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じゃがほく

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Who is the guy who is bestowed throne of sarcasm?

ASH
僕はこれでかなりたくさんのロックを聴いてきた。実家には2000枚近いCDと500枚以上のLPが並んでいる。しかもそのほとんどがロックと言われるジャンルだ。
日本のロックというものの起源を辿ると、どこに行くのかはそれでも曖昧だ。ロックの起源は明らかにブラックミュージックのロックンロールであるのだが、そこをルーツとする音楽が日本に来て市民権を得るのは90年代も後半になる。従っていわゆるJ.ROCKの起源をそことすることには違和感しかない。それとは同じロックという言葉でありながら、全く別の起源と進化を遂げたものと僕には見えるからだ。
そこで、タイガースなどに代表されるグループ・サウンズが日本のロックの原点になるのではないかというのが僕の意見だ。ビートルズなどのブルースロックの影響を強く受けながら、歌謡曲やフォークソングの潮流から流れてきた派生系。
後の浜田省吾や尾崎豊のようなロック=反体制というのも吉田拓郎やかぐや姫など安保世代のフォークの影響を強く受けているし、曲自体もアンプを通しているだけでロック特有のリフというよりもコードとメロディーで弾き語るように聴かせる歌がメインだ。
そういった中で一際異色だったといえるバンドが、矢沢永吉のキャロルだ。ここからBOOWYへその魂は受け継がれるのだが、原点にある特殊性を言語化するのならば、彼らの音楽は反体制などのメッセージやいい歌を聞いてもらうということを目的とするのではなく「演奏している自分たちがカッコいい」ことを追求した音楽なのだ。現代における日本ロックのユニークネスの代表とされるV系バンドなんかは、明らかにこの系譜を起源としている。
ちなみに、ヴィジュアル系という言葉を作ったのはXのhideと言われていて、「Psychedelic Violence and Crime of Visual Shock」というキャッチコピーがその根拠となっている。が、その音楽自体は後にYOSHIKIのレーベルであるExtasyからデビューしていくいわゆるヴィジュアル系のサウンドとはあまり共通点がない。その意味ではXというのは、日本においても孤高といえる場所に位置付けられるのではないだろうか。
話を戻して、ルナシーや黒夢、L'Arc〜en〜Cielといったナルシストとも揶揄されるが「歌う自分たちがカッコつけるための歌」を作っていたバンドたちが現代のV系の基盤にあることは疑いようがないだろう。
海外のロックバンドに一度視点を移すと面白い。ボンジョヴィなんかはあくまで人に聴かせる良い歌を作り、ニルヴァーナはアメリカ特有のサーカズムでメッセージ性の強い歌を歌った。ガンズやエアロスミスはそのリフを追求するテクニカルなかっこよさとしてのロックを生み出している。KISS→聖飢魔IIの流れがXの誕生へと繋がっていく点も見逃せないが、何より「演奏する俺がカッコいい曲」というものを追求したバンドというのは思いのほか少ないことに気づくだろう。
アメリカでは、その役目はポップスが担っていたのだ。マイケルジャクソンが歌と映像とダンスをミックスすることで革命を起こしたポップシーンの方が、文化としてより浸透していたダンスによって表現できるため、「カッコつける」というニーズには答えやすかったのかもしれない。
余談だがKPOPにみられる「俺がカッコいい歌」はあくまで彼らはそのポップスに君臨しているからではないかと僕は考えている。
日本のロックはそういった意味で特殊なのだと思う。そして僕は、そんな日本のロックが好きだ。
