共感で繋がるSNS

人気

関連検索ワード

新着

アクア−Devil

アクア−Devil

🌙 絵本風物語

「まよなかの とくとくとく」

夜が すっかり しずまりかえったころ。
小さな まちの はしっこに、
ひとりの 子が すんでいました。
名前は そら。

そらは、よく ねむっていました。
やさしい ふとんに くるまれて、
ゆめの ふねに ゆられながら。

——ところが その夜だけは ちがいました。

ぱちり、と めが さめたのです。
まどのそとには まっくらな そら。
しずか。
とても、しずか。

……と、思ったとき。

「トクン… トクン… トクン…」

そらの むねの なかで
こころが つよく はねました。

まるで
「おーい! おきてる?」
って、さけんでいるみたいに。

そらは びっくりしました。
「どうして? なんで? どうしたの?」
こころは もっと もっと つよく、
ドキン、ドキン、ドキン!

ふとんは あったかいのに
からだが ふるえました。

ねむれないよ。
こわいよ。
くらいよ。

すると——

すみれ色の もやの なかから
ふしぎな ふくろうが あらわれました。

「わたしは ムネオトの フクロウ。」
やわらかい こえで いいました。

「あなたの むねの おとを
ききに きたのです。」

そらは ふあんそうに たずねます。
「どうして わたしの こころは
こんなに はやく なるの?」

フクロウは やさしく まばたきしました。

「それはね、
こころが ねむっている あいだも
ずっと あなたを まもって いるからです。」

「くらい よるに めが さめると、
まわりが しずかすぎて、
こころの おとが いつもより
おおきく きこえるだけ。」

「こわい おとじゃ ありません。
あなたが いきている しるしです。」

そらは ゆっくり
そのことばを かみしめました。

フクロウは つづけました。

「ためしてごらん。
すー… ふー…
と、そらの からだに そらの くうきを あげるのです。」

そらは ゆっくり
すー…
ふー…

すると
ドキン ドキン は
とくん とくん へ
そして
とことこ とことこ
やさしい 足音みたいに
かわっていきました。

そらの まぶたは
また おもく なります。

フクロウは ほほえんで
うすれていきました。

「だいじょうぶ。
あなたは ひとりじゃない。
こころは いつも
あなたと いっしょ。」

夜は また
しずかにもどりました。

そらは
ふわりと ゆめのふねに もどっていきます。

そして
あしたの そらは
きっと やさしい あさになります。

―――おしまい 🌙


---
GRAVITY
GRAVITY1
アクア−Devil

アクア−Devil

『ぼくと せかいの こころ』

ある朝、ソラは目をさました。
風の音が、まるで誰かが話しかけているように聞こえた。

――おはよう。きょうも、せかいはうごいているよ。

ソラはベッドから起きて、カーテンをあけた。
光が差しこみ、鳥たちが空をわたる。
遠くで犬がほえ、木々がざわめき、雲が流れていく。

「ぼくは ひとりじゃないんだね。」
そうつぶやくと、胸の奥があたたかくなった。

ソラは町へ出た。
笑う人、急ぐ人、泣いている子ども。
それぞれが自分の時間を生きている。
でも、見えない糸でつながっているように感じた。

風がまた言った。
――あなたのなかにも、せかいがあるんだよ。

ソラは自分の胸に手をあてた。
トクン、トクン。
心の音が、地球の鼓動とおなじリズムで響いている気がした。

「ぼくがぼくを大切にすることは、
せかいを大切にすることなんだね。」

その瞬間、ソラのまわりの空気がやわらかく光った。
鳥の羽ばたきが虹色に見え、
街のざわめきが音楽みたいに聞こえた。

ソラは笑った。
風も笑った。

――そう。
 あなたが自分を愛するとき、
 せかいもあなたを愛している。

その日からソラは、
毎朝、胸に手をあててつぶやくようになった。

「おはよう、ぼく。
 おはよう、せかい。」

そして、どんな日も、
その言葉がすべてのはじまりになった。

🌏✨
GRAVITY
GRAVITY4
もっとみる

おすすめのクリエーター