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ぽちた

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俳句と思想

銀やんまジュラ紀の空の青さかな
有馬朗人

季節外れだけど...以前、歳時記の中から見つけて心に残った一句。秋の空の爽やかさと時空を飛び越えるスケール感にすっかりやられた。

気になってたので、最近この句を収めた句集を買って読んだら、これがなんかいまいちハマらなかった。

作者のことを色々調べると、本職は物理学者。寺田寅彦といっしょ。そして政治家としても高名で、小渕政権のときに文部大臣と科学技術庁長官、原子力委員会委員長を務めていた。

つまり、原発推進政策のトップにいた人だ。

その句集『黙示』には、ちょうど震災の前の年からの作品が載ってる。津波とかを詠んだ句は幾つかあるけど、原発のことは全然出てこない。海外詠の句が多くてチェルノブイリで詠んだのもあるんだけど、やっぱりそこでも原発スルー。

立場上詠めなかったのか、目を背けていたのか...とにかく3.11で変わってしまった世界の渦中で生きてきた自分にとって、そこに大きな違和感を感じずにはいられなかった。

そもそも俳句は自然や風土を相手にしてきた文学だから、社会情勢とか政治思想とかいった題材と無縁であっても何も問題無い。違和感を感じている自分のほうが、きっと何かに毒されているような気がした。

俳句に「社会性」というテーマが持ち込まれたのは戦時中から。反戦に接近した作品を詠んだ俳人らが特高に検挙された「新興俳句弾圧事件」。戦後、同じく反戦思想を軸に「社会性俳句」という潮流を牽引した金子兜太。この辺りからだ。

戦争が廊下の奥に立つてゐた
渡辺白泉

湾曲し火傷し爆心地のマラソン
原爆許すまじ蟹かつかつと瓦礫歩む
金子兜太

ペンは剣よりも強し。戦争という不条理の巨大なインパクトが、「詩」を「言葉による闘争」へと向かわせた。

そんなムーブメントのずっと後に生まれてインターネット社会に生きている私たちが俳句に触れるとき、芭蕉も兜太も軽やかに渡り歩く。そのことは新しい価値観を生み出す素晴らしい化学反応を起こしもするが、同時に純粋無垢な姿のままの詩の価値というものを、汚してもいるだろう。

膨大な情報に触れること、そこから何かを生み出し発信することもひとつの価値。一方でその波に飲まれてありのままの言葉の価値を見失う危険性もある。

締めもまた季節違いだけど...

銀やんま地球に俳句てふ問答
石塊

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