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#グラで短編小説書いてみたい
#アナ小説第13話
第13話 【グレイヴ視点】



突然、彼女の口から紡がれていた言葉は途切れた。
 俺を見ているはずの目も、どこか焦点が合ってないような不思議な違和感が胸に広がる。

「レイミナ嬢、大丈夫か?」

 そう言い終える前に
 彼女は静かに椅子から立ち上がると、横の開けたスペースへ進む。
 つま先が床をトンっと、鳴らした瞬間――足元から魔法陣が広かった。

 光が彼女を包む。
 咄嗟に腕を掴んで引き戻そうとしたが間に合わない。
 俺はその光に彼女ごと飲み込まれた。



 ☆★☆★



 チチチ、と小鳥の声。鼻を突くような青臭い匂い。遠くの空では太陽は沈みかけ、森はすぐ暗闇に包まれようとしていた。

「レイミナ嬢、おい!大丈夫か?」

 俺は、まだぼんやりと焦点の合ってない目をした彼女の肩を軽く揺らす。

「グレイヴさん…あっ、ここ私が最初にいた場所ですね」

 ほらっと俺の後ろに広がる絶壁を彼女は指さした。

(やはり、ここか…。)

「確かこの上には道があったはずだ。だがせっかく戻ってきたんだ、まず周辺をしらべてみよう。何か君の素性に関する手がかりがあるかもしれない」

 俺は指を鳴らし、短く詠唱する。
「――雷火珠」

 右肩の横にふわりと温かな光球が現れた。その光だけで、薄暗に沈みかけていた森は明るさを取り戻した。

「わっ、電球みたいですね!グレイヴさんって魔法使えたんですね!すごいっ」

 子供みたいに目を輝かせて光球を見上げる彼女。だが、もっと驚いたのは俺の方のはずだ…。

「いや、レイミナ嬢。ここに来た時、君は魔法を使っていたぞ。魔法陣を展開していたが…」

「え、あ…そういえばお部屋が急に明るくなった時に、なんか文字みたいなのが見えましたが、それの事かな…」
 と、なにやら他人事のように言った。

「でも、選択肢が出ると勝手に身体が動くんです。さっきもそうで気付いたら、ここに来てて…魔法が使えるかどうかも、正直全然分からないです。」

 苦笑いしながら肩をすくめるが、その無防備さが逆に恐ろしくなる。

「そうなのか…。なら、オレが無理やり着いて来て正解だったな……」

 掌がじんわりと汗ばむ。

「こんな夜の森に、魔法の心得もない女性ひとり…。死にに行くようなものだ。」

 俺は”選択肢“とやらの危うさに、腹の底から苛立ちを覚えた。



〜グレイヴ視点がもう少しつづく*✲〜
小さな小説家の星小さな小説家の星
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ねこた

ねこた

先人たちの気持ちが分かりましたね
いまグレイヴちゃんPU来てんだよな…
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シズ

シズ

「ファウンドフッテージ」もので好きな作品ありますか?「ファウンドフッテージ」もので好きな作品ありますか?

回答数 6>>

『グレイヴ・エンカウンターズ』(2011)

超常現象を調査しているリアリティー番組
やらせ番組のはずが、、、
続編もあります
予告編での再生回数が2000万回超えたとのこと。

映画の星映画の星
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幾多斗

幾多斗

ラミアもよく分かってなくてグレイヴ振り回してるだけなのマジで好き
リーフとラミアはアクションポンコツ組
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#グラで短編小説書いてみたい
#アナ小説第11話

第11話



グレイヴさん達に頭を下げて顔をあげると、3人ともふわりと柔らかく微笑んでいた。

「では、私がお部屋までご案内させていただきます」

 ブルーノさんが一歩前に出て、すっと道を示すように歩き出す。

「慣れるまではご一緒させていただきます。お困りの事があれば、いつでも声をかけてくださいませ。」

 侍女のヨナさんもぱっと表情を明るくして、にこりと礼をした。

 気を遣わせたかなと思いつつも、私も軽く会釈して2人の後をついて行く。


 お屋敷の中は空気が凛としていて、どこからか漂ういい香りがした。

 落ち着いた赤の絨毯長く敷かれた玄関ホールには二階に続く大階段があり、左右にはそれぞれ廊下が続いており、奥には部屋があるように思えた。

(わぁ……おしゃれ…!これが中世ヨーロッパ風ってやつ!?こんな場所で生活するなんて、初めて!)

