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マサヤス   龍之介

マサヤス 龍之介

Uber Jazz ♯ 27

 ☆『スウィングジャズの花形ボーカリスト4️⃣』
 
テディウィルソンは昨日紹介したフランセスハントとのレコーディングのほぼ1ヶ月前に同じロスのスタジオで、ブーツキャッスルとの4曲を録音している。最後の♬Coquette のみインスツルメンタルでブーツの声は聴かれない。ブーツキャッスルは資料が殆ど無くテディとのセッションもこの時唯一度きりだけだ。Vo.は昨日のハントと似た様なアルト、正直魅力に欠ける。大成しなかったのも何となく判る。この時期のテディの選曲はティン・パン・アレー系の安手の有り触れた曲を使っているが、それを強力なミュージシャンの演奏力とアレンジで補っている。ブーツキャッスルが唯一録音した'37.7.30の録音にはベニーグッドマンがcl.で入ってそれなりの効果を挙げているが、ハリージェイムスのtp.とヴィドムッソのts.の各ソロもバランス良く配されOrch.編成なのにコンボの様な趣きがある。それが一番顕著に出ているレコードが本日紹介する♬The Hour of Parting であろう。テディウィルソンについてはドイツの著名なジャズ評論家のヨアヒムEべーレントが、エリントンの優れたバンドインコンボのような統合感とは違い、ソロの応酬が特徴でそれでいて優れたユニットを形成している、と賞賛している。
この時期のテディの録音には白人系の中間派ミュージシャンを集めたパターンとビリーホリデイがVo.を取る時には黒人系のカウント・ベイシー系中間派ミュージシャンが付き合っているパターンと、カラーが分かれる。そこから有名なビリーホリデイとレスターヤングの寛ぎに満ちた傑作録音が生まれた。後世に長く語り継がれたのは後者の方であったと云うことであろう。
GRAVITY

The Hour of Parting

テディ・ウィルソン

スイングの星スイングの星
GRAVITY
GRAVITY30
マサヤス   龍之介

マサヤス 龍之介

Uber Jazz ♯ 26

 ☆『スウィングジャズの花形ボーカリスト3️⃣』
 
テディウィルソンは生涯で6回乃至7回結婚したと言われている。凡ゆる芸術家はその功績とは反比例する人生を送るのだろうか。芸術家は余りに個性が強すぎるゆえ、それを理解するのは至難の業なのであろう。
 そんな華麗な女性遍歴を物語るが如くテディ楽団には実に多くの女性シンガー達が去来した。が、それは大抵ボスのベニーグッドマンの所でひとしきり唄った後、新入りが直ぐに入り前のシンガーは押し出される様にベニーとの契約を解消してテディのバンドに来る、そんな構図が透けて見える。恋人同然だったヘレンワードがベニーの元を去り代わりに入ってきたのがフランセスハントだった。が、程なくマーサティルトンにその座を譲りあっさりテディのバンドで唄った。写真にもある様にテディのレコードでビリーホリデイの裏面にハントのボーカルと云うものも存在するようだ。最も、ここでセールされてるのはヨーロッパ盤なのでそちらで勝手にこうしたカップリングで売られている可能性は否めない。オリジナル盤であるアメリカ本国の方では例えばビリーホリデイのボーカル入りの盤の裏面にはテディの楽団によるインスト演奏が入っていたりする事はある。
 このハントのボーカルをフューチャーしたテディ楽団のレコードは1937年8月29日にロスで録音された5曲、内♫Ain't Misbehavin' はオミット、つまり没となりリリースされなかった。その日の最初の楽曲♫Big Apple を今日は紹介する。
 ビッグアップルと云うと今では中古車販売店を私などは想像してしまうが、これはニューヨークのニックネームだ。1920年代から使われ出したスラングでニューヨークのみならず大都市を指してこう呼ばれていたらしい。ハントのVo.はアルトでこうした明るい曲調は余り似合わない。彼女のレコードは楽団独立後もリリースされていたらしくYouTubeに1曲だけアップされていた。ベニーグッドマン時代には最後の写真の様に唄っている映像もアップされていた。底抜けに明るかった。
 紹介する♫ビッグアップル はブライアンラストのディスコグラフィーにも記載がないテイク2が存在する。長年中古屋回りをしているとこう云うパターンにしばしば出会す。決して珍しい例ではない。
GRAVITY

Big Apple (08-29-37)

テディ・ウィルソン

スイングの星スイングの星
GRAVITY
GRAVITY34

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