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マサヤス 龍之介
#小津安二郎
☆ 『大学は出たけれど』
小津安二郎監督第10作目 松竹蒲田作品
1929年昭和4年9月6日封切 プリント一部保存
原作:清水宏 脚色:荒牧芳郎 撮影:茂原英雄
出演:高田稔 田中絹代 日守新一 坂本武


マサヤス 龍之介
#小津安二郎
☆『お早よう』
小津安二郎監督作品第50作目
松竹大船配給 1959年昭和34年5月12日封切
脚本:野田高梧・小津安二郎 製作:山内静夫
撮影:厚田雄春 音楽:黛敏郎 録音:妹尾芳三郎 編集:浜村義康 出演:佐田啓二 久我美子
笠智衆 三宅邦子 杉村春子 大泉滉 殿山泰司
※ 戦後版『生まれてはみたけれど』だが、余り深刻にならず仕上がりは軽妙な喜劇となっている。
戦前の『出来ごころ』や終戦後の『長屋紳士録』にあったような出入自由な住民相互のアジール性は薄れて、規格化されたマッチ箱の様な建売住宅に変わっており、人のぬくもりより相互不信が強調されている。小津の見事な時代描写である。オナラを絡めたギャグが矢鱈と出てくるのも小津らしい誹諧精神の発露であった。




マサヤス 龍之介
#小津安二郎
☆『戸田家の兄妹』
小津安二郎監督作品第38作目
松竹大船配給 1941年昭和16年3月1日封切
脚本:池田忠雄・小津安二郎 撮影:厚田雄春
音楽:伊藤宣二 録音:妹尾芳三郎 出演:吉川満子 斎藤達雄 三宅邦子 佐分利信 坪内美子
高峰三枝子 桑野通子 河村黎吉 飯田蝶子 笠智衆
※ 小津は1937年昭和12年9月10日に応召。映画「淑女は何を忘れたか」の後に新企画「愉しき哉保吉君」を会社に提出するも、不採用となって腐っているところで、内田吐夢と再会し、そのまま譲って、日活多摩川配給の「限りなき前進」として映画化した。ネガ・プリントは消失していたが1995年に大島渚が発見されたばかりの一部プリントを「日本映画の百年」の中で紹介した。現在でも全編99分のうち、60分以下しか復元されていない。
小津の出征は2年弱、1939年昭和14年6月26日に帰還命令、翌月16日に応召解除。小津は中国でのコトに関して一切記していない。当時のニュース映画用プレスなどでは陽気に笑ったりしていたが、この短い中国戦線では筆舌に尽くし難い"何か"があったと見ていい。この世の果てを観てしまった小津の人生観ごと変えてしまったのか、帰還後、小津の作品傾向はガラリと変わっていく。
その帰還第一作がこの作品である。
戦後の小津作品の重要なテーマとなる家族問題を真正面から取り上げた。それまではスターを使わなかった小津は、ここからスターシステムへと大きく転換を図った。商業的にも効果絶大となった。





マサヤス 龍之介
#小津安二郎
☆『小早川家の秋』
小津安二郎監督作品第53作目
宝塚映画・東宝配給 1961年昭和36年10月29日封切 脚本:野田高梧・小津安二郎 製作:藤本真澄 撮影:中井朝一 音楽:黛敏郎 照明:石井長四郎 出演:中村鴈治郎 原節子 司葉子 新珠三千代 小林桂樹 森繁久彌 浪花千栄子 団令子 杉村春子 加東大介 東郷晴子 白川由美 山茶花究 笠智衆 望月優子
※ 昔は羽ぶりが良かったが、今は没落しかかっている関西の地方都市の造り酒屋の御隠居の道楽者ぶりを中心にしてこの家族の人々をペーソス豊かな喜劇タッチで描いた作品。原節子は松竹大船で小津の作品が代表作と言われるが、実は東宝の専属女優である。撮影中に小津監督と森繁、山茶花との間に一悶着あった。小刻みに数秒のカットを重ね、表情も動作も出来る限り削り取ろうとする小津の手法に、森繁らが悲鳴が上げた。森繁に言わせれば「ところで絵描きさん、ところであんた何を描いてるんですか?」と聞いてみたい気分にさせられたと云う。一夜、二人は小津の宿を訪ね、思う様のことを言った。「松竹の下手な俳優では、五秒のカットを持たすのが精一杯でしょう。でも、ここは東宝なんです。二分でも三分でも立派に持たせてみせます。」「無礼者💢」小津は怒鳴り返した。「俺の映画には軽演劇の芝居は要らないんだ。」この騒動は東宝の代表的プロデューサー藤本真澄が間に入って収めたと云う。
小津の素晴らしい評伝の中で著者の高橋治は云う。…森繁も山茶花も在来にはない味を引き出されていた。…
しかし、ラストの無常観を客に押し付けて来るあたりが、年寄りの繰り言のようにひどくくどいと云う。『晩春』『麦秋』の様なさりげなく衝撃的なショットで押し留めた表現が鳴りをひそめて説明シーンを挿入してしまっていると云う。この辺を頭に入れて観るとこの映画を更に楽しく観れる筈である。




マサヤス 龍之介
#小津安二郎
☆ 『会社員生活』
小津安二郎監督第11作目
松竹蒲田配給 1929年昭和4年10月25日封切
ネガ・プリントなし
原作:小津安二郎 脚色:野田高梧 撮影:茂原英雄 出演:斎藤達雄 吉川満子 小藤田正一
加藤精一 青木富雄 坂本武
※サラリーマン生活を描いた小市民映画のハシリで、脚本に第一作目以来の野田高梧とのコンビが復活した。


