俺は訪問介護を生業とする者だ。通常、支援先に入る時にはスイッチが入る。これがターミナル(終末期支援)ともなると、更にもう一つ二つスイッチが入る。自分の能力の全てを使う。俺の手の中で亡くなっていった利用者さんをはじめ、沢山ターミナルの方々に接して来て自然とそうなった。ただ、一口にターミナルと言うけれど、ちょっとしたキッカケでそこへ移行してしまう方は少なくない。それを嗅ぎ取った場合も確実にスイッチが入る。勿論、決められた支援はする。どんな方でも。ターミナルの方は、そこに状態によってやれる事、やるべき事が発生する。それを見極めて動く、ということ。人の最後をマニュアルで埋め尽くし、それ以外はしない。それではあんまりだ。そこでは一対一の人間でありたいし、そうあるべきだと思っている。だから俺は良いヘルパーではない。でも、ここは変わらない。俺の芯だからだ。肩で息をしながら苦しんで苦しんで、俺の目の前で息絶えていった方に誓った。もうあの頃の様なマニュアル追従介護で利用者さんの気持ちを取りこぼさない。最後の時、俺ならどうありたい?どうされたい?この方なら?あの方なら?誰も望まぬモノを最後の最後に押し付ける様な介護なら、俺はいつ辞めてもいい。その気持ちで今日も、これからも周る。だから。今日で最後となったおじいちゃんを心残りなく家から送り出す事が出来た。延命措置はしない。それが家族の気持ちだった。どうか、良い最後を迎えて欲しい。#訪問介護 #救急搬送 #延命措置 #ターミナル #シングルファザー