 廊下には季節の花が生けられており、その香りがふわりと漂ってくる。

 廊下に吊り下げられたランプは見たことのない形で、透き通ったガラスの中に、小さな粒のような光がふわふわ漂っている。

 火が灯っているわけじゃないのに、じんわりと温かい光が広がっていて、どこか不思議で――でも、とても綺麗だった。

 キョロキョロ見ながら歩いていると、横を歩くグレイヴさんとふいに目が合った。

 初めて会った時の険しい顔はすっかり消え、私を様子をどこか楽しそうに見つめていた。

 はしゃぎ過ぎたかもしれないと恥ずかしくなり、私は視線を前に戻してブルーノさんの背中を追った。
 そのとき後ろから、「ぷっ」と笑う声が聞こえたような気がしたけれど……気づかない振りをすることにした。

 前を歩くブルーノさんが豪華な模様の施された扉の前で止まった。

「こちらが本日からレイミナ様がお使いになるお部屋でございます。足りないものや気になる点がございましたら、このヨナに何でもお申し付けください」

「ありがとうございます。…少しの間お世話になります。」

「身の回りの物も、少しずつ増やしていきましょうね」

 とヨナさんも椅子を引きながら優しい笑顔で促してくれる。

 部屋の中は柔らかい陽射しが差し込み、そよ風でカーテンが揺れている。

「まずは紅茶でも飲んで落ち着いてください。何も覚えてないんじゃ不安だったでしょう」

 ヨナさんがそっとティーカップを差し出してくれる。

 湯気と共にほのかに甘い香りが広がった。

 日本では紅茶はあまり飲んだことなかったのに、口に含んだ瞬間、懐かしいような胸の置くがほどけるような感覚がした。

 きっとこの身体がおぼえていたのかもしれない。


 気付けば肩の力が抜け、両手でカップを包み込むようにしていた。

 向かいではグレイヴさんも静かに紅茶を口に運んでいた。

「落ち着けそうか?」

 深い紫の瞳がまっすぐこちらを向いていた。

「はい、自分でも知らない間に気を張ってたみたいです。紅茶もなんだか懐かしくて…。本当に何もかもありがとうございます」

「それは良かった。」

 グレイヴさんは優しく微笑みながら、そう言ってカップを置いた。

 「では、――覚えていることから話してもらってもいいかな?」

「はい」



 ここから、私たちの”真実“が少しずつ動き出す―――

小さな小説家の星小さな小説家の星
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#グラで短編小説書いてみたい
#アナ小説第10話


第10話



ノクスに乗って、ゆっくりとお屋敷を目指す。
 目線が高くなると、見慣れたはずの森がまるで別の世界みたいに見えた。
 歩いていた時よりも木々は高く、草の色は私の知っている色よりもキラキラと時々金色に見えた。
 いやこれは、葉の色じゃなく、空気の中に淡く金色に光る粒が漂っている――

 枝のあいだから飛び出した小鳥は、可愛らしい声で鳴きながら、虹のような羽をひらめかせていく。
 ――やっぱり、ここは私の知っている世界じゃない。

 お屋敷が近づくにつれて、そのお屋敷の大きさが分かってきて、思わず息をのんだ。

 どうしても日本の家を想像してしまっていたようで、広大な敷地と荘厳な建物を目にするとここは近代ヨーロッパ風の世界なのだと改めて思い知らされる。

「おっきい…ここ、全部グレイヴさんのおうちなんですか?」

「まぁな。でも、これは小さいほうらしいぞ。」

「…グレイヴさんって何者??」

「ははっ、俺はついこの前まで平民だったんだ。今は陛下に男爵位を賜ったのグレイヴ・ティオン 男爵だ。」

「へぇーすごい方なんですね!」

 えーと、確か私が日本で読んだ小説だと、男爵って貴族の位では1番下だったはず。
「陛下」ってことは王族もいる世界か。
 うわっ、思ってたよりもすごい世界じゃない!

