
Qoo
曇空広がる夜のとき
嫁に入るは人の子で
齢十六の健気な女子
婿に立つるは二枚舌
蛇ノ頭に蜘蛛の四肢
齢も分からぬ物怪也
死が二人を分かつ迄
なぞと伴天連語る様
あわや宴は混沌かな
雲が薄紫に染まる頃
月が空に溶けるとき
そこに何も残らない

Qoo
布を帯びたピアノが鳴り響き
無機質なコップはうねりを見せて生きている
紫煙の狼煙は空気の揺れを感じて震えている
あの日見た母の背中はもう死んでいた。
刻まれた傷跡はかさぶたも作らずに
ただ血を流し続けている
人面犬がこちらを見て歯をちらつかせている
布団は視線を遮る盾となっている
社会は盾を貫通して私を責め立てる
地獄絵図が広がるセカイで音楽は
天国の領域を私に授ける
熾天使の涙は洪水をもたらし
悪魔の涙は身体に血を浴びせる
鳥獣戯画のこの世界でたった一人
人間を演じている私はもはや人ではない
1619kHz (2018 Remastered)

Qoo
何かを捧げなければ何かは得られない
人生に犠牲は付き物だと私は考える。
無償の愛など存在しない
生きているから得られるものなのだ。
無料のものなど存在しない
時を捧げるから得られるものなのだ。
犠牲を捧げればどんなものも手に入る
訳では無いことなど分かっている。
分かっていても何も得られない
犠牲を捧げ続けることに
人間らしさを感じるのだ。
無意味なことにこそ意味が
あるのではないかとふと立ち止まる夜更け。

Qoo
君は彼岸花の茎を咥えながら
白い腕を後ろに髪を結った。
俯きがちな視線は何も見ていない
重く垂れ込んだ瞼は君を妖艶に飾る。
細く折れそうな華奢な躰は
破壊衝動を掻き立てる。
君は花弁を一口食んでいた。
そんな一瞬が君を完璧にした。
口から溢れる血は君の躰を彩って
見開いたその両眼は君の全てを物語った。

Qoo
音の境界はとうに破壊されている
真実の振動は宇宙の輪郭を見せ
正方形の明かりを4等分する
中心の刻まれた点は一次元を垣間見せ
その中にある多層現実を
脳に直接注ぎ込む
培養液に浸された現実と
ホルマリンを重ね合わせる
死に至る病が自我を削いで彫像を創り上げる
Fly

Qoo
0と1が文字を刻んでいる
震える焦点が鼓動と共鳴している
霞んで文字が変わっていく
アルファベットが並んでいる
自堕落なまま言葉を刻んでいく
血眼になって文字を探している
でもHDMI3から目が離せない
言葉が欠け落ちて
段々と朽ちて
真を見せて
0と1が
残る
在

Qoo
本棚の板が曲がっている。
本の重みに耐えかねて体をしならせている。
その曲線は黄金比の曲線のように見える
見えるだけでそこに何も意味などは無い。
その曲線を生み出した重みは
物質的であり情報的であり感情的である。
私が伝えたいことはその湾曲した板は
私たちが観測していない程の重力を帯びた
在るべくして在る奇跡の産物だということ。
壊れてなどいない。
まだその湾曲した平面は維持されている。
いつか折れるそのときまで
この板は美しく生き続けるのだろう。
いつか折れたその時湾曲した平面の断片を
残してこの世界にいた証を残すのだ。
そして無惨に焼かれ、誰にも意図して
観測されずにただこの世界から姿を消すのだ。
なんとも儚く美しく
惨めで残酷な内在的宇宙なのだろう。

Qoo
私はとある寄生虫である
布団に、部屋に、家に、
学校に、社会に、世界に
寄生している寄生虫である
私はやはり寄生虫である
家族に、猫に、友に、
恩師に、社長に、神に
寄生している寄生虫である
寄生虫とは聞こえが悪いが
身を寄せて生きている存在と
言えば多少は聞こえが良くなる
だが寄生虫は排除せねばならない
と直感的に考える人が多数であろう
それは身を寄せて生きることで
対象から一方的に何かを吸い取るような
印象からできている事実のようなもの
だがその吸い取った何かを
私は何も感じ取れない
身を寄せ生きている実感もない
寄生事実だけがそこにある

Qoo
太陽に照らされているとき、
私の影は最も濃くなる。
月を眺めているとき、
私は裏側を知らずにいる。
星を繋いで星座を探すとき、
私は星の個性を見ていない。
雲の流れを感じているとき、
私は足を止めている。
空に視線を向けているとき、
私は現実が見えていない。

Qoo
お腹のあたりで猫が眠る。
くるりとまるまり眠っている。
胴が長くなっていく。
くるりくるりと渦ができる。
尻尾が長くなっていく。
くるりくるりと外を囲む。
思考もぐるぐる回っていく。
中心点には猫がいる。
辛い気持ちがもくもく立ち込める。
中心点には猫が眠っている。
希死念慮がそーっと包んでくる。
中心点には猫の渦があった。
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紅


