
勿忘草
胸に秘めたる
淡き夢
光となれと
夏を進まん #短歌


葉琉
なにも分からなくなって学校をやめた。
だんだん人が降りていき、ほぼ無人となってしまった車内。
窓の流れる景色はわたしを田舎へと誘ってくれる。
遠く離れたおばあちゃんの家。
お願いをした時はびっくりしていたけれど、
いいよと了承してくれた。
夜に人の声がしない街、そんな場所だった。
私の一日は二食ご飯を食べて、外に散歩に行って
21時をすぎたら意識をとばす。それだけ
おばあちゃんは体操が好きだったから一緒に体操をした。
おやつは食べない。ジュースものまない。いいダイエットになった。
一年続けた甲斐あって、随分と華奢になった。
それにここにはWi-Fiのルーターがないから、スマホもずっと開いていない。
所謂デジタルデトックスというやつかもしれない。
ネットに篭り、毎日泣いていた日々とは打って変わって
今は穏やかにすごしている。
流石に家に帰ってみるか。
不意にそう思い立った。
おばあちゃんにそういうと、〔いってらっしゃい〕
優しく見送ってくれた。
久しぶりにおばあちゃんや近所の方でない人をみた。
そういえば、友達もいたんだったな。
今何してる?とかいえないか。
何かあったらと、充電をさせてもらったスマホは
ロックの解き方も忘れる勢いで、
なんとか久しぶりのブルーライトをあびた。
そこには何百もの着信、メール通知があった。
そういえばあの頃友達には何もいわずこの街を出てしまったなと思い出す。
去年の着信を知らせた通知。
なんなら最近のものまであり、心配をかけたなと
改めて思う。
最寄りの駅に着いて
ああ、懐かしいと言葉をこぼす。
その時、着信を知らせる音が鳴った。
反射で相手も見ないままでんわをとる。
「も、もしもし、?」
《え、〇〇、、?》
「そうだよ、わたし。」
《ほ、ほんとに、?》
「ほんとだよ、久しぶり。」
久しぶりに聞いた声の主は、前好きだった彼。
《お前なにしてたんだよ!》
必死な声が聞こえる。
久しぶりにこんなに穏やかじゃない声を聞いた。
「なにしてたんだろうね。」
1人で咀嚼するように呟く。
いまは昼間だ。
どうして今と思ったが
土曜日だからいま電話をかけて来れたらしい。
《今どこ》
「わたしの家の近くの駅。」
一年も帰っていない家を私の家と言っていいのかは曖昧だったが、
まあ彼がわかるのはこれでしかないからこれでいいだろう。
《分かった。》
ここにでもくるのだろうか。
部活終わりだからとか、、?
そんなことを考えていると、なんとなく嬉しい気持ちになった。
私のために来てくれるのかと、そう思えたからだ。
待つこと30分、お気に入りの小説を持ってきていたから造作もない時間だった。
『〇〇』
あ、この声。
頭を上げるとそこには
背が伸びてさらにかっこよくなった彼の姿があった。
「それにしてもかっこよくなったね。」
独り言のようにそっと出た声だった。
泣きそうな怒っていそうな美形な彼は
『お前こそ、何があったんだ。』と呟く。
「なんもしてないよ。」
本心だったし、これ以上なかった。
「あ、でも」
『…やっぱなにかあったんじゃないのか』
「本を
読んだよ。」
『…??』
「たーーっくさん笑
分からないことは辞書をひいたし
忘れないように日記もつけた
参考書も買って通信でもうすぐ卒業までいけそうだよ」
『…』
『そうか。』
意外と呆気ない言葉の繋ぎ方に
少し寂しさを覚えた。
「そしてあなたは?」
『?』
「友人関係とか、彼女とか?(笑)」
『はぁ?』
「だってあなた、1年のとき言ってたじゃない。
修学旅行までには彼女欲しいって
無事彼女とユニバ回れた?笑」
まわれていたら少し寂しいと思う気持ちを柔らかく隠し
笑顔で紡ぐ
こんなにテンポの早い会話は久しぶりだなあと独りごちる。
『彼女はいないよ。』
「え〜ほんとに?あなたこんなにかっこいいのに?」
『それ1年ぶりで面と向かって言うのかよ』
「だってそうじゃない。間違ったことは言ってないよ」