 私みたいな平民から貴族になんて相当大変そう
 …あれ?どうしたら平民からお貴族様になれるんだろう?もしかしてグレイヴさんって実はとんでもない人だったりして――

「さっ、着いたぞ」

「あ、はい。ありがとうございました」

 そう言いながら、ノクスから降りた。
 かっこよく降りたかったのに、初めての乗馬は思った以上に筋肉を使ったようで、足がもたついた瞬間――
 後ろからグレイヴさんの腕がサッと支えてくれる。

「危なっかしいな」

「す、すみません!ありがとうございます!」

 情けないところを見られてしまって、顔がじんわり熱くなる。
 うぅ、もう少し上手くできると思ったのに…。


 屋敷から男女の2人が急いで出てきた。

 2人とも私やグレイヴさんとあまり変わらない歳に見える。

「グレイヴさま。お早いお帰りで」
 そう男性の方が言って、目線だけチラリと私を見た。


「この方はレイミナ嬢だ。森で倒れていたのを見つけて保護した。
 記憶をなくしてるみたいで、名前以外は覚えていないらしい。
 無理のないよう、できるだけ丁寧に頼む」

「レイミナ嬢、この2人は
 ブルーノとヨナだ」

「執事のブルーノでございます。」
「侍女のヨナです。これからレイミナ様のお世話をさせていただくことになるかと思います。よろしくお願いいたします。」

 ブルーノさんは、黒みを帯びた青髪に水色の瞳
 ヨナさんは、赤みのあるオレンジの髪に淡い緑の瞳
 うん、カラフル!

 この世界で初めて会ったグレイヴさんが日本でよく見た黒髪だったから、何も思わなかったけど―――よく考えたら私だって銀髪なんだよね。

「よ、よろしくお願いします。でも
 お世話なんて…なんでも自分でできますし。色々グレイヴさんが気になることを調べて下さるだけだって言われていましたし…」

 “ねっ!”って気持ちを込めて隣りのグレイヴさんを見る。

「いや、何も覚えてないんだろ?調べたあと、どこへ行くつもりなんだ?」

 とグレイヴさんが顔を寄せて言ってきた。

 あ、グレイヴさんの瞳って黒じゃなくて深い紫なんだ。

「……確かに、行くあてないです。すみません、少し長居するかも知れません。
 改めて、レイミナと申します。これからよろしくお願いします」

 そう言って2人にぺこりと頭を下げた。
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#グラで短編小説書いてみたい
#アナ小説第9話



第9話



 よし、自分で頑張って乗ってみよう。

「ノクス、今から乗るからねー」

 乗ったことはないので、見様見真似で声をかけ、自分自身も心の中で勇気を出せと喝を入れた。


 えっと、確か左足を鐙にかけて…あとは鞍を持ってっと――

「ふっ!……できました!」

 一瞬ふらついたけど、どうにか鞍の上に腰を落ち着けることができた。

「ノクス、ありがとうね!お利口さんだったね」とノクスの顔の当たりをポンポンと触った。

 ノクスはふんと鼻を鳴らし、まぁまぁ

 だなと言いたげにこちらを見た。


 グレイヴは「ほう」と小さく声を漏らした。それはどこか楽しげな響きだった。

「本当にできるとはな。口だけではないらしい」


「当たり前です。できると思えばできるんです」


「では、そのまま歩くから、手綱を軽く持っていろ。」


「は、はい」


 ノクスの上でゆっくりと動く景色を見ながら、屋敷までの小道を進む。

 風が頬をなで、草木の匂いがふわりと広くがった。木々が木漏れ日を浴びてキラキラ光る。


 ふと、隣を歩くグレイヴを見る。

 初めて会ったはずなのに、不思議と気がつけば素のまま話していた。

 雛鳥が初めて見た相手を親と思い込むって聞いたことがあるけれど――

 もしかしたら、私はこの人をそんなふうに見ていたのかもしれない。

 ……なんだか、少し申し訳ない。


「どうかしたか?」

「えっ!い、いえ。なんでも!」

 慌てて前を向くと、グレイヴが小さく息を

 洩らして笑った。

「なかなか様になってるじゃないか」

「で、でしょ!」


 木々の間から屋敷の屋根が見えはじめ、安堵と共に少しの緊張が私に包んだ。

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