マサヤス 龍之介
#小津安二郎
☆『秋刀魚の味』
小津安二郎監督作品第54作目
松竹大船配給 1962年昭和37年11月18日封切
脚本:野田高梧・小津安二郎 製作:山内静夫 撮影:厚田雄春 音楽:斎藤高順 録音:妹尾芳三郎 編集:浜村義康 出演:岩下志麻 笠智衆
佐田啓二 岡田茉莉子 三上真一郎 吉田輝雄 中村伸郎 三宅邦子 東野英治郎 杉村春子 加東大介 北竜二 岸田今日子 菅原通済
※ 小津安二郎生涯最終作。洗練されたさりげない残酷味がすごい。
小津の死は1963年昭和38年12月12日。死因は右頸部悪性腫瘍。発病からわずか8ヶ月後だった。
小津は60歳の誕生日に逝った。
最後に見舞ったのは肉親以上の愛着を示した俳優で中井貴一の父、佐田啓二だったが死の前日で既に死相が表れていたと云う。
通夜には既に芸能界引退していた原節子も駆けつけた。墓は鎌倉・円覚寺で墓碑銘には『無』の一文字が当てられている。朝比奈宗源の筆によるもので、正に生前の小津安二郎を表現するのにこれ程相応しい言葉はない。小津は生涯娶らなかった。女優 原節子との関係も現役の時から現在まで脈々と取り沙汰されているが、不明である。
女性関係もあったがどれも成熟していない。全ての謎を呑み込んだまま、小津は還暦の日に逝った。それが自らに課した厳しい戒律であるかのような人生だった。




マサヤス 龍之介
#小津安二郎
☆『東京の宿』
小津安二郎監督作品第33作目
原作:ウィンザァトモネ 脚色:池田忠雄・荒田正明 撮影・編集:茂原英雄 音楽:堀内敬三
録音:土橋晴夫 監督助手:原研吉ほか 出演:坂本武 突貫小僧 岡田嘉子 飯田蝶子 笠智衆
※ サウンド版であり、音楽は日本初のレコードプロデューサー兼クリエイターだった堀内敬三である。喜八もの第4弾にして小津は安定のエンタメを作り込む。ギャグをふんだんに盛り込むと同時に就職難の深刻な現実を重ねて描き、一級の庶民派喜劇になっている。好きな女性のために泥棒を働く喜八のシーンは振子の時計と溜まった水面を交互に見せるシークェンスで、それは限りなく美しい。シャシンがサイレントでも大きくモノ申せることを強く印象づける。


マサヤス 龍之介
#小津安二郎
☆『浮草』
小津安二郎監督作品第51作目
大映東京配給 1959年昭和34年5月17日封切
脚本:野田高梧・小津安二郎 製作:永田雅一
撮影:宮川一夫 音楽:斎藤高順 出演:中村鴈治郎 京マチ子 若尾文子 川口浩 杉村春子 野添ひとみ 笠智衆 三井弘次 田中春男 潮万太郎 浦辺粂子 桜むつ子
※ 小津監督第31作目、昭和9年封切『浮草物語』のリメイクである。小津は当初このリメイク作品に『大根役者』とタイトリングした。その大根役者が名優中村鴈治郎なのが皮肉で面白い。大映と云う別会社で撮ったからか、通常の小津では考えられない千両役者同士の台詞の応酬や、名人キャメラマン宮川一夫の端麗な画調が一際目を引く。
終幕近く中村鴈治郎と京マチ子が雨中で対決するシーンでカメラをロングに引いてワンカットで撮った。編集時に別撮りしたアップを挿入するのだが、これは黒澤明が得意とした手法(有名な『用心棒』のラストでの仲代と三船の一騎打ちのシーンなど)で一シーン一カットを信条としていた小津には珍しい撮り方だった。




マサヤス 龍之介
#小津安二郎
☆『彼岸花』
小津安二郎監督作品第49作目
松竹大船配給 1958年昭和33年9月7日封切
原作:里見弴 脚本:野田高梧・小津安二郎 製作:山内静夫 撮影:厚田雄春 音楽:斎藤高順
録音:妹尾芳三郎 編集:浜村義康 出演:佐分利信 田中絹代 山本富士子 有馬稲子 久我美子 佐田啓二 高橋貞二 桑野みゆき 笠智衆
浪花千栄子 渡辺文雄 中村伸郎 北竜二
※ 小津作品にして初カラー映画である。美男美女を揃え、華やかな印象を残した。今度こそは有馬稲子の為の脚本であった。小津は前作の罪滅ぼしを施したのだった。上品で華やかな色彩感覚に目を見張らせられた。



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マサヤス 龍之介
#小津安二郎
☆『秋日和』
小津安二郎監督作品第52作目
松竹大船配給 1960年昭和35年11月13日封切
原作:里見弴 脚本:野田高梧・小津安二郎 製作:山内静夫 撮影:厚田雄春 音楽:斎藤高順 録音:妹尾芳三郎 編集:浜村義康 出演:原節子 司葉子 岡田茉莉子 佐田啓二 佐分利信 沢村貞子 桑野みゆき 島津雅彦 笠智衆 北竜二 三上真一郎 中村伸郎 渡辺文雄 高橋とよ 岩下志麻
※ 初老の紳士たち(佐分利信 中村伸郎 北竜二)が、亡くなった学生時代以来の友人の娘(司葉子)の縁談の為に、話し合うが実はみな、嘗て憧れたその母親(原節子)に気があって落ち着かない。
興行収入第一位。キネマ旬報ベストテン第五位。『東京暮色』以来小津調と云う芸で観客動員が右肩上がりだったが、小津本人は日記で…出来思はしからず。寒さ一段と身に沁む。… と心情吐露している。テレビの普及とともに観客の質が明らかに落ちたと高橋治は推測する。



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