あの時より幾分柔らかく落ち着きをもったような声だからか、さっきから動揺した落ち着きのない表情をしている彼
あの時は天真爛漫!みたいな落ち着きのないひとだったからなあ
「そして、どうしてあなたはわざわざここへ?」
『えっと、それは』
途端に下を向く彼
そんな姿もかっこいいと思ってしまうのだから
惚れた弱みなのだろう。
『何となく気になったから』
あぁ、そうか
以外にもあっさり腑に落ちた。
「そっか
じゃあまたね」
『…まって』
「えーなに?何となく来ただけなんでしょう?」
なんだか前に戻ったような話し方になって
まだ変わりきってないのかと少し切なかった
『またあんたと会える?』
呆気にとられた。
会いたいだなんてそう言われたことがなかった自分で
「まぁ、、会えるんじゃない…?」
曖昧な返しになってしまった。
本当を言えば、もう二度と会わないつもりだった。
もうわたしもこの男に振り回されて泣くのは御免だ。
次会うなら来世かななんて、
ふわふわした思考を巡らせたわたしはゆっくりと家への道を歩く。
久しぶりの家
おばあちゃん家と違って新しく、ハイテクに溢れた家で
久しぶりにWiーFiを繋いだ
きっと彼に伝えられたのだろう。
さっきから何件か違う名前から着信が来ていた。
けど、出るつもりはない。
さっきは驚いて取ってしまっただけで、
別に取るつもりもなかった。
あーあ、ここにいるのばれちゃったなぁ
久しぶりの家族での食事
久しぶりのガッツリ料理にげんなりして
本当に痩せたんだなと父が言う。
以前の半分も食べれてないのだから当たり前だ。
またあちらに行くのか
ふと、ガツガツ食べていたはずの父が呟く。
「知り合いに居場所ばれちゃったからなぁ」
また気が向いたら来るよ。
それ来ないやつだろと寂しく笑う父に苦笑いをした。
明日は街に行ってみて、
見たことないコスメを見に行く予定だった。
もう一泊するねと伝えた
上りのホームに向かう。
懐かしい人の多さに笑えてくる
人のごった返す駅で降りて
某コスメショップに来た
最後に来たのは1年前。
ガラリと変わった店内に迷いながら気になっていたリップを買って
某ブランドであの時欲しかった香水を買う。
あのタイプの会計は寿命が縮む気がする。
お昼ご飯は1年ぶりのチェーン店で食べる
田舎にはないから
安くて美味しいチェーン店でも幸せだった
特に知り合いにも会わず帰宅
あの時大好きでいつもおねだりしていた料理が
今日の食卓のようだった
やっぱり前より食べられなかったけれど美味しかった。
じゃあ、また
前と逆の電車に乗る
今度はそっちが来てよと笑うと
ご飯持ってくわと笑いとばされた
さすが、わたしの父。
「ただいま」
〔あらおかえり〕
明日は買っていた香水をつけてみようと思う。
来世は幸せになれますように。
#フィクション

Qoo
それだけに全てを賭けたのに
負けてしまったような気持ち
愛しい君だけをみてきたのに
心変わりされたような気持ち
神様に懸命に祈りをしたのに
神が悪魔だったような気持ち
生きるが当たり前だったのに
死ぬが日常的になった気持ち
嘆きながら生きていく気持ち

Qoo
君は彼岸花の茎を咥えながら
白い腕を後ろに髪を結った。
俯きがちな視線は何も見ていない
重く垂れ込んだ瞼は君を妖艶に飾る。
細く折れそうな華奢な躰は
破壊衝動を掻き立てる。
君は花弁を一口食んでいた。
そんな一瞬が君を完璧にした。
口から溢れる血は君の躰を彩って
見開いたその両眼は君の全てを物語った。

Qoo
想像してみてほしい
部屋の前に立っている人を
そいつは首だけを出してこちらを覗いている
想像してみてほしい
押入れの服の隙間に見える眼差しを
そいつは静かにこちらを観察している
想像してみてほしい
瞬きをする直前にふと窓に映った人影を
そいつは霧の中でこちらを探している
想像してみてほしい
大衆に紛れ込んだ亡霊を
そいつはいつでも君を見つめている
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紅