共感で繋がるSNS
人気
あお🫧

あお🫧

「嬉綴結」

先輩が声をかける。
「先生ー、あおさん来ましたー」

先生は笑って迎えてくれる。
「まぁ、今日も寝ちゃったかと思った。よく来たね」

──ただ、お稽古に行くだけで、
こんなふうに褒めてくれる人たちがいる。

思い出すのは、あの夜。
仕事から帰って、軽く食事をすませ、
準備も整えて、あとは出かけるだけだったのに。

ソファに腰を下ろした「ちょっと」が
気づけば夜中の二時に変わっていた。

悪気なくすっぽかしたお稽古。
それ以来、私は“寝ぼすけあおさん”と呼ばれている。

紐結びはまだ手こずる。
帯揚げも、帯締めも、十回に一度くらいしか形にならない。
けれど、先生も先輩方も、根気よく教えてくださる。

こんな場面もあった。
帯の締め方を教わっているとき、
どうしてもくしゃみが出そうになった。

説明を聞き逃したくなくて、必死でこらえる。
けれど──

「へっぶしっ」

変なくしゃみが飛び出してしまった。

「あおさんっ……」
先生が崩れ落ちる。

「かわいいのに、くしゃみがおじさん!」
「へへ💦」

笑い上戸の先生の声に、稽古場がやわらかく揺れた。

思い出すたびに、頬がゆるむ。
不器用な私を、丸ごと受け止めてくれる時間。

──なんと幸せなお稽古だろう。

はやく、凛とした姿で着られるようになりたい。
けれど今は、拙い手つきも、
この道のりを楽しんでいる。


#着付け#お稽古の時間#夜露死苦フェス#当て字でことばあそび#ことばりうむの星
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY2
GRAVITY50
あお🫧

あお🫧

「思暗悪世」

考えれば考えるほど
幸福は 少しずつ遠ざかる

手のひらで掬った水が
こぼれていくように
思索の熱が 冷たく変わる

何も知らない瞬間だけが
こんなにもやさしかったと
後になって気づく

考えることは
生きることの延長で
それでも
心の奥でそっと願う
「少しの間だけ 何も考えずに 笑っていたい」と


考えすぎるほどに
世界は濁って見える
幸福は 沈黙の裏側に逃げ込んだまま
私はただ 思うことをやめられずにいる


#幸福との距離感#考えるということ#夜露死苦フェス#当て字でことばあそび#ことばりうむの星
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY1
GRAVITY41
あお🫧

あお🫧

「華爛音絢」

疲れた日には
カラオケ一択!
レパートリー関係なしで
楽しく合唱、fin♪

#カラオケ#ストレス発散#夜露死苦フェス#当て字でことばあそび#ことばりうむの星

声が夜にとけて
明日が、ちょっと軽くなる𓂃𓈒𓏸
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY17
GRAVITY42
らかん

らかん

「芽魔異」2

朝起きていつものように勢いよく起き上がると、目の前が暗転
今日も大人しくします

画像は数日前の寝待月
立っているだけで眩暈は困ります

#眩暈#夜露死苦フェス#当て字でことばあそび#ことばりうむの星
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY8
GRAVITY38
あお🫧

あお🫧

『韻便灯縒組瀨歆』

イベント3つ作りました!
えーっと、燃え尽きです(笑)
年内仕事しません!(笑)
みなさんイベント参加お願いします♪

#イベント作成#疲れた#夜露死苦フェス#当て字でことばあそび#ことばりうむの星
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY8
GRAVITY34
あお🫧

あお🫧

「哀季野香旋」

秋の風が野を巡る。
鈴の音のように軽やかで、
透明な香りは秋の訪れを知らせる。
澄んだ空の下、落ち葉がそっと踊るように舞い、
哀しさも喜びも、すべて風に溶けてゆく。
風は速く、でも優しく、
心の奥にそっと触れるように通り抜ける。
ひと呼吸ごとに、世界は少し清められ、
ほんのわずかの哀愁が、胸に残るだけ。
香と旋律をまとった秋の風は、
どこまでも巡り、どこまでも澄んで、
触れた者の心に、透明な温度を残していく。


