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〜いたずら書き?〜
 今日もどこかで、誰かが安っぽい愛や、軽薄な平和を語っている。
 いつからだろう。そういう声を耳にすると、胸の奥の方で小さな溜息が生まれるようになったのは。
 まるで架空の理想を擦り切れるまで撫で回して、形だけの温もりを手に入れて満足しているかのようだ。
 それを否定する気持ちはない。ただ、どうしてだろう、そこに自分の居場所はないように思えてしまう。

 駅前の雑踏の中に立ちながら、僕はふと自分の指先を見る。
 何を掴んでいるわけでもない。けれど、何かを掴もうとしていたはずなのだ。
 言葉だったのか、想いだったのか、あるいは誰かの未来だったのか。
 分からない。ただ、自分の言葉が誰かに届くほど強くも鋭くもないことだけは分かっている。
 その事実が、冬を前にした空の色のように静かに胸を冷やしていく。

 ――それでも助けたいと思う人がいる。
 その矛盾だけが、僕をまだ人間らしく繋ぎ止めているようだった。

 彼女のことを思う。
 不思議な人だ。笑う時はよく喋るくせに、悲しむ時はまるで世界の音がすべて止まったように黙り込む。
 あの沈黙を初めて見たとき、胸の奥で何かがひどく軋んだのを覚えている。
 救えるのなら救いたい。掬えるのなら掬いたい。
 ただの自己満足だと言われれば、その通りかもしれない。
 それでも、彼女がひとりで抱える夜の重さに、自分の灯りを差し出せるのなら、それだけで生きている意味を見つけられるような気がした。

 僕の言葉なんて、きっと誰の胸にも爪痕を残せない。
 けれど、爪痕なんて残せなくていい。ただ、彼女の手を少しでも温められるなら、それでいいと思った。

 夜風が頬を撫でていく。
 空はどこまでも薄く、色を失いかけた絵具のようだ。
 世界は今日も、誰かの軽い言葉で満たされていく。
 その反対側で、僕の言葉はどこにも届かず、静かに影を落としている。

 ――それでもいい。
 彼女の耳元にだけ、そっと落ちるのなら。

 そう気づいた瞬間、胸の奥でゆっくりと何かがほどけた気がした。
 世界は変わらない。けれど、僕は少しだけ変われるのかもしれない。
 誰にも届かないと思っていた言葉が、ひとりだけに届くのだとしたら……
 それは、案外悪くない役目なのかもしれなかった。
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yama

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めりぃ

めりぃ

そこそこ揺れたなぁ
揺れでぬいが落ちるくらい
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