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【友達の思い出】 #週刊詩


人気者の友達がいた

彼女にはたくさんの友達がいて
机を囲んではお茶会をしていた
僕もたまには招待されて
一緒にお茶会をしていた

たくさんの椅子
人数分のカップ
動く影はふたつきり
聞こえる声はひとつきり

人気者の友達がいた
彼女は今でも人気者
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【ヴェルベットの小包】  #週刊詩



供物の女をひとり連れてきて
「誰が一番か」と悪魔達が誘惑している
きっとすぐにいつもの喧嘩になるだろう

 行かないでって縋りついて
 私を勝たせておけばいい
 容易いことでしょう?私の愛が買えるのだから

怠惰で貪欲 欲深で怒りに満ちた
女の罪を彼らは愛す
女の愛を乞う 飽きるまでは

連れてきた女が妊娠して
「誰が父親か」と悪魔達が議論している
きっとすぐにいつもの喧嘩になるだろう

 どんなに愚かでも
 あなたたちを愛してあげるわ
 いつまでかしら?あなたたちが私に飽きるのは

嫉妬深くて強欲で
傲慢な女を彼らは愛す
女の愛を貪る 甘い魂尽きるまで

心を踏み荒らして
人間は悪魔より脆いものなのだと
きっとまた失くしてから気付くのだろう

 愛すつもりがないのなら
 カミサマにでも押し付ければいい
 見ものでしょう?きっと面白いことになるわ

教会の前にヴェルベットの小包ひとつ
「神の試練」と書かれた手紙を添えて
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【君の奏でる音楽】  #週刊詩



君の奏でる音楽が僕を誘う
踊ろう 君の手を取って
囀る笑いは風にのり
指揮者の振るう滑らかな指先に
雑音も伴奏のように纏い
花咲くおしゃべり

ぽろりぽろりと琴線を鳴らして
しくしくと降る悲しみで
頬を濡らして滴る音の美しい悲鳴が
君の胸に耳を寄せると聴こえるから
その脆い器(いれもの)をそっと抱きしめる


君の奏でる音が僕を誘う
一面の砂原に喘ぐ足音も
楽園の花弁踏みしめる足音も
もっと聴かせて
呼吸も悲鳴も笑い声も
生で奏でる至高の音楽を

踊ろう 君の掌の上
君の奏でる音楽で
君が疲れて眠りにつくまで
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【太陽】  #週刊詩



暗い夜など
君には似合わないから
花を咲かす暖かな笑顔で罪を溶かして

祈りを捧げるには
僕には眩しすぎるから
川を枯らす熱でジリジリと心を焦がして

くるくると踊る直向きな向日葵の影に気付いても
どうかそっとしてあげて

君のことを聞いて回ると
悪く言う者を僕は知らない
見つめることすら叶わないから
その正しさで罪を灼き尽くして
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【突然の別れ】   #週刊詩



さようなら
昨日までそこにあったひと
どんなに話が弾んだって
この一縷の繋がりは
初めから何もなかった ように
僕もそうしよう
ただ思い出だけを刻んで
初めから君はなかった ように

一期に袖は一振なれども
断ち切ったつもりの綾も
ただ 初めからなかった ように
そう見えるだけ
ただ 今 そこにはないだけ
僕もそうしよう
さようなら
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【あの頃の私へ】  #週刊詩



あの頃の君へ
鳥たちは謳う
魚たちが呼ぶ
あの頃の私を
鳥たちが啄む

あの頃の君を
讃える声幽く
思い出は泡沫
手を組み祈る
あの頃の私へ
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【透明】#週刊詩


たくさんの色をすり抜けて落ちる音が綺羅綺羅と
この両手いっぱいにすくいあげて
視界を遮ることのない虹色が綺羅綺羅と
光さえ追い付かない底までも
硝子細工の結晶が綺羅綺羅と
爪弾けば溶けて幽かな尾を残し
目には映らぬ虹を孕んで
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【(無題)】#週刊詩



浮かぶ泡沫を覗くと
美しい色が見える
美味しい色が見える
羽ばたく蝶を捕らえたいけど
ただ蝶であって欲しい
ノイズの走る視界にゆめうつつ
伽藍にかみさまを置いて
がらんどうに響く
荒唐無稽な未来も遥か刹那の先
俄、窓に射す天使の梯に
美しい色が見える
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【澄んだ瞳】  #週刊詩




恋せよ乙女と彼らは歌う
その瞳に僕を映してくれと

良しも悪しもありのままの僕を
映す瞳を射止めた僕を

心の底まで見通せる
魚も住めぬ程澄んだその瞳
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【また明日】 #週刊詩

