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アメジスト

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こんにちは
読書記録です

中世への旅 都市と庶民
ハインリヒ・プレティヒャ 著
関楠生 訳
白水Uブックス

ドイツには中世のおもかげを残す古い町が多数あります
ドイツは第二次大戦の戦禍をこうむり、手ひどく破壊された町も少なくありませんが、その復興にあたって歴史と伝統の尊重と保持に意を用いた結果、今でも中世のたたずまいを見いだせる多くの町があります
本書では中世後期のドイツの都市民、農民、乞食の生活を扱っています

王侯貴族に対抗するかたちで、自治権を獲得した自由都市や都市同盟の発展が、地方の独立性の高いドイツの国のあり方の原点であるようです
特に北ドイツやバルト海沿岸のハンザ同盟都市にある市庁舎、教会、防衛設備は今日なお、ハンザ同盟の権力をまざまざと想起させます

神聖ローマ皇帝カール四世の時代には、ニュルンベルクでは道路上にゴミクズの山が盛り上がっていることが報告されており、中世ドイツの都市はどこもそうであったろうことが想像されます

ツンフトと呼ばれる同業者組合においては、職人が従わなくてはいけない秩序があり、その秩序は少年の頃に親方に弟子入りしたときから死ぬまで影響力を及ぼすものだったです
それが今のドイツにも見受けられる厳格さのルーツなのかもしれません
刑吏や皮剥ぎなど忌まれた職業者と接触した場合、ツンフトから追放され、事実上の社会的抹殺が行なわれていたようで、厳しい世界ですね

キリスト教的な慈善が施される対象として乞食が職業として成り立っていたというのは、中世における数少ない人道的な面が感じられるところです

1349年のペスト流行のさいには、ユダヤ人が井戸に毒を入れたという罪をきせられ、ユダヤ人大虐殺が行われました
大正の関東大震災において、井戸に毒を入れたというデマで朝鮮人大虐殺が行なわれたのと、全く構図ですね

一般的な市民の日常食
パン、穀物粥、オートミール、それに自家の菜園でとれたキャベツ、玉ねぎ、パセリ、かぶ、にんじんなど
質素だったようです

中世都市は市壁で防御されていた
大領主も小領主もお互い同士の私闘に明け暮れていた
諸侯も都市もお互い戦っていた
森の中には賊や追いはぎがたむろしていた
都市の中でも泥棒、強盗はよくあった
そういう非情な時代を象徴しています

農民の生活について
ライ麦の種まきはエギウスの日に(9/1)
オート麦、大麦はベネディクトゥスの日に(3/21)
亜麻と麻の種まきはウルバヌスの日に(5/25)
カラスノエンドウとカブはキリアヌスの日に(3/1)
菜っ葉はウィトゥスの日(6/25)
えんどう豆はグレゴリウスの日に(3/12)
レンズ豆はフィリップス・ヤコブスの日に(5/1)
というように、規則正しかったようです
農業というのが協同体生活だったからです

質素で厳格な中世ドイツの生活を垣間見ることができました
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