「ねえ、チャーリー私、妊娠したの今は9番通りに住んでるわエロ本屋のちょうど上よユークリッド街の外れのヤクもウィスキーもやめたわダンナはトロンボーン吹きで競技場で運動したりもしてる」「彼は愛してるって言ってくれるお腹の子は彼の子じゃないけどこの子を育ててくれるって実の子のように指輪ももらったわ彼のお母さんのお古だけどそれで、踊りに連れて行ってくれる毎週の土曜の夜に」「ねえ、チャーリーアンタを思い出すのよガソリンスタンドを通り過ぎるたびにグリースのせいよアンタは頭にいつも撫でつけていたわねあのレコードもまだ持ってるわリトル・アンソニー&インペリアルズでも、プレイヤーを盗まれちゃったのよこれってどう思う?」「ねえ、チャーリーもう気がおかしくなりそうだったわマリオが捕まっちゃってからはそれでオマハに帰ったの身内と一緒に住もうと思ってでも、昔の知り合いはみんな死んだか刑務所の中だからミネアポリスに戻ったのよもう、ここに居ようと思う」「ねえ、チャーリー私、幸せだと思うのあんな事があってから初めてそう思うそれと、お金を残してあったらって思うの私たちがヤクに注ぎ込んだお金をねそしたら中古車をいっぱい買うのよでも一台も売るつもりはないの毎日、違う車に乗るのよその日の気分次第でね」「ねえ、チャーリー一生のお願いがあるの本当のこと知りたいならダンナなんていないのトロンボーン吹きも嘘お金を借りたいの弁護士に払うための、ねえ、チャーリーそうすれば、私、仮出所できるの次のバレンタイン・デーには」ートム・ウェイツ『ミネアポリスの女からのクリスマス・カード』