1.個体性の本質は「時間的連続性」(temporal seriality)物理学法則の三つの変容を検討し、それらを個性とのかかわりにおいて画期となるものと して位置付ける。①物理学の法則は個や現象そのものを説明すると想定されていたが、それらの“関係”を説明するものとしてとらえ直された。例)かつて独立した固有の性質として考えられた「質量」は、慣性や運動量と互いに説明し合う関係にあるものとして理解されるようになった。物理学の法則は、「変化の相関関係、あるいは変化の諸方法と諸手法の相関関係」にほかならず、相互に作用し合う複数の個や要素の関係に目を向けるもの。②物理学の法則が「統計的性質を持つ」確率統計にもとづく推定は、個の未来ではなく、集団の未来に関するものである。③不確定性原理物理学者W. K. ハイゼンベルグが1927年に提唱した。デューイの解釈「ある粒子の位置が決まるとき、その粒子の速度は一定の確率としてしか 示されえず、その速度が決まるときには、位置の相関因子は一定の確率としてしか示されえない」・個について測定をとおしてわかることは、あくまでも確率論的なことにとどまり確定的なものではない。・過去から未来を論理的に推論することはできない。 2.デューイの個性と測定とのかかわりデューイは物理学法則を変えることで個性を説明しようとした①相関によって個を説明することは個の把握に関係論的な視座がもたらされる。②統計的性質の認識をつうじて、法則は個のありようではなく集団についてだけ言える③不確定性原理によって、個について知ることができるのは確率的なものであり、そこに は不確定性が介在する。特に③を強調した 3.個人はいつでも不確定である「個人が未来においてどうあるかを確定的に推論できないのは、まさにその個人が不確定性を内含しているからだ」デューイ↓「何でも自由にできる」ということではない。↓「時間的な発展としての個性には、不確実性(un certainty)、不確定性(indeterminacy)、偶然 性(contingency)が含まれる。個性とは、世界においてなんであれ予測できないものの源である。」・実際に起きた事は、因果関 係や必然性によってそれを説明することができるが、そうした説明では実在としての個人がそのように存在するという謎は解けれない・確率統計からわかる定式や類型には、現れないものは原理的に含まれえない。一方、個性が「なんであれ予測されえないものの源」なら、個人は測定によって与えられた類型化には回収されえないような未規定性がある。 【参考文献】梶川(2023)測定の時代における「個性」概念の再考―ジョン・デューイの1920年代から1930年代の思想変遷を手がかりに,「教育学研究」第90巻 第1号【ベストコメント】アロエ、小さい頃おばあちゃんに火傷に塗ってもらってたなぁ