#秋の風#澄んだ空#夜露死苦フェス#当て字でことばあそび#ことばりうむの星
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY5
GRAVITY34
あお🫧

あお🫧

「詩淡星」

今日は、一所懸命綴られた物語たちに出会った。

頭をひねって創られた、あいうえお作文や当て字の数々。

それぞれの言葉が、胸の奥でそっと光を放ち、
詩に宿る想いは、淡く、柔らかく、
私の心をつつみこむ。

ひとつひとつの言葉が、
優しい波紋のように広がり、
胸に小さな星を描く。

この星のみんなに、ありがとう。
言葉の光をくれたあなたに、ありがとう。
今日のしあわせは、確かにここにある。


#しあわせ#ありがとう#夜露死苦フェス#当て字でことばあそび#ことばりうむの星
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY6
GRAVITY33
あお🫧

あお🫧

「禍巳鳴鈴」

たぶんおちたって
ぶってるわけじゃないけど
んなもん怖いに決まってるやん!
おもいきりドカン言うたし
ちょ、家ゆれた気した[大泣き]
たのむからもう鳴らんで〜(笑)

#雷#キライ#夜露死苦フェス#当て字でことばあそび#ことばりうむの星
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY11
GRAVITY38
天雲🌧-アマクモ-

天雲🌧-アマクモ-

​『詩風運慶』の香り

​古い煉瓦造りのアパートの一室で、パティシエ見習いの青年、ハルは、今日もオーブンと格闘していた。彼の夢は、いつか自分の店を持ち、人々を笑顔にするケーキを作ること。特に彼が心血を注いでいたのは、ふわりと軽やかなシフォンケーキだった。

​ハルは、シフォンケーキに「詩風運慶」という当て字を当てていた。詩的な風が運ぶ、おめでたい慶び。彼の作るシフォンケーキが、まるで詩のように人々の心に語りかけ、幸運を運んでくれることを願って名付けたのだ。

​しかし、現実は甘くない。何度焼いても、膨らみすぎたり、しぼんでしまったり。理想の「詩風運慶」にはほど遠かった。

​ある雨上がりの午後、ハルは商店街の片隅にある小さなカフェで休憩していた。マスターは、いつも優しくハルの悩みを聞いてくれる、元職人の老婦人だった。

​「今日も、詩風運慶に嫌われたんですか?」
​ハルがため息交じりに言うと、マスターはにこやかに答えた。
​「詩風は、待つものですよ。風は、追いかけるものではありませんから」
​その言葉に、ハルはハッとした。彼はいつも、完璧なシフォンケーキを追いかけ、焦っていたのだ。

​アパートに戻ったハルは、いつものように材料を準備したが、今回はゆっくりと、一つ一つの工程を慈しむように進めた。卵を割る音、砂糖が混ざる音、泡立てるリズム。全てが、まるで静かな詩のように響いた。

​オーブンに入れた生地は、ゆっくりと、しかし確かな力強さで膨らんでいく。ハルは、その様子をじっと見つめた。まるで、風が詩を紡ぐように。

​焼き上がったシフォンケーキは、これまでで一番の出来だった。黄金色に輝き、ふんわりと膨らんだ生地からは、甘く優しい香りが部屋中に広がる。まさに「詩風運慶」そのものだった。
​その夜、ハルはマスターのカフェに、焼きたてのシフォンケーキを持って行った。

​「これが、僕の詩風運慶です」
​マスターは一切れ口に運び、目を閉じた。そして、ゆっくりと目を開き、ハルに微笑んだ。
​「素晴らしい。このケーキには、あなたの心が詰まっていますね。まさに、慶びを運ぶ詩の風です」

