投稿

みおこんぼ
「鍵盤の魔」①
アキオくんから聞いた話。
アキオくんは子どもの頃、今で言う毒親から教育虐待を受けていたんだそうです。
習い事は週5で入っていて、友達と遊ぶ暇もなく、家では母親からずーっと監視されて、勉強の日々。スポーツも妥協を許されず、更にはピアノまで。朝から晩まで休まる時間が無かったそうです。
私もアキオくんのピアノ、頼み込んで1度だけ弾いてもらったことがあるけど、本当に上手なんですよね。
アキオくんは普段チャラチャラしてるから、黙ってピアノを弾いてた方がモテるかもしれないよって言ってみたんだけれど、アキオくんは「できればもう、ピアノは弾きたくないんだよなぁ。」って。
「こんなに上手なのに、勿体無いよ。」と言う私に、実は……と、アキオくんがこんな話をしてくれました。
中学2年生の時に、大きなコンクールに向けて有名なピアノの先生の厳しい指導を受けていたアキオくん。
毎日過酷なレッスンを受けて、寝る間もなく練習していたので心身はボロボロだったそうです。
「あの時期、スポーツは指を怪我するかもしれないからってそっち系の習い事は全部辞めさせられて、その分ピアノを弾きなさい!って。母親は鬼みたいでさぁ。参ってたんだよね、ほんとに。だからアレは、俺の見間違いかもしれないんだけど……。」と、アキオくんは前置きして続けます。
その年、有名なピアノコンクールで、順調に勝ち進んだアキオくんはついにファイナリストになっていました。
「もちろん母親は大喜びで、更に練習が厳しくなって。でもさ、ある時俺、見ちゃったんだよね。」
何を?と、私が聞くと、アキオくんが真剣な顔で言います。
「鍵盤から滲み出てくるの、不気味な小人が。」
「小人?」
「うん。ついに頭がおかしくなったと思って、笑いながら練習したよ。小人を叩き潰すように弾いて、実際小人もグシャグシャ潰れて……まあ、幻覚だって自分でも思ってたんだけど。」
それから、しばらく黙り込んだアキオくんに、続きを促します。
②に続く
#GRAVITY百物語
#私の実話シリーズ
#番外短編

話題の投稿をみつける

めー
デカ色紙とか「なんだこれ!?」って完全に忘れてた

な

ナギ

あまく
君がいればまあまあ事務はなんとかなる

くまね

藤間う

よっす

(元sgr_10
なんでか知らんけど。

えす

なたま
もっとみる 
関連検索ワード
