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#ミーム界隈
「エッホエッホのうた」への否定的な意見「ミーム潰し」とは？　一発屋芸人らにも当てはまる「潰し」の背景

2025年上半期のTikTokで国内最大級の流行の一つとなった、「エッホエッホ」のネタと音源。
元ネタは、オランダの写真家、ハニー・ヘーレさんが撮影した「エッホエッホ」と走っているように見えるフクロウの赤ちゃんの写真。同写真はミーム化（＝ネット上で模倣・改変・拡散されること）し、SNSユーザーがこの写真から着想を得ていろんなコメントをつける遊びが流行。それらのムーブメントを受けて3月1日、動画クリエイターのうじたまいが音源「エッホエッホのうた」を制作・公開した。
音源が発表されると、瞬く間にそれを使った動画投稿がTikTokにあふれた。「エッホエッホのうた」の歌詞内容をなぞり、ユーザーが、世の中や自分自身などに関する豆知識を披露する動画を次々と投稿。TikTokを開けば必ず「エッホエッホ」関連の動画を目にするほどになった。
「エッホエッホのうた」はなぜ「ミーム潰し」なのか

お笑いシーンには以前より「ミーム的現象」が数多くあった
2020年代に入ってよく見かけるようになった「ミーム」というネット用語。2024年4月25日には朝日新聞でも「ネットでよく見る「ミーム」ってなに？　内輪ネタが流行から軍事まで」と題した記事が掲載された。
もちろん、「ミーム」という言葉が定着する以前から「ミーム的現象」は数多くあった。特にお笑いシーンは「ミーム的現象」の宝庫。一発屋芸人のネタはまさにそれに該当する。ちなみに一発屋芸人とは、持ちネタが短期間で爆発的に広がり、はやりすぎたあまり、急激に飽きられてしまうネタを作った芸人のことを指す。なぜ飽きられるのか。それは、バラエティ番組などに出るたびにそのネタが求められるから。みんな見慣れてしまい、おもしろさが失われるのだ。
そう考えると、ピコ太郎の「PPAP（Pen-Pineapple-Apple-Pen）」、とにかく明るい安村の「安心してください、はいてますよ」などはいろんな改変が多方面からなされても長年廃れることがない、不朽の「お笑いミーム」と言えるのではないか。「潰し」にも耐えるほどのネタの強度があると言える。
クマムシ「あったかいんだからぁ♪」などに見る、ミームの失速理由
もちろん、なんらかの要素が理由となる「ミーム潰し的現象」もお笑いシーンにはある。
たとえばお笑いコンビ、クマムシの歌ネタ漫才「あったかいんだからぁ」。同ネタは2013年にバラエティ番組『ぐるぐるナインティナイン』（日本テレビ系）内の企画「おもしろ荘」で一度注目され、2014年9月25日放送『アメトーーク！』で取り上げられたことを機に本格的にブレークした。
これは歌ネタ、リズムネタにはよくあることだが、「あったかいんだからぁ」は単純にネタを真似する人がたくさんいたほか、漫才中のフレーズをサンプリングした音源もクリエイターらの手によって制作され、ネット上に投稿されるなどした。「あったかいんだからぁ」のサンプリング音源はDJイベントなどでもたまに聞くことができた。
そうやって当時、いろんな人が「あったかいんだからぁ」を自由な発想でマネしたり、二次的にクリエイトしたりしていた。そんなブームのなか、2015年2月にクマムシ本人が楽曲「あったかいんだからぁ♪」をリリース。CDのセールスチャートでも上位に食い込むなどし、音楽番組にも出演。さらに『第57回日本レコード大賞』特別賞も受賞した。ただCDがリリースされ、ヒットしたことを境にミーム的要素は薄らいでいった。
完成度が高いものが提示されるとそれが「答え」になってしまう
またこれはお笑いではないが、2010年代後半から高収入求人情報「バニラ」の宣伝カーから流れるテーマソングが話題になったこともあった。これも曲を聴いた個人が真似して歌うだけではなく、いろんなクリエイターが音を拾ってサンプリング音源を制作するなどの“遊び”が一気に広がった。しかし、運営会社が正式音源を配布し、アレンジやリミックスのコンテストが開催されたあたりから、逆にネット上の熱が冷めていった感があった。
クマムシや「バニラ」の場合は、発信者自らが「ミーム潰し」をおこなったと考えていいだろう。ミームの原理に存在するのは、元ネタのゆるさや、付け入る隙である。だからこそ誰もが気軽に、そして自由にそれを使って遊べる。しかし完成度が高いもの提示されると、それが明確な「答え」になってしまい、みんなが自由に遊べなくなってしまうのだ。
「エッホエッホのうた」が「ミーム潰し」であるかどうかは、受け手の判断によるだろう。ただミームが力をなくす理由には、方向性が指し示されたり、その先の「答え」が見えたりすることによる部分が大きい。それが結果的に「ミーム潰し」につながっていくのではないだろうか。

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