君のおはようで始まる一日
のそりのそりと支度して
バスケットには夢詰め込んで
今日はどこを冒険しようか
空を切り取ったようなシートを広げて
持ち寄った花を咲かせるの
もう
空が綺麗なオレンジ色ね
並ぶ背に迫る夕闇
代わり映えない一日でも
ねぇ またあした って
君に言いたい
君のさようならで終わる一日
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【(無題)】  #週刊詩





お前のために祈ってくれ
誰かのために祈ってくれ
俺のために祈ってくれよ
悪魔は神に祈れないから

腐り落ちる翼の痛みと
二度と翔べない絶望と

昔は天使だったと歌う声に
紙飛行機を飛ばす

お前のために泣いてくれ
誰かのために泣いてくれ
俺のために哭いてくれよ
悪魔は涙を流せないから

腐り落ちる翼の痛みと
二度と翔べない絶望と
それでも
捨てられない正しさと

明日のために祈ってくれ
世界のために泣いてくれ
お前の信じる神に祈れよ
きっと救いはそこにあるから

今でも翔べる筈と歌う声に
紙飛行機を飛ばせ
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#週刊詩  番外編

【最悪】

明日も雨だとスピーカーは歌う
水溜まりを泳ぐ星を慰めて
きっと思い出す
存在しないはずのその続きを

すれ違う葬列の先頭を行く真白の蝶
棺の重さを嘆く声も
棺の軽さを怒る声も
もう届かない

向かいのバス停から遠ざかる君の背中
見失うまで必死に追いかけた
呼吸も忘れた永い一瞬を泳いで

僕にも翼があったなら
なにか違っていたのだろうか
全てを失くしてしまう前にと
もう
何を探していたのかも分からぬまま

枕木を辿る
この先にきっとあるのだと信じて
明日も雨だとスピーカーが歌う

遠ざかる背中
最悪なのは ピリオドじゃなくて
君を忘れて生きていけること
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【蝋燭】   #週刊詩



九十九の闇を越えた先
命の灯さやけく燃ゆる
闇を先ゆく幽けき明かりに誘われ
清らな流れさやさやと足を洗い
先行く明かりは未だ物言わず
燃ゆる火の内には蝶の夢を見て
深瀬へ向かう明かりを見送り
明日とも知れぬ短しその身を焦がす
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【あじさい】   #週刊詩




降り注ぐ雨に空は万華鏡
彩られてゆく世界の色を見た
どうか忘れないで
冷たい君の指先が僕の心を熱くするから
流れ落ちる前に受け止めて
君の瞳に僕の色を映していたい

とつくにへ旅立つ僕に
約束はしないと送り出す冷たい君に
雨の降る頃花ひらく紫陽花の僕を贈る
どうか忘れないで
必ず君の下で再び咲き誇るから
流れ移ろうことなく
君の瞳に僕の色を留めたままでいて
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【鏡】   #週刊詩




ひとつとして同じもののない鏡の
ふとした瞬間垣間見た書割の向こうへ

追いかけるほどに遠ざかる
鏡合わせの世界の中で
ぼくらはもう何度出逢ったのだろう

手を合わせて祈る
鏡写しのあなたが幸せであれるように

ふたつとない鏡の群れの合間
ふとした瞬間垣間見た書割の向こうへ

ひた進むほどに九十九折る
鏡合わせの迷路の中で
ぼくらは何を追いかけていただろう

あなたの幸せを願う
鏡写しの私が幸せであれるように

三つ折りに閉じ込めた自分の頭に前倣え

写る真実もあなたの面影
握りしめた欠片はいつかの面影

四方の辻に時計の針もなし
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【(題未定)】#週刊詩



生まれつきのこの檻を札束でブン殴る
自由を求めているんじゃないけど
決して満足はしないだろう
舞い落ちる紙切れを踏みつけて歩く

生まれつきのこの檻の中でそれでも夢を見る
切り売りして利を買う奴らも
決して満足はしないだろう
大枚の幻想の塔を見送りながら歩く

必要だと云うならば呉れてやる
無い袖は振れないけれども
あんたたちにその紙切れが大切なら
換わりに二束三文の神を買う
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【月光】  #週刊詩


柔らかな闇に
ささら囁く薄ら氷の音
水飴の花
朝露に融けて消える夢の音
気まぐれに暴く優しさと
薄ら囁く反響の音
奏でるような指先白くさやさやと
光の紗を幾重にも
水飴の水面かき割りさやさやと
震える弦から溢れて落ちて
砕けて消えた反響の音
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