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葵斗(アオト)

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僕が1番好きな女優はアヌーク·エーメです
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フェデリコ・フェリーニの1963年の映画『8 1/2』。日本語ではハッカニブンノイチと読む。

有名映画監督グイド・アンセルミが、作品にも人生にも行き詰まり、プロデューサー、女優、妻、愛人、記者たちがそんな彼を容赦なく追い詰める。四十を過ぎた男盛りの伊達者イタリア人の詰んだストーリーだが、全編にわたり諧謔に満ちており、賑やかなラテンの風が吹いているようである。

個人的にもなんか既視感がある世界だな、と思ったら、これはライターズ・ブロック、いわゆる作家やクリエーターのスランプのように見せかけていて、実は「中年の危機」に陥った男の話なのだと気がつく。

八方塞がりで、出口を探すも見当たらない。どうすればいいんだ?と途方に暮れることは長く生きたものだったら程度の差こそあれ経験があるというもの。しかし、出口を探せば探すほど、何かに救いを求めれば求めるほど、迷ってしまうものなのである。

いよいよ逃げ場がなくなったグイドが最後に掴んだ「人生は祭りだ」という言葉は、いままで出会った人々、過ぎ去った時間、そこにあるものたちを受け止めよというメッセージにほかならない。救世主はいない。己を救うのは自分だ。

グイド役のマルチェロ・マストロヤンニのかっこいいこと、妻を演じたアヌーク・エーメをはじめ出てくる女性が肉感的でエロいこと、そんな個性豊かな登場人物を白黒の世界でまとめ上げた映像の美しいこと。映画人をはじめ評価の高い作品だが、たしかに一見の価値はある。特に中年のご同輩にはおすすめしたい。
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