉するのかも

瑞樹
それでもそばにいたいと思う気持ちは
恋と言えるのかな
それともただの執着なのかな

瑞樹
一度出会ってしまったらきっとただの偶然
では語りきれない何かになってしまう

瑞樹
あると思うんだ
そうありたい自分でいた方が私は楽な
ことが多いから、見栄を張っちゃう
いいことばかりじゃないよ?でもね
「そうしたい」って思う自分も大切に
してあげたいの

瑞樹


瑞樹
何かがあるから一緒にいたいのかな
ずっとそう思えるのかな

瑞樹
それでもやっぱり大人にはなりたいや

瑞樹
まるで分かったみたいにいつも言ってしまう
けど、本当にそうだと思うの
望んだ結果と、望んだ行動、どちらもを手に
入れる判断をしようとするのは結構難しいね

瑞樹
もらえると安心するからか

瑞樹
私はあるよ!もーなんて言うかね、
熱がずーっと内側に篭ってる感じでさ、
行き場をずっと探してるみたいな感じ。
誰にでもいいからもう優しさとしてでも
相手に受け取って欲しくて、時々普段は
自分のことしかしないのに求めてそうな
ことをしちゃうのね。なぞ〜

瑞樹
分かってもらえなくてもいいよ。
だってね自分の価値観を理解されるか
よりも、価値観が侵されないことの方
が大事なんだ、私。
線引きって思ったよりも必要なんだあ。

瑞樹
誰も簡単に信じられなくなると思わない?
判断基準が自分にある以上、どうしても
他人を自分に当てはめて考える癖が強い
私はとくに信じられなかったりするよ
悪い人ばかりじゃないって分かってる
つもりなんだけどね…信じるって
難しい

瑞樹
塞ぎ込んでたんだけど、色々後悔してたこと
多くて今更ちょっと嘆いたりするんだよね。
でも結局今の私になってもやらかすことは
あるし、それでも成長してる気はするから
あの頃はやっぱり必要だとも思う。
もっとうまく生きれただろうなって考える人
いるのかな。私は思ってたよりもだいぶ
そう考えてたみたい。

瑞樹
能力とか特技って見栄とかじゃなくて、
その人を構成する要素が滲み出てるもの
だと思うの。
中身が素敵っていう人は沢山いるけど、
人間可視化されているものを見て安心したい
気持ちがあるのから能力にこだわる部分も
あるのかなって感じるんだ。

瑞樹
ならきっと大丈夫。後悔は次に進むための
情報を得ようとしてる現れだと思うから。

瑞樹
だけど別にみてない訳でもないよ
きっと誰かがちゃんと見てるよ

瑞樹
周りがあんまりに綺麗なのに自分が
こんなにも悲しいくらいに醜いから
けれどそんな自分すら意識して守って
しまうから

瑞樹
許される、そんな場所が好きみたい
それでいて誰も私に干渉せずにそっと
そばでお花畑だといってくれるような
そんな人が好きみたい

瑞樹
明確な自分像が欲しい

瑞樹
治らない、病院には行けない、なんて。
いろんなことが重なって、さらに試験が
あるなんて。
しんどくて逃げたいなあ、大変だったん
だなあ生きるのって。
色々考えても辛いだけだから今だけを
見るけれど、明日も明後日も、これから
どうしていけばいいんだろう。
病院に行かず治したことなんてない。
わからないなあ

瑞樹
おとなの掟

瑞樹
言われてたから協力して歌を作って周りに
聞いてもらったんだけど、すごく褒められたの
一緒にやってくれた子もニコニコしてて、
私もなにか内側から湧き出るものがあって
嬉しかった。それと同時にふと承認欲求と
達成感のバランスについて考えたくなった。
やったからには認められたい、やりきったと
思いたい。その想い自体は純粋なはずだ。
けれどどこからか狂い始める、苦しい逃げたい
誰にも届かない、自分は必要じゃないとそう
思わざるを得なくなった時人は大きく傾く。
傾かないのがいいこととは言わないけど、
こういうことがあるから1人よりも誰かとの
方が挑戦するにはいいって言われるんだと思う
だって支えがあるならそう簡単に倒れたり
しないでしょ

瑞樹
けど好きになってしまう、人を好きになる
いやではない、けど私に1人だけ好きでいる
なんてできないのかな
いい人をいい人って言いたいだけなのに

瑞樹
めっちゃいい人に恋しちゃったよなんか
断られた後にめっちゃ思いの丈聞いて
くれて褒めてももらったよ!
そして新しく好きな人ができたよ!
しぬ!……本当に惚れやすいんだな私…
まあまた頑張ります

瑞樹
と思ったりするのも恋なのか…?

瑞樹
あれるなら、私はそれでいいかな

瑞樹
いらない、と言ってしまえる私がよかった
好きなことはしてたいし、無理はしたくない
けれど追いたいなぁなんて考える
何もしないで好きになってもらおうだなんて
虫が良すぎる

瑞樹
心持ちがほしい
なんてことない今をきちんと客観視
できるようにしたいんです
今しか見てない私だけど、だからこそ
今のことだけは真剣に考えていたい

瑞樹
ないというかできないんだ〜…。
単に好きな人と話せて嬉しいっていうだけ。
それだけの話なの

瑞樹
人が困っている時だけ

瑞樹
にもそう思ってる人がいて。
当たり前なんだけどやっぱ辛いか。
講義終わって忘れ物取りに行っただけ
だったのに大きな空き部屋でギャル
と2人で勉強してるの見えちゃったよ。
焦るというか、もうダメかなとか
思ったよね…。わんちゃん女の子側
から誘ってたみたいだったからまだ
アタックはしたいけども。
悲しい…辛い…いやだぁ負けたくない
誰にだよ自分にだよ!諦めたくなって
いる自分にだよ!!!うわぁぁぁ
プリン食べたいな

瑞樹
ちょっとの絶望が必要なんだって
知らなかった…けどなんか分かる
私も刺激とかあんまり好きじゃなくて
のほほんといたいんだけど、それを
ずっとしてると何事に対してもどこか
「もうどうでもいいや」って思うの。
いつか絶望することすらどうでもいいや
ってなって、体が動かなくなってから
初めて後悔するのかなって思ったら、
ゾッとしたんだよね…

瑞樹
青く見えるだろうか

瑞樹
まるで違うようでどこか繋がっていると思う
今飛べないのなら、まだその時じゃないんだ
と思うようにしてる

瑞樹
「愛する」ってなんなんだろうね。
個人的には何があっても揺るがない相手を
大切に思える気持ち、って考えてた。
でもそうすると人を愛するって凄く難しく
感じる。あれ、私この人のことほんとうに
愛せてたのかなって思う。
まー実際はほどほどに相手のことを大切に
できればそれでいいんだと思うけどもね、
いつも時々相手に対してなぜか申し訳なさ
があったから少し物思いにふけっちゃった

瑞樹
知りたいなって思うことが恋の進歩だって
誰かが言ってたから

瑞樹
そう思って何日か経って行動ひとつぽつり!
アイライン最初は太くなりすぎちゃって
たんだけどちょっとだけ綺麗に引けるように
なったかもなんだ


瑞樹
ないことは我慢すること。吐き出してほしい。
そんな重いものかかえてたらもっと辛くなって
しまうんじゃ…って勝手ながら思う。
頼って欲しいなんて傲慢なこと言えないけど、
楽しい話題じゃなかったとしても人の助けに
なれるのは嬉しいじゃん。聞かせてよ。
