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【自分用の忘備録として】
母は抗がん剤2クール目が終わり退院してから体調が悪くなり始め、ご飯が食べられなくなり吐き気と身体のダルさに苦しんでた
頭痛が酷くて返事をするのも辛いからそっとしておいてと言われ、父が11月7日に病院に連れて行こうとしたけど10日が退院後の診察で予約した日だから、それまでは我慢して過ごすと本人が病院に行くのをとても嫌がった。退院してきたばかりだから、病院に戻るのが嫌だったのかな…
あの時、無理矢理にでも連れて行けばと父がずっと泣いてる

10日の朝、言葉を発する事も出来なくなり日赤から「至急、救急車で来て下さい。遠慮して自家用車やタクシーで来ると外来扱いになって時間がかかるので、必ず救急車で来るように」と言われ、父が救急車を呼んで日赤に行ったら、すぐに心筋梗塞かもしれないと告げられた
その日、心臓の手術が出来るスタッフを今すぐに集める事ができないため、別の心臓外科のドクターが居て緊急手術が出来る設備のある病院に搬送される
そこで心臓破裂の診断を受けた。

翌日の朝一に緊急手術する事になり、もし夜中に再破裂事があれば助からない事。たぶん、破裂してから1週間くらいたっていて、心臓に穴が空きそこから組織が壊死している事。壊死した組織はとても脆くて、ゼリーのようになっているため針と糸で縫う事が出来ない事。そのため、医療用の接着剤で癒着させる必要があるので、血圧を生命維持出来るギリギリまで下げて心臓に負担をかけないようにする為に、術後2日は麻酔で眠らせたままにしておく事などの説明を受けた。

ただ、胸を開いて心臓の状況によってはそのまま手術は行わずすぐに閉じる可能性もあります。
弱った心臓が酷い不整脈を起こしているので、そちらの治療も一緒に出来るようならやりたいと思っていますが、そうなると手術が12時間ほどかかるかもしれません。この手術の成功率は25％以下のとても難しい手術です。なので意識のあるうちに会っておきたい親族のかたが居れば、朝の8時半までに病院に来ておいて下さい。何があってもおかしくないので、必ず手術中は家族の方が院内に居て下さい。と、執刀医の先生に言われて
すぐ終わっても絶望するし、時間がかかっても怖いし、家族で泣きながらその日の夜を過ごした

11月11日、朝から病院へ。ぼんやりとしていたけど、ちゃんと目を開いて私や妹の問いかけに頷いたりしてくれた。その時「かき氷が食べたい」と小さな声で言うので、手術終わって元気になったら食べよう！美味しいお店探しておくね！と話したのが、母との最期の約束になってしまった。
15時15分、手術が終わり執刀医の先生から説明を受ける

心臓の内心破裂で手術をしたが、外心破裂も起こしていた。手術自体は無事に終わったので、あとはどこまで回復してくれるか、との説明を受けた。
ひとまず手術が成功した事を喜んで、意識のない状態ですが会っていきますか？と言ってもらえたのでICUに面会に行った
沢山の管に繋がれて静かに眠る母に、よく頑張ったね、偉かったね、早く元気になってお家に帰ろうね、と話しかけて少しの時間だけど顔を見る事ができた。
それが、私が生きてる母を目にした最期になった
ICUなので長く側にいる事が出来ず、一旦自宅に帰る

20時59分。病院から父の携帯に電話がかかってきた。「容体が急変しました。大量出血を起こしたので、心臓が再破裂したと思われます。至急、病院まで来てください」
泣きながら病院に到着。夜勤の先生が懸命に処置してくれていて、執刀医の先生も自宅から駆けつけてくれた。手術室に移す余裕がなくICUのベッドの上で胸を開き、止血しようと頑張ってくれたものの、縫った所から血管が裂けて閉じる事が出来ない。
22時19分、先生に家族が呼ばれ今の状況を説明される。心肺停止状態です。今、処置に当たっていた先生が開いた胸に手を入れて、直接心臓を握ってマッサージをしています。この手を止めたら心臓も止まります。最初の手術が成功しただけに、家族の皆様は受け止めきれないとは思いますが、医師として心肺蘇生の中止を決断します。
ご家族の皆様の承諾をいただければ、マッサージを止めます。これ以上の治療も延命も難しく、回復する見込みはありません。苦しい決断だとは思いますが力及ばず申し訳ない。先生はそう言って静かに私たちの決断を待った

「本人は、苦しみませんでしたか…？」と先生に問うと「手術後も血圧を下げて、麻酔で意識レベルをコントロールしていたので、痛くはなかったと思いますよ」と言ってもらえた。
もう、自力では心臓は動いていないらしい
「会えますか？」と聞くと
「さきほど説明した通り、ベッドの上で胸を開いて処置しています。見ない方が良いと思います」と
それでも、せめてまだ死んだと診断される前の母に、一言ありがとうと、直接声をかけさせてくださいとお願いすると
「…映画やドラマのように綺麗なものではありません。見れば余計に辛くなるかもしれませんよ。胸を開いているので、血も心臓も見えてしまう。それでも良いですか？」それに何度も頷く妹に、先生はわかりました、それでは会いましょうと母の元に妹を連れて行ってくれた

私にも一緒に行くかと聞いてくれたけど、どうしても行く事が出来なかった。
これから先、母を思い出す時に、血だらけの母を思い出すのが怖かった。弱虫な娘でごめん。頑張ったお母さんの姿なのに、会いに行ってあげられなくてごめんなさい。

11月11日22時22分。
心肺蘇生を止めた時間が、死亡診断の時間になった。
こんな風に急に亡くなった場合、死後検査と言うものをするらしくて、綺麗に胸を閉じて身体を拭いてもらってから、検査のため私たちはICUの待合で呆然と座っていた。
検査が終わってから、家族の方も手を洗ってあげませんか？と看護師さんに声をかけてもらって、皆んなで冷たくなった母の手を洗った。
本当に穏やかに、眠ってるみたいな顔だった。

いっぱい頑張ったね。
たくさん我慢してたんだね。そんな所で無理なんてして欲しくなかったよ。痛いのも、苦しいのも、辛いのも、死ぬほど我慢なんてして欲しくなかった。
家族みんな、あの時こうしていればと、もっとこうしておけばと、繰り返し繰り返し後悔ばかりを口にしてしまっているよ。辛い抗癌剤の治療も頑張ってた。愚痴なんて言わないで、いつも明るく笑ってくれてた。何が1番ショックだったかわかる？先生に言われた「組織を見た感じ1週間前に破裂していた。2週間はたってないと思う」って言われた事だよ。もっと早く病院に行ってたら今でも生きてたんじゃないかと、ずっとずっと、私が死ぬまで後悔するんだよ

通夜の日は朝から雨が降っていた

涙雨は、
逝く人の、大切な人を遺して逝く
寂しさの涙なのだと言う

遺された人の、悲しみの涙だと言う人もいる

空が一緒に泣いてくれてるようだった

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