​その言葉に、ハルの目には涙がにじんだ。諦めずに追い求めてきた「詩風運慶」が、ようやく形になった瞬間だった。

​それから、ハルの作るシフォンケーキは、街で評判になった。人々は、彼のケーキを一口食べると、まるで優しい風に包まれたように、心に温かい光が灯るのを感じた。

​ハルは、今日もオーブンに向かう。彼の作る「詩風運慶」は、これからも人々に、ささやかながらも確かな幸福を運び続けるだろう。
#当て字でことばあそび
#夜露死苦フェス
#ことばりうむの星
短編小説第2弾
コメントにてまた感想聞かせてください
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY4
GRAVITY31
あお🫧

あお🫧

「織麗舞」

ちいさな鉢におさまっていた頃、
風にふるえる葉は、まだ頼りなかった。

やがて根は土をつかみ、
枝は空へとひろがり、
気づけば私よりもおおきな樹に。

そして今日、
掌にのるほどの実を結んでいる。

その小さな光の粒に、
過ぎた季節のすべてが宿る気がした。

秋のひざしに包まれて、
こころの結び目が、そっとほどけてゆく。


#オリーブ#初成り#夜露死苦フェス#当て字でことばあそび#ことばりうむの星

夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY2
GRAVITY31
もっとみる
新着
トモモ

トモモ

『愛連餉屈嬉依』

ふわふわの卵白
わた菓子に似た

袋につめてしぼって
割れないように程よく焼いて

含んだ口の中
湧き立つ甘さに満ちる

ふたつ、みっつ、よっつ
分かってても止まらない手

ふと気付いたの
わざとたくさん食べちゃえば

不摂生だとしても
私の昼餉はメレンゲクッキー

#夜露死苦フェス
#当て字でことばあそび
#ことばりうむの星
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY3
GRAVITY5
天雲🌧-アマクモ-

天雲🌧-アマクモ-

​『小寒風の招待状』

序章:色褪せの始まり
​里山に住む一人の少年、コウは、毎年この季節になると、胸の奥がきゅっと締め付けられるのを感じていた。彼が住む村では、晩秋に吹きつける冷たくて強い風を、敬意を込めて「小寒風(こがらし)」と呼ぶ。
​「小寒風」が一度吹き荒れると、それまで鮮やかだった山の色彩は一瞬で色褪せ、深い眠りにつく冬の時間が始まるからだ。

​第一章:風の招待
​今年の小寒風は、例年になく突然やってきた。
​ある日の夕暮れ、コウが裏庭で焚き火の番をしていると、遠くの山々が灰色に染まるのと同時に、一本の冷たい風がコウの頬を撫でた。
​それはただの風ではなく、まるで透明な刃で空気を切り裂くような、鋭い響きを持っていた。コウは思わず立ち上がり、その音の源を探した。
​「古木の魂を呼ぶ、招待状じゃ...」
​コウの隣に座っていた祖父が、小さくつぶやいた。
小寒風は、枯れゆく木々に感謝を告げ、彼らの魂を一時的に集めるという、村の古い言い伝えがあった。

​第二章:旅立ちの葉
​その夜、小寒風は本格的な荒れとなり、夜通し村を叩きつけた。コウは窓に張り付き、その光景を見つめた。
​風の強さで、一本の大きなモミジの木から、まだ緑を残していた最後の葉が、まるで意志を持っているかのように剥がれていくのが見えた。その葉は、ただ地面に落ちるのではなく、風に導かれて高く、高く舞い上がった。
​コウには、その一枚一枚の葉が、一年間の太陽の光と雨の記憶を携えた「小さな手紙」のように見えた。小寒風は、その手紙を丁寧に集め、冬の間、山の奥深くにある「眠りの宮殿」へ届ける旅人なのだ。

​終章:約束の色
​翌朝、風が止むと、世界は一変していた。地面は落ち葉の絨毯で埋め尽くされ、空は透明な青に磨かれていた。しかし、コウの心は寂しくなかった。
​彼は、荒々しい風が運んだ静寂の中に、春の約束を感じていた。
​「小寒風は、すべてを終わらせる風じゃない。次の始まりのために、場所を空ける風だ。」
​祖父の言葉が蘇った。
​コウは、風によって冷やされた木々の幹にそっと触れた。幹はもう凍えるように冷たかったが、その冷たさこそが、来年の春に向けて、命の力を深く深く蓄えている証拠だった。
​小寒風が持ち去った鮮やかな色彩は、冬の間に夢となり、やがてまた、新しい命として里山に戻ってくるのだ。コウは、その再会の時を静かに待ち望みながら、澄んだ冬空を見上げた。
#当て字でことばあそび
#夜露死苦フェス
#ことばりうむの星
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY
GRAVITY26
天雲🌧-アマクモ-

