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地獄 極楽丸
まさに、問題児でどの団体も拾おうともしなかった北尾をUインターが拾うことになった。高田は1991年12月22日の両国国技館大会でボクシング世界ヘビー級王者だったトレバー・バービックとの異種格闘技戦で勝利を収めたことから、高田を日本を代表するレスラー、また「プロレスこそ最強」と掲げたUインターの名前を世界に轟かせるために、新たなる標的を求めていた。Uインターをプロデュースしていたのが選手兼任取締役だった宮戸優光だったが、最初こそは北尾には興味を抱いていなかったものの、SWSを解雇された後も北尾と個人的に親交を続けていた佐野直喜(佐野巧真)を通じて知り合いになったことから、北尾をUインターに上げることを思いつき、北尾個人にオファーをかけていたが、北尾はマネージメントを大文字氏に委ねていたため「道場の責任者と話し合って下さい」としか答えず、宮戸は極秘裏に大文字氏と交渉し、北尾参戦に漕ぎつけることが出来た。
5月8日の横浜アリーナ大会に北尾が参戦、北尾の相手は山崎一夫が差し向けられた。山崎が相手になったのはUインターNo2を相手にすることで北尾の強さを際立出せるためだったが、宮戸は山崎を嫌っており、あくまで高田の噛ませ犬として扱っていなかった。北尾は山崎のローキックに苦しむも、山崎の顔面に裏拳を連発してから豪快なローキックでKO勝ちを収め、改めて北尾の強さをアピールする。メインでも高田がゲーリー・オブライトと対戦し、オブライトのジャーマンを喰らった際にサードロープに後頭部を打ち付けるハプニングもあってKO負けを喫し、この日は高田と山崎が揃って負けるという波乱の大会となった。
北尾に敗れた山崎は再戦を要求も、北尾側の大文字氏は「再戦を受ける意志はない」と拒否、北尾も「1度戦った相手ともう1回闘うことに意味がない」と同調する。Uインター側も最初から山崎と北尾を再戦させるつもりではなく、高田戦を薦めようとしたが、北尾側に異変が起きてしまう。師匠とした大文字氏がUインター側から支払われたギャラを持ったまま姿を消してしまい、ギャラの未払いを受けた北尾は大損害を被ってしまう。
大文字氏がいなくなり、交渉役がいなくなったことでUインター側は誰を通じて北尾にオファーをかけていいのかわからず困惑するも、北尾は知人を代理人にしてUインター側と交渉を再開、10月23日の日本武道館大会での対戦が決定した。
ところが開催直前となって北尾の代理人が試合ルールを時間無制限1本勝負から、3分5ラウンドで判定なしのルールに変更するように要求してくる。北尾側の狙いは引き分け狙いで、引き分けになればUインター側も再戦を申し入れざる得なくなり、ギャラもアップ出来る、北尾の商品価値を上げつつ、Uインターを食い物にしようとしていたのだ。
突然のルール変更に宮戸は怒り、北尾側に抗議するも、北尾側も抗議は受け入れず、北尾本人も代理人の言うがままにしか返答しないどころか、「別にこんな試合をしなくてもいいんです、もうこの世界を辞めますから」とドタキャンも辞さない姿勢を見せる。北尾は会社の重役の息子で甘やかされて育ったこともあって、こういったワガママは日常茶飯事だった。
宮戸は事の次第を高田に報告し、高田もチケットも完売している以上、今更中止に出来ないと判断して、北尾側の要求を受け入れたが、高田には北尾を必ず倒せる秘策を持っていた。だがそれでも納得しない宮戸は立会い人だったテーズに最悪引き分けになった場合、テーズが立会い人の権限で延長戦に持ち込んでくれるように依頼、北尾にとって指導してくれたテーズは父親みたいな存在であり、レスラーになってからも尊敬の念は変わらなかったことから、宮戸もテーズの言うことなら北尾も従うだろうと考えて上での判断で、テーズは宮戸を信頼して快諾し、こうして決戦を迎えた。
先日出版された「証言UWF完全崩壊の真実」で高田は、宮戸ではなく高田自身が直接北尾とルール交渉していたとして答え、共に最高傑作を作り上げた仕掛け人の宮戸のことは高田の中では全て抹消していた。これを見た時は確かに北尾を倒したのは高田だったのかもしれないが、裏で奔走していた宮戸の功績は一体なんだったのか?これが真実なのか?ハイキックは北尾に対しての天罰だったのか?わかるのは宮戸に対して高田が複雑な感情を抱き、それは現在も続いているということだ・・・
この一戦での勝利で高田延彦こそ最強だ!と思えた試合でした!#プロレス
#プロレス好きと繋がりたい

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