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まる
#まる婚活
「こっちにいたんですね」と彼は呑気な声を出した。
映画館の前で待っていた私。
ラインで『私も着きましたがどこにいますか?』と送ったら5分後に彼がひょこひょこと出てきた。映画館の中から。
外で待っていたら寒くて館内に入ったらしい。
…いや、責めはしないぞ。寒いもんな。私も寒かったぞ。
それから彼と映画を見ることにした。
「お久しぶりです」と当たり障りのない話をして時間を過ごして上演時間を待った。
劇場に入って、映画館が始まって、もちろんお互いに無言になる。
映画の宣伝をしたいわけじゃないので、タイトルは控えます。
映画を見ている間、横に座っていた彼から「ふう…」という言葉が聞こえた。
…この映画、つまらなのだろうか?という疑問が出る。
この映画を選んだのは私だった。
失敗したかなぁとちょっと後悔した。
2時間近くの上演時間が終わる。
辺りが明るくなって、彼がもう一度「ふう」と言い「行きますか」と私に声をかけるが…
「…あの?」
『・・・はっ、あ゛ぁ、うぅ゛…😭』
私ひとりガチで泣いていた。
ハンカチ片手に、不覚にも涙でボロボロになった女がいた。
失敗した。 超失敗した。
自分の涙腺の脆さをすっかり忘れていた。
「大丈夫ですか?」
多分、ドン引いている。
でも知るか!良い映画だったんだよ!!
『あの…私…』
「はい」
一生懸命に言葉を振り絞る。
『私、今、何も考えられまぜん゛』
「はい」
めっちゃ正直に言った。
『だから、次の場所、連れてっでくだざい…』
「…はい」
男は文句を言うでもなく、ただ「ついてきてください」と言って先導した。
『悲しすぎる… 兄妹の別れがあれだなんて…』と言う私。
「熊本の豪雨って何年でしたっけね」と返事をする男。
意志疎通が出来ない2人は歩きながら喫茶店にたどり着いた。
流れるように席に着く。
『はぁ… 素晴らしかった…』
映画の余韻に浸り、未だに何も考えられない私。
そんな私をよそに背筋を正す男。
「前回も前々回も小説の話ばかりでしたね。
それ以外の話もした方がいいって(結婚相談所から)言われまして…」
彼は何かモジモジと話し始める。
『はぁ…』
生返事の私。
未だに頭の中は映画の中だった。
「実は俺、厳密には専業小説家ではないんです」
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失礼ながらこの小説家さんと結婚しても楽しくなさそう…と思ってしまいます…
てらすけ
気になる…。 もう、まるさんが小説家になったらいいと思います。
ひからびたシメジ
映画を見てて、相手が隣でため息されたら嫌いになっちゃうな。 余韻を味わいたいし。
ミヤ
やっぱり〜。小説で食べてないんじゃないかと思って気になってました。小説で食べてたら人の気持ちが読めるんじゃないかなと思ってたんですよね。誰でもなれるっていう言い方も本業じゃないから言えるんじゃないかと。
うるとらー
えっと、、、まって、、、これ、、、まるさんが小説家で、婚活をしている女性を描いている小説でしたっけ?? 描写力と構成、それにヒキが上手すぎないっすかね????