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しん

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精神疾患への対処も予防も治療も疲れた。
座敷牢でも森でも施設でもいいから行きたい。
仕事も脅迫的に頑張っちゃうから、誰かに止めてほしい。
休み方を教えてほしい。#精神疾患 #愚痴らせてください
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今日から真人間

今日から真人間

人生を空疎に消費し続けているという事実が耐え難かった。僅かばかりの給金と引き換えに人生の大半をやりたくもない苦痛を伴った労働に隷属させられることを了承していた数ヶ月間は、それが馬鹿馬鹿しいことだと気付く為に必要な対価だった。

就活のフェーズに移行した時、学生の頃に気取っていたロック的スタンスを早々に取り下げて掌を返し、惨めったらしい奴隷根性を引っ提げて、眩く輝いて見えた迎合して得られる少しばかりの安心の為に、無能な労働者という最低限の地位を急いで確保した。

壊滅的に無能な私を庇護し、真っ当な社会人としての教育を施しながら金銭まで支払わせた会社と先輩社員に対する恩を仇で返すタイミングでの辞表届だと思い、余りにも人の道を外れた行為ではないかという自己嫌悪から、退職を切り出せないでいた。

そんな私の思いとは裏腹に、相手の態度はあっけらかんとしたものだった。会社側としては、有能な社員に関しては是が非でも残留を希望したいが、組織にとって癌でしかない人間が自主的に退職を申し出るならば、それは又とない機会でしかない。

私は不本意な円満退社を遂げて、晴れて無職になった。職を離れた動機である人生の充実を達成すべく、待ちに待った最初の休日を迎えた。

朝から薄い財布と文庫本を鞄に入れて旅の支度をする。スーパーで軽く軽食を済ませて、そのまま遠出をする算段だ。

スーパーの休憩スペースで食べたパンはすごく美味しかった。無料の温かいお茶と冷水があって、競争を煽るような容姿をした客は誰一人としていない、理想的な居心地の良い空間だった。

そこで朝食を取り、数杯のお茶と冷水を飲み終えた後に、もう朝と呼べる時間が終わりつつあることに気付き、いっそのことここで昼食も取ってしまう方が合理的だと結論付けた。

そこで私は小一時間ほど惣菜を吟味し、丁度腹の減ったタイミングで購入し、休憩スペースで食事することにした。「あーここ、ずっと居てられるなぁ」なんて思いながら、茶を啜ったり、はしゃいでいる大家族の子供を眺めたり、何やらスマホのメモに一心不乱に文字を打ち込む奇抜な格好をした人や、年金暮らしの老人が散歩の途中で息を切らしながら冷水を飲んでいる様に、奇妙な連帯感を覚えたりもしていた。


するといつの間にか日が暮れ始め、限られた休日をスーパーの休憩スペースで費やしたと気付いて、思わず涙が溢れた。

「俺はお前らとは違う。」時間感覚の狂った集団と場を共有すると、悪影響しかないと結論づけた。そうと分かれば、反吐が出そうな馴れ合いに決別の意を示す鋭いターンを決めて、颯爽と立ち去った。

そのまま夜ご飯にする用の惣菜とカップ焼きそばを買って、スーパーから逃げるようにして立ち去った。ご飯を食べて、一日が終わったことに絶望しながら眠りについた。明日からは、一刻の猶予もなく、死に物狂いで職を探す日々が初まる。

ついに社員としての資格を剥奪された為に、社宅から引き上げなければいけなくなった。暫くは移住先が決まるまでは、主に資金繰りの理由から、ネットカフェのフラットスペース六時間パックで夜を明かすことにした。

硬いマットという悪環境の理由からか、入眠して三時間経った頃に、職場でのトラウマがフラッシュバックして飛び起きた。

座敷牢のような場所で六時間過ごすだけで数千円を搾取されることに憤りを覚えて、無料のドリンクを全種類一口ずつ飲んでは流し台に捨てるという作業をおもむろに初めた。

最初のうちは凄い勢いで元が取れていくことに高揚感を得た。だが、二周目の途中で尿意を催してトイレに向かい、長い尿の排泄を終えた後には、すっかり正気を取り戻していた。とてつもない虚無感に立っていられなくなり、洗面台の前に縋り付き、濡れた手で顔を覆いながら咽び泣いた。
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安藤

安藤

アッキーヤさんと推しなら、村のしきたりで18になったその日村全体であがめているかみさまに生け贄として捧げられることになっている御子の推しと、17歳の最後の夜に座敷牢越しに会話するその幼馴染アッキーヤさんの朗読劇書くかな私なら・・・・・
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