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daisuke107

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『灯りのない方角』



時計のない部屋だった。
塵だけが
そこに流れた時間を知っていた。

音も、
声も、
置き去りにされたまま。


閉ざされた扉の向こうに、
かすかな気配があった。

薄明かりだけが
彼の存在を
まだ見ていた。


彼は、
灯りの届かぬ方角へ
手を伸ばしていた。
ただ、
手を伸ばしていた。


やがて灯りも
暗闇にまぎれ、
彼の輪郭を知るものは
いつしか
消えていった。


私は
その不在を、
街のざわめきの隙間で
ふと感じとった。

それは、
誰にも気づかれずに終わった  
存在の ひとつの
静かな消失だった。


#自由詩
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