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ゆりさん
わたしはボロボロの馬車に揺られている。
父の酒代のために、姉たち同様変態どもの元へわたしを売るのだ。
村から3日馬車で駆けるとカランコエという少し大きな街がある。
そこを更に2日行ったところが王都、今はそこをめざしている。
地獄から抜け出せるだけありがたいと思えたらいいのに。
待ち受けているものが更なる地獄だと誰が見ても思うだろう。
自分の行く末に身震いをし、こっそり持ってきた単語帳をポケットの上から触る。
わたしの宝物はこれだけになってしまった。
これから先の地獄の中で、新しい宝物は見つかるのだろうか…。
硬い馬車で痛めた尻をさすり横になる。
農具がガチャガチャと音を立てて跳ねている。
畑をやってる、気の弱いリチャードさんを脅して借りたのだろう。
ふと、ひときわ軽い音を立てて飛び跳ねるものが目に入った。
気になって捕まえてみると、マッチの箱だった。
数本残っていて、それがカラカラと音を立てていたようだ。
そういえば、マッチ売りの少女なんて童話を姉が話して聞かせてくれたことがある。
あの子は大馬鹿者だ。
素直にマッチを売ってもどうせ父親が全部使ってしまうんだから。
幻想に浸ってマッチを無駄にするくらいなら、木でも集めて少しは暖を取ったらいいのに。
なんて考えていてもマッチ売りの少女と変わり映えしない自分の状況を苦々しく噛み殺し、マッチをポケットにしまい空を見上げる。
空は自由だ。青くて雲があってお日様がある。
わたしがどんな目にあおうが普段と変わらずのんびりしている。
わたしもこんな風に自由に生きてみたい。
この馬車を飛び降りて父から逃げたらどうだろう…
ふと、そんなことが頭をよぎる。
あまりにも無謀だけど、分かりきった地獄を享受するより自由への可能性にかける方がいいんじゃないか?
わたしはマッチ売りの少女みたいにバカじゃない。
抗わなければ変わらない。
心に決意し、鬱蒼とした森を行く馬車から飛び降りた。
#創作 #自作小説 #VIVi
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