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クロ

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『池上彰』

浮かんだ光景がある。

僕らは一年生の春から
“答えはひとつ”と教えられてきた。
問いを抱く力も、多様な考えも、
騒がしいものとして退けられた。
考えるよりも従うことが心地良かった。

今年も、羊の群れが学校から出荷されてゆく。

貧しい。若者であるほどに。
返しきれない学費、終わらない労働、
重たい家族、貯金は空っぽ。

2000万円から4000万円へ。
老後の数字が更新される。
将来を考えることは災厄だ。
いまはよそう。

夜。
ごはん。風呂。家事。育児。
テレビ。お笑いとスポーツ。
──そして寝る。

家庭はいさかいと沈黙で満ちている。
休まる場所はない。
届いた選挙の案内は封を切らずにゴミ箱。

ある日、テレビで、
柔らかい声の、身なりのいいおじいさんが
政治をやさしく、わかりやすく語る。

──そうか。分かった気がする。
──今日も悪くはなかった。
──また見よう。
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