部屋の鍵が閉まる音が、やけに大きく響いた｜ハーロックの投稿-GRAVITY(グラビティ) SNS

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投稿

ハーロック

2025/11/16

部屋の鍵が閉まる音が、やけに大きく響いた

会社の飲み会の帰り道
珍しく飲みすぎた憧れの先輩を、僕は何とか先輩のマンションまで送ったんだ

先輩の肩を支えながら靴を脱がせた瞬間
ふらりと体重が傾き、反射的に抱きとめてしまった

拍子に――気づけば、先輩はベッドに倒れ込んでいた
そしてその上に、自分も

「……えっ」
自分の両手が先輩の肩を押さえている

状況を理解した瞬間、顔が一気に熱くなった
「ご、ごめんなさいっ！　ちが、いまのは――」

先輩は薄く目を開け、泥酔しているはずなのに、いたずらを仕掛けるみたいな笑みを浮かべた

「で、ここからどうするの」

からかうような声に、心臓が跳ねる
触れていた手を慌てて離すと、先輩の指先がそっと僕のシャツをつまんだんだ

「そんなに焦らないでよ
押し倒されたの、意外と……嬉しかったんだよ」

耳元で囁かれ、胸にしまいこんでいた想いが一気に暴れ出す

でも、僕は必死にこらえた
「ダ、ダメです
先輩が酔ってる時に、そんな……
僕、先輩が好きだから、ちゃんと言いたいんです」

言ってしまった
静まり返った部屋で、自分の鼓動だけが大きく響いた気がした

先輩は一瞬目を見開き、すぐに柔らかく微笑んだ
「……知ってたよ
ずっと気づかないふりをしていただけ」

伸ばされた手が、僕の頬に触れる
その温度に、胸がキュっと締めつけられた

「ねぇ
酔ってても、本気の気持ちは変わらないよ」

その言葉に、僕はようやく先輩の手を握り返した

ふたりの距離がゆっくりと、でも確実に縮まっていく

#希望 #自作小説