Uber Jazz ♯ 30 ☆『スイングジャズの花形ボーカリスト6️⃣』 バニーベリガンは優秀なペッターだったが故に仲間のミュージシャン達が軒並みビッグバンドリーダーになる中、例えばベニーグッドマンやトミードーシーらからはバンド立ち上げ時にリードペッターとして招かれてしまう。よってバニーが所謂キラーディラースタイルのビッグバンドを結成したのは後塵を拝し1937年3月のことだった。 それまでも自分名義のバンドを組みレコードをだしてはいたが、どれも単発に終わっていた。'37にビクターと契約した&ヒズオーケストラはアレンジャーに後に自楽団を組むラリークリントンを迎えアンサンブルの調整を終えて漸くレコーディングに漕ぎ付けたのは4月1日のことであった。 ベリガンが乗っけから女性ボーカリストを入れたのが本日掛けるセッションである。その日は4曲吹き込み、本日添付した動画はその第一曲目で、♫You Can't Run Away From Love Tonight である。最初のレコーディングに呼ばれたのはキャロルマッケイで、前回までの テディウィルソン同様ネットリしたヴォイスでこれといった感興は少ない。途中若干の高音域に達した時には光るものを感じたが。この日は2曲目の♫ 'CAUSE MY BABY SAYS IT'S SO ではリーダーのバニーベリガン自らが唄った。この人はサイドマン時代からしばしば唄とtpの両刀遣いで白人版サッチモの異名をとったこの1曲目でも前奏部でミュートを付けた短いソロを吹き、キャロルのボーカル終わりから派手なオープンソロをかましラストで再びソロで登場、存在感を誇示する。3曲目の♫ CARELESSLY で再びキャロルがボーカルを取る。こちらはスローナンバーで往年のバニーが所属したハルケンプ楽団のよう。ラスト4曲目の♫ ALL DARK PEOPLE ARE LIGHT ON THEIR FEET では無名の男性ボーカリスト フォードリアリー氏が唄う、という具合に様々なボーカルを披露したバニー第一回目の録音であった。 写真はビクター専属前の様々なリーダー達に呼ばれて吹いていた1936年のオリヂナル盤で発足当初のデッカ盤と名ギタリスト ディックマクドノフ楽団のロメオ盤は貴重。