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░モジバケ░永そ哀

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『白き影の獄一人間が刻んだ病の詩一」
ーハンセン病と人間の歴史に寄せて一

かつて
神の罰と呼ばれた白き影は
皮膚に刻まれる烙印よりも
社会に刻まれる烙印のほうが深かった
病は神秘ではなく菌であった
だが人はそれを知らず

「触れるな」と叫び
「穢れ」と囁き

愛よりも早く隔離の鉄格子を築いた
療養所という名の獄門を閉ざし 
子を奪い 名前を奪い
「治療」の旗の下に断種の鋏が冷たく光った
科学は遅れ 偏見は疾走した
薬が届いても 偏見はなお猛毒だった
やがて抗生物質が菌を沈めても
人々の心の壁は崩れなかった

「治った」人々は社会の眼差しの中で
なおも「治らぬ者」として数えられた

嗤うがいい 文明よ

お前の築いた楽園の裏側で
人権という言葉は塩のように撒かれ
ただ痛みを保存する防腐剤となった
だが声は消えなかった
石垣の中で紡がれた歌があり
差別を逆手に取った祈りがあり
裁かれるべきは病ではなく
病を口実に人を切り捨てた権力だった

いま我らは歴史を直視する
医学は進んだと誇りながら
心の病はなお治り難いと気づく

病を恐れるより一人の無知と偏見を恐れよ
ハンセン病は鏡である
そこに映るのは「菌」ではなく
人間そのものの醜さと愚かさ
そして赦しを求める声の美しさ

嗤いながら泣け 現代よ

文明を誇る舌で風刺を噛み砕き
なお残る鉄格子を見よ
それは外にではなく
お前自身の心に嵌められているのだから
文字化け学の星文字化け学の星
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GRAVITY10
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