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美味しいものをたくさん食べて
心とお腹を満たす。
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動物好きいらっしゃ〜い🫶
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階段に心を奪われてしまう
つい、階段見ると写真撮っちゃう
階段には浪漫が詰まってます。まさに人生そのもの、登ったり下ったり、踊り場で休むもよし
あなたが心奪われた階段見せてください☆*。
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忠犬ハチ公
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その誰かは私を覗き込んでいた

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なんの音楽流そうかな〜〜〜〜

新築一戸建て
不完全な記憶
目の前に広がる人の群れ。これは特段珍しいことではない。都会にでも行けば嫌でも目にすることになる一般的な光景である。
だがその場所が、全て白で構成された礼拝堂であり、集まった人々は皆一様に白地に金のフード付きローブを身に着けている。そうなると話は大分変わってくるだろう。
痛いほどの静謐さに気圧されているのか、誰1人として無駄口を叩く者はいない。それどころか身動ぎ1つすることなく、人形のように座っているものがほとんどだ。
そんな環境であれど、これだけの人数が集まれば空気の読まない人間が一人くらい含まれている。定めといえば定めだろう。
厳粛と荘厳が支配する中、ゴソゴソと見合わぬ動きをする者がいた。
周りに座っている者たちは視線だけで小さな騒音の出所を確認し、何も言わずに目線を戻した。静けさのなかで衣擦れの音はよく響く。
彼はローブの中で行場を失った純白の癖毛をフードの隙間から揺らしながら周りをもの珍しげに見渡していた。
ドアを開けるとそこは神の使徒の巣窟であった。
有名な文豪の書いた一文に謝るべき文章が脳裏に浮かぶ。実際にその本を読んだことはないが、この1文だけは知っていた。そしてもう2度とその内容を知ることはできない。
1度くらい読んでみればよかったな、と先に立たない後悔がぼんやりとよぎった。
彼、リアムは転生者である。
ただし、彼にその自覚はない。
完全に思い出しきっていない転生者。
リアムとは何か。その答えは1行で纏められてしまう、普遍的なものなのである。
(……? 何を読んでみたいんだ、私は)
リアムは答えのない問を浮かべると、フルフルと頭を振った。
自らの思考の不可解さは今に始まったことではない。
疑問符を吹き飛ばすべく、リアムは改めてキョロキョロと周りを見渡した。
一面の純白はよく見ると優美な装飾が施されている。こんなにも白いというのに染みや黄ばみは微塵も見当たらない。
ま、いいんじゃない。
リアムに言わせればその程度、だが教会に慣れていない者からすればマジモンの聖地のような神秘的な光景だ。
それに、ぞんざいな感想で済ませてしまうリアムも、美しいものは嫌いではない。
しかし、こうも待たされると流石に飽きてくるというものだ。
何分間こうして座っているのだろうか。そろそろ尻の痛みが限界を迎えてしまう。色が色なので光の反射も強く、ドライアイ気味な瞳が危機感を訴えてくる。
(一生分の白を見た気がする)
リアムはふんわりとそう思った。
あくまでふんわりと、リアム自身ですら数秒後には忘れているであろう考えである。
きっと百分の一も視界に入れていないだろう。だが、取り留めのない思考に強制を入れる者はいない。彼自身にこの考えを掘り下げようという意思がないのだ。
現にリアムの脳内は連想ゲームのように移り変わり、事前配布のプログラムのタイムスケジュールを思い出すことに焦点がずれている。
(9時代だった。これは確実)
遅刻だけはしないようにと、開式時刻は口酸っぱく言って聞かされてある。故にこれだけは確実に覚わっているのだ。
(45分か35分か…)
問題は分刻みになってからだ。何時開式かは記憶の片隅で居場所を得たようだが、何分開式かは市民権を得られなかったようだ。
過去の記憶から二択に絞ることはできたが、その選択肢自体が合っているとは限らない。
(確か9時…35分だったはず)
少しの思案の末、リアムは開式の時刻を思い出す事ができた。何となくの感で適当に選んだとも言う。
(そして結局何時なのか…)
だが、肝心の現在時刻が分からない。
礼拝堂に時計はないし、リアムは腕時計などと洒落たものは持っていない。
入学祝いに贈られた、上等な金の懐中時計は自室の雑貨入れに放り込んだままである。
これではせっかく思い出した時間が無駄になってしまう
いっそのこと隣の人にチラッと時計を見せてもらうのはどうだろうか。
そんな、KYも青ざめる考えが頭に芽を生やしたときのことだった。
「!」
尊厳が過ぎる鐘の音が衣擦れの音を掻き消した。
静止画のようだった眼前の頭たちが動揺したように揺れる。
揺れは波紋が広がるように、瞬く間に礼拝堂全体に広まった。ざわざわと消極的な喧騒が辺りを包み込んだ。
大体15回前後だろうか。鐘が鳴り終わってもそれらは消えることなくとどまり続ける。
リアムはチラチラと左右の様子を伺った。この小さな騒ぎに乗じて、隣の者に時計を見せてもらおうとタイミングを計っているのだ。
右はおろおろと視線を彷徨かせるばかりで、こちらを見ようともしない。
左は何事もなかったかのようにただ一点を見つめている。
声をかけるなら右だろうか。
先ほどまでの静謐さをかなぐり捨て、一気に俗世に染まりきった礼拝堂にカツンとヒールの音が響いた。
1歩目。喧騒が少し静まった。
2歩目。半数の視線がその男に集中する。
たった3歩で元の静けさを取り戻した男は、十人十色の視線の中、堂々と祭壇に向かって歩いていく。
(司祭……ぽくはないね)
リアムは大人しく男の正体を推測し始めるが、あまり捗らない。
この学校は普通のものとは異なる点が多いのだ。
男は祭壇へたどり着くと、十字架へ向かって一礼し、リアム達に振り返った。
「これより入学式を執り行う。私、第一寮寮長、スマルト・ヘイズを持って開式とする」
スマルト。その名の示す通りの、深みのある青の髪と瞳。
名が体を表してるなあ。
以上がリアムの記憶上の入学式である。ボヤッとした感想を抱いたところで、リアムの記憶は途切れている。
学校生活の大きなイベントのうちの一つは、恐ろしいまでの長さと眠気が最大の特徴だ。
詰まるところ、彼はそのまま眠ってしまったのだ。
後に彼は語る。『三大欲求です。仕方のないことなのですよ』と。
後に彼を起こした者は語る。『分かりました。存分に眠って。どうぞ』と。
これより先は、リアムと彼を起こした者が送る、愉快な学園生活を記した記録である。
入学式で爆睡する馬鹿と、それを咎めない馬鹿の物語を、どうぞお楽しみあれ。

おてら
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