天雲🌧-アマクモ-

『愛誓菓物語』 〜永遠を刻む白い調べ〜

​街の片隅に佇む小さな洋菓子店「ラ・プリュネル」。そこの若きパティシエ、優真(ゆうま)が作るウェディングケーキは、ただの菓子ではなく、「愛誓菓」と呼ばれ、人々の間で密かに語り継がれていた。

​優真の作るケーキは、真っ白なクリームと繊細なシュガークラフトで飾られていたが、その真価は、ケーキが持つ「記憶を宿す力」にあった。彼が心を込めて生地を焼き、クリームを絞り、飾り付けをする間、新郎新婦の出会いから今日までの愛の記憶、そして未来への誓いが、まるで音もなくケーキの層に吸い込まれていくのだ。

​ある日、店に一組のカップルが訪れた。新郎の翔太は無骨な職人、新婦の美咲は華やかなピアニスト。二人は喧嘩が多く、結婚の準備も難航していた。美咲は不安を隠さず、「私たちの愛が本物かどうか、このケーキで確かめられるでしょうか」と優真に尋ねた。

​優真は静かに微笑み、「愛誓菓は、お二人の誓いの器です。誠実に向き合えば、必ずその真実を映します」と答えた。
​そして迎えた結婚式当日。二人の前には、美咲の好きな薔薇のモチーフと、翔太の仕事道具の小さなチョコレート細工が飾られた、三段の愛誓菓が運ばれた。

​ケーキ入刀の瞬間、会場の照明が一段と輝き、どこからともなく美しいピアノの旋律が流れ始めた。それは、二人が初めて出会ったコンサートで美咲が弾いた曲だった。

​その時、翔太と美咲の脳裏に、ケーキ入刀の刃の軌跡に合わせて、過去の記憶が一瞬にして蘇った。

​一段目:初めてのデートで翔太が美咲の無愛想な態度に戸惑いながらも、その繊実な指先に惹かれた瞬間。
​二段目:大きな喧嘩の夜、美咲が涙ながらに「もう無理」と言った時、翔太が黙って差し出した、不器用ながらも心を込めた手紙。
​三段目:プロポーズの朝、緊張のあまり言葉に詰まる翔太に、美咲が先に「はい」と微笑んだ、あの誓いの光景。

​走馬灯のように駆け巡る記憶の中で、二人は知る。喧嘩やすれ違いは、互いの不器用さゆえの試練であり、それでも決して途切れることのなかった「愛」という名の甘く温かい絆が、このケーキの芯を成していることを美咲は涙を流しながらも、しっかりと翔太の手を握り直した。翔太もまた、優しく彼女を見つめ、深く頷いた。​ケーキの調べが途切れ、入刀が終わる頃、二人の表情は迷いのない穏やかなものに変わっていた。

​「愛誓菓」は、披露宴でゲストに振る舞われた。一切れ食べた人々は皆、その至福の甘さに驚きながら、なぜか温かい気持ちに包まれるのを感じた。それは、ケーキの中に宿った『永遠を誓う愛の力』が、分け与えられた幸福の欠片だったからだ。

​優真の洋菓子店「ラ・プリュネル」は、それからも多くのカップルの愛を「愛誓菓」に託し続けた。
​そして、そのケーキを口にした人々は皆、心の中で誓うのだ。この甘い味と温かい気持ちを忘れず、自分たちの愛も、このケーキのようにいつまでも崩れず、美しくあるようにと。
​(終)
#当て字でことばあそび
#夜露死苦フェス
#ことばりうむの星
『愛誓菓』
これはなんという当て字でしょうか☝( ˙▿˙ )
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY6
GRAVITY12
yjk☁️

yjk☁️

『殄鎖畏(てんさい)』


とあるところに「鬼」と呼ばれた少年がいたらしい。
鬼と呼ばれてはいるものの、見るからに育ちの良さと品位を感じることができる。
不思議なものだ。グラウンドで砂まみれになりながら鬼ごっこをしていても、ドッジボールで無双して調子にのっていても――その品性が失われることはない。

