『カササギ殺人事件』(上)(下)アンソニー・ホロヴィッツ/著創元推理文庫#読了この本は、「アガサ・クリスティ」へのオマージュに満ちた傑作と言われ、それにまた帯の惹句が派手だ。何たって、「ミステリランキング全制覇第一位」「4冠!」なのである。読んだ感想は、まず「うーん、よくできているなぁ」。構成的にトリッキーではあるものの、前代未聞というほどでもなく、色々な場面が緻密に練り上げられている、上質なフーダニットである。しかも、そのフーダニットが2つ、一つの小説に格納されているのだ。上手い。作中作のミステリと、現実のミステリが入れ子状態になっていて、またそれを解くのが「ミステリ好きの編集者」という、実にミステリファンの心をくすぐる設定である。しかし、殺される側の心情にも、犯人の動機にもピンとこない違和感があったのは事実。ネタバレになるので詳しくは書かないが、納得いかない部分が複数あった。しかし、それを鑑みても良いミステリである。多分この小説は、映像にはむいている。最後の作中作が現実ともつれあって解決していく件は、傑作と呼ばれるのもわかるほど読み手も引き込まれる。つまりこの作品は構造第一なのだと感じた。この作品はシリーズ9作目という事だ。他の作品も購入してしまったほどに面白かった。#読書