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アッチャー
【母の好きな人】4話(全5話】
#九竜なな也
#note より
母の過ちを、父は知らぬままに生涯を終えたのだろうか?
倒れた途端に余命宣告をされ、厳しい闘病生活を送る父に、告解のように母が過去の過ちを打ち明けて詫びたとは思えない。それよりも前に、寿美子は英樹に罪を詫びたのだろうか?
それとも、隠し通したのだろうか?
あるいは、父は知っていながら、知らぬふりをしたのだろうか?
真希斗が確かに知っていることは、母・寿美子が過ちをおかしたという事実と、それにもかかわらず、田辺家には平穏な生活が続いたことだった。
大学を卒業して、真希斗は地元の商社に就職した。ある日、外回りの営業に出ている時に、母を銀行まで連れて行ったことがある。短時間で済む小用なら営業車を使って母に便宜をはかることがあった。
寿美子が用を済ませるのを、真希斗は路肩に停車させた営業車の中で待っていた。母が銀行から出てきて車に乗ろうとする時、女性行員が後を追いかけてきた。険しい表情をしている。女性は覗き込むようにして真希斗の顔を確かめ、営業車に書かれている社名をメモしていた。
「何してるの?もう関係ないでしょう」
寿美子も険しい表情で、その行員に言った。真希斗にはその女性の顔に見覚えがあった。胸のネームプレートには「小貫咲恵」と書かれていた。真希斗はあの出来事を思い出した。何事もなかったかのように平穏が保たれた田辺家とは反対に、小貫家は決して穏便にはすまなかったであろうことが、彼女の表情や行動から想像できた。
(つづく)
©️2024九竜なな也

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