無邪気な少年時代から、競争社会の入り口に立つ青年時代の狭間で、彼は運動も勉学においても非凡な才を発揮した。
周囲の中には、彼を「異常」と畏怖する者もいた。
それは、親も教師も例外ではなかった。
彼は特別なことは何もしない。ただ彼としてそこに在るだけ。なにも犯すことなく、ただそこで目を開き、耳を立て、鼻をすする……
ただそれだけのことなのに、周囲にとっては存在そのものが「圧」となった。

「わたしはあなたが怖い」

高校に入学してしばらく経った頃、担任の教師からそう言われたそうだ。
彼の中では、対話をしていただけだ。
ただ、素直に思ったことを言っていただけだ。
無論、暴言などは吐いていない。

「あなたと話していると、暴かれた気分になる」

誰かがそう言った。

「勘弁してください……」

誰かがそう言った。

「あなたにそんな人間らしい心があったなんてね」

誰かがそう言った。

そこで、少年は初めて自覚した。
自分の存在そのものが、誰かの不利益になっていることに――

本当は、彼は自制していた。
当たり前である。
彼は年頃の思春期の、普通の少年である。
感情は荒波のごとく内面を渦巻いている。
ぶちまけたい衝動を、何度も飲み込んできた。

少年は感じていた。

「誰も自分を尊重してくれない……
存在を認めてもらえない」

だが、すぐに答えを出す。

「いや、そもそも自分なんて認めてもらう必要などない。
俺は、今たしかに感じている。
この感性こそが俺を俺たらしめる。
その感覚を共有することなどできない。
これは、俺のための俺だけのものだ。

要は、周囲には見せるべき部分だけ見せていればいいのだ。
それで上手く回せる。」

それが、彼の結論だった。

本当は、彼は誰よりも知っていた。
思考は鎖なのだと。
己の存在を現世に受容させるための――

鎖を断つことは、破滅を意味する。

「さぁ、はじめようか。」

Hello world ♪


※ モ!さんの投稿作品『旗を立てる』から着想を得ました♪

#夜露死苦フェス
#当て字でことばあそび
#ことばりうむの星
#音楽をソッと置いておく人
#鎖ブンブンしたい人
GRAVITY

Hello,world!

BUMP OF CHICKEN

夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY
GRAVITY30
たむい

たむい

「加鎖無駄」

  ただ一度の失敗を
     できてしまった傷を
     ワタシは振り返る
    何
    度 何
    も 度
      も

  分かってる
    分かってるんだよ
      ほっとけばいいって
        忘れてしまえばいいって

 痛みも薄れ
    やっと治ってきたその時に
  フラッシュバック
   そのむず痒さに
 こころがざわつく

  自分で自分を罰する行為

   さらに加わる後悔の重り
  止まらぬ鎖の繋がり 
いつまで続く無限の輪廻
      駄目な自分を痛感する

#かさぶた
#夜露死苦フェス
#当て字でことばあそび
#ことばりうむの星
スタイル案感謝:@necco(ねこころん
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY5
GRAVITY11
yjk☁️

yjk☁️

『破愛限奪子』

「やっと……会えたね。
まさか、こんなとこにいたなんて……
でも、こんな……こんな再会はあんまりだよ!」

――遡ること数日前。

「期間限定」という響きに弱い男が、スーパーのアイスコーナーで魅力に抗っていた。
そして、敗北した。
しかし、家に帰ったときにはブツが見当たらないことに気づいた。

「まさか、盗まれた!?
いや……袋に入れるのを忘れて、セルフレジのとこに置いてきてしまったのか?」

そんなアホなことあるわけ……と、健全な人なら考えるだろう。
だが、この男は“やる漢”……うん。

――そして、今日。

晩ごはんを作ろうとキッチン台の収納スペースに置いてある調味料を取ろうとしたとき、
この前買ったものをスーパーの袋ごと入れていたことに気づいた。
もともと中にはカップ麺がいくつか入っていたが、今はスカスカ――
そこで、違和感に気づいた。

「あれ?なんか、カップっぽいシルエットが見える……」

男は「ツナ缶か何かかな?」とか、能天気なことを考えながら袋を覗いた。

「ば、馬鹿な!!この前確認したときはなかったはずなのに……!」

繰り返します。
この男は、“やる漢”です。

 
#夜露死苦フェス
#当て字でことばあそび
#ことばりうむの星
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY3
GRAVITY14
天雲🌧-アマクモ-

天雲🌧-アマクモ-

​『富琳阿羅盛』の魔法

​街の中心から少し離れた路地裏に、ひっそりと佇む喫茶店「虹色の窓」。そこの名物は、店主の老婦人、ハルが作る「富琳阿羅盛」だった。
​ハルは、プリンアラモードを「富琳阿羅盛」と名付けていた。それは「豪華な宝石がちりばめられたように、あらゆるものが盛り付けられたデザート」という意味。彼女の作る富琳阿羅盛は、まさにその名の通り、色とりどりのフルーツ、滑らかなプリン、甘いクリーム、そしてキラキラと輝くゼリーが、まるで宝箱のように美しく盛り付けられていた。

​ハルの富琳阿羅盛には、不思議な魔法が宿っていた。それは、食べる者の心を、一瞬にして夢の世界へと誘う魔法だった。

​ある日、仕事に疲れ果て、心がすっかり乾ききってしまった若いビジネスマンの健太が、偶然「虹色の窓」を訪れた。彼は、SNSで評判になっていた富琳阿羅盛を半信半疑で注文した。

​運ばれてきた富琳阿羅盛を見て、健太は思わず息を呑んだ。それは、彼が想像していたよりも遥かに美しく、まるで小さな楽園が皿の上に広がっているようだった。

​健太は、スプーンを手に取り、一口食べた。とろけるようなプリンの甘さ、フルーツの爽やかな酸味、そしてクリームの優しい口溶けが、口いっぱいに広がる。まるで、心の中に温かい光が灯ったようだった。

​その瞬間、健太は忘れかけていた幼い頃の記憶を思い出した。母が作ってくれた、ご馳走のようなプリン。父と訪れた遊園地で食べた、初めてのプリンアラモード。

​一口食べるごとに、彼の心には、失われていたはずの「きらめき」が蘇ってくる。仕事のプレッシャーで凝り固まっていた心が、ふわりと軽くなるのを感じた。

​ハルは、そんな健太の様子を、何も言わずに温かい眼差しで見守っていた。彼女は知っていた。富琳阿羅盛は、ただのデザートではない。それは、人々の心に眠る「幸せな記憶」を呼び覚まし、再び輝かせるための魔法の宝物なのだと。

​健太は、富琳阿羅盛を食べ終えると、すっかり穏やかな顔になっていた。彼はハルに深々と頭を下げ、感謝の言葉を述べた。
​「ありがとうございます。なんだか、大切なものを思い出した気がします」
​ハルは、にっこりと微笑んだ。

​「ようこそ、富琳阿羅盛の夢の世界へ。またいつでも、おいでなさい」
​健太は、それから「虹色の窓」の常連客になった。そして、富琳阿羅盛を食べるたびに、彼の心は再び、色鮮やかな光を取り戻していくのだった。

​富琳阿羅盛は、ただの甘い誘惑ではない。それは、人生に疲れた人々の心に、忘れ去られた喜びや希望を、豪華絢爛に盛り付けてくれる、そんな魔法のデザートなのだ。
#当て字でことばあそび
#夜露死苦フェス
#ことばりうむの星
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
夜露死苦フェス 〜当て字でことばあそび〜
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY5
GRAVITY28
もっとみる